パリ空港襲撃 容疑者の遺体から薬物とアルコールを検出
パリ南郊のオルリ空港で男が警備中の兵士を襲撃して射殺された事件で、検察は19日、容疑者の男が薬物とアルコールを摂取していたことが検視で明らかになったと述べた。
ジエド・ベン・ベルガセム容疑者(39)は18日、空港で警戒中の兵士の頭に銃を突きつけ、「アラーのために死ぬ」と語った後に射殺されていた。
パリ検察によると、ベルガセム容疑者の遺体検視でコカインと大麻が検出されたほか、アルコールの血中濃度が930ミリグラム/リットルと、仏国内法で運転中に許される血中アルコール濃度の2倍近くに達していたという。
ベルガセム容疑者は以前、刑務所で服役していた際に過激思想の影響を受け、警察の監視対象になっていた。
同容疑者は空港で兵士を襲撃する直前に、発砲と自動車を奪う事件を起こしていた。
パリ検察のフランソワ・モラン検事は18日夜に、ベルガセム容疑者には強盗や薬物使用などの犯罪歴があったと明らかにしていた。
19日には、容疑者の父親だと話す男性が仏ラジオ「ユロープ1」のインタビューを受け、ベルガセム容疑者はイスラム教徒として生活してはおらず、酔っ払いだったと語った。「私の息子はテロリストではない。祈ったこともなかったし、酔っ払いだった。しかし、酔っぱらって大麻をやっていれば、こんなことになる」。
ラジオ局はインタビューに応じた男性の名前を明らかにしなかった。
ベルガセム容疑者の父親は18日夜に警察の聴取を終え、身柄の拘束を解除された。一方、容疑者の男の弟やいとこは、19日に身柄拘束を解除された。
事件の経緯
18日早朝、パリ北部のガージェ・レ・ゴネッセにある検問所で止められたベルガセム容疑者は、警察官にペレット銃で発砲し、自動車で逃走した。自動車は後に乗り捨てられた状態で見つかった。
警察によると、ベルガセム容疑者はその後、パリ南部のビトリーで自動車に乗っていた女性に銃を突きつけ車を奪った。自動車はオルリ空港内で発見されている。
ベルガセム容疑者は、空港の南ターミナルで警戒中の女性兵士が持っていた武器を奪おうとして、兵士の頭に銃を突きつけ、「アラーのために死ぬ。どっちにしろ人々は死ぬ」と語った。別の2人の兵士が同容疑者を射殺した。
モラン検事は、ベルガセム容疑者の遺体と共にイスラム教の聖典コーランが見つかったと明らかにした。
パリで取材するBBCのヒュー・スコフィールド記者は、社会からはみ出した犯罪者でイスラム過激派とも接触があった、という犯人像が浮かび上がりつつあると語った。
フランスでは来月から5月にかけて大統領選が予定されており、2015年11月のパリ連続襲撃事件を受けた非常事態宣言が依然として出されている。