地下水・土壌の追加調査案を了承
東京都中央卸売市場(築地市場、中央区)の移転予定地である豊洲(江東区)の土壌汚染対策を検討する第2回専門家会議(委員長=平田健正・和歌山大学システム工学部教授)が6月30日、東京都庁で開かれた。
今回は、2002年に東京ガスが行った土壌汚染調査では不十分とされた部分について、追加で行う調査計画について検討。
- 敷地内の地下水の状況を把握する
- ベンゼン濃度を低下させる微生物処理の検討に必要な地下水状況を把握する
- 東京ガスの調査では深度方向の調査が不十分と指摘された箇所の状況を把握する
- 表層でのベンゼンの土壌ガス濃度を把握する
――の目的で、都が作成したたたき台を基に意見が交わされた。
まず地下水については、ボーリングで採水し、東京ガスの調査で検出されたベンゼン、シアン、ヒ素、鉛、水銀、六価クロムの6つの有害物質のほか、水素イオン濃度(pH)、電気伝導率(EC)、塩分濃度、水温など10項目を分析する。
地震が起きた際の液状化現象にも影響する地下水位については、敷地内と東京湾の潮位の両方を観測する。
土壌に含まれる汚染物質については、ベンゼン・シアン・ヒ素の3物質のみ、東京ガスの調査では深度方向の調査が不十分な箇所について、ボーリングを行って分析する。六価クロムについては、市場建設予定地内では確認されないこと、水銀・鉛も問題はないと考えられることから除く。
また、揮発性であるベンゼンについては、地表に流れ出て食品に付着することが懸念されているため、地下1メートル付近のガスを採取して、濃度や流れを把握するとした。
都のたたき台通りに行うと、各汚染物質の濃度がピークになっている地点、および市場が建設されたら調査が難しくなる建物建設予定地点の、計66カ所でボーリングを行うことになる。
会議では、4人の委員がそれぞれに「全体として非常に良い対策」と評価。
追加注文として「土壌ボーリングの際は、サンプリングだけではなく、3カ所程度でオールコアを採って欲しい」〔駒井武・(独)産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門副研究部門長〕
「鉛直方向への水の移動についてもデータを取る必要がある。深部方向に1メートル間隔というのではあまりにも粗いのでもっと細かくして」(森澤眞輔・京都大学大学院工学研究科教授)
「(ベンゾピレンなどの発ガン性物質に代表される)多環芳香族炭化水素(PAH)はこれまで測られていない。炭化水素、また油の状況も見ておきたい」(内山巌雄・京都大学大学院工学研究科教授)
といった要望を加えて、都の計画案を了承した。
追加調査は今月から開始され、次回8月25日に中間報告をまとめる。