こんにちは。ココロ社です。
パワーハラスメントという珍妙だが頼りにもなる和製英語。Googleで検索すると、候補に「パワーハラスメント 定義」「パワーハラスメント 例」などが出てきて、その線引きに悩む人が多いことがうかがえます。
線引きがもっとも難しいものといえば、「部下や後輩を飲みに誘うこと」でしょう。パワーハラスメントにあたるかというと、答えは時と場合によって異なってきますが、そもそも、この言葉に踊らされることにあまり意味はないのです。なぜなら「辞書的な意味には当たらないものの、実はいやいや飲みにつきあっている」という状態がよくあるからです。まさか「内心嫌っている相手とお酒を酌み交わすことこそ至上の悦びである…」などという人はいないでしょう。
ややこしい和製英語を仲介せずに、シンプルに、愛される上司・先輩を目指したいものです。
部下や後輩が嫌かどうかの指標は「自分が誘ってばかり」かどうか
部下や後輩とは、内心嫌だと思っていても、笑顔をキープする能力に長けた生き物であり(先輩や上司の方々におかれましてもかつてはそんな生き物だったはずなのですが)、嫌な気持ちかどうかを測る1つの指標は「部下や後輩から誘われたことがあるか?」です。
好きだと思っていたら、当然向こうからも誘ってくるはずです。仮に、よく飲みに行く部下や後輩を誘うのをやめてみたら、もしかしたらそれっきりで終わってしまい、向こうは胸をなでおろしているかもしれません。
「誘う」のではなく「誘わせる」ことにすれば活路が開けます
では、飲みに行くことを永遠に諦めなければならないのか、現代に蘇った禁酒法なのか…そんなことはありません。「誘う」のではなく「誘わせる」ようにすればよいだけです。
「連れていってください」と主体的に言わしめるためには、以下のような方法が有効なのでお試しくださいませ。
・自己紹介などで「飲みに行くのが趣味なので誘ってください」と言う
自己紹介をする機会があれば、チャンスです。仕事の話は別の機会にして、直球で「誘ってください」に時間の大部分を使うと「よっぽど誘ってほしいんだな」と同情を引くことができます。
ズバリ「飲みに行きたいのですが自分から誘うとパワハラと言われるので、誘ってください」と言ってしまってもいいでしょう。なぜなら「自分から誘わない」と宣言すれば、悲しいことに多くの後輩や部下は安心し、好感度は上がってしまうのです。
・「飲みに行っても安全」アピール
部下や後輩が、なぜ上司や先輩と飲みたがらないかというと、「飲み中に説教を始める」危険性があるからです。部下や後輩が「デートやらなんやらで忙しいのに、なぜわざわざ説教されに行かなくてはならないのか」と思ってしまうのも無理はありません。
例えば「飲み中に説教する人って無粋の極みだよね」など、「自分はそんな痛い上司や先輩とは違う」アピールをしておくと、この人は大丈夫だと思ってもらえる可能性が高まります。
・食べ物やお酒が好きなことをアピール
ことあるごとに食べたい料理やお酒の話につなげていくと、嫌われていなければ誘われます。
「この企画だけど、要点が凝縮されていてすごくわかりやすい! この前に行ったスペインバルを思い出したよ!」など、ポジティブな文脈で使うのです。
ゆめゆめ「うーん…この企画だけど、ピーマンのように中身がない。俺は肉詰めピーマンのような企画書を求めている!」などと言うことのなきよう…。
・社内ネットワークでも「飲み」をアピール
例えば、予定表を共有している場合、プライベートの予定は非公開にするのが平均的なサラリーマンですが、あえて「飲み」などと書いて公開しておくと、よっぽど飲みが好きなんだなぁと呆れられますが、その情熱に心を打たれて、飲みに誘ってあげようかという気持ちになるかもしれません。
めんどくさいなぁ…と思われた方も多いかもしれません。誘ってOKをもらうより、誘わせるのは難度が高いものです。しかし、人徳は、誘われる回数に表れます。もし誘われなかったとしても、少なくともそのことで嫌われることはないので損はしません。気長に誘わせ活動をしていけるといいですね。
著者:ココロ社 (id:kokorosha)
大阪生まれ。東大文学部卒業後、テレビゲーム製作を経て平凡な窓際サラリーマンとなる。傍らで珍妙なブログ「ココロ社」を運営。書籍の執筆もしており、著書に『マイナス思考法講座』(阪急コミュニケーションズ)『モテる小説』(阪急コミュニケーションズ)『忍耐力養成ドリル』(技術評論社)など。好きな犬はヨークシャテリア。