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第94回センバツ高校野球

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「無謀なエース心中」一石を投じる機会に

公式戦初登板が甲子園のマウンドとなった滋賀学園の光本=阪神甲子園球場で2017年3月28日、三浦博之撮影 拡大
公式戦初登板が甲子園のマウンドとなった滋賀学園の光本=阪神甲子園球場で2017年3月28日、三浦博之撮影

 第89回選抜高校野球大会第9日の28日、引き分け再試合となった2回戦2試合があり、ベスト8が出そろった。1日挟んで臨んだ「延長十六回」のマウンドに、4校中3校が甲子園初登板の投手を起用した。投手の負担軽減が叫ばれているとはいえ、この指導者の決断には驚かされた。

 「使うからベンチに入れている」。健大高崎の青柳監督も、滋賀学園の山口監督も同じことを言った。継投が基本の健大高崎には過去の反省がある。2012年センバツに初出場で4強入りしたが、エースが肩を痛め、夏の群馬大会でほぼ投げられなかった。これを機に複数投手制を敷き、大会中は帯同する理学療法士の意見で登板の可否を決めている。「『行けるか』と聞くと、高校生は『行ける』と言ってしまう」と青柳監督。

 滋賀学園はエースの神村が腰の違和感で投げられず、ほぼ実績がない投手が登板した。山口監督は「(エースと)心中系の高校野球で、こういう経験ができて良かった。今後も続けたい」とプラスに捉える。

 一方、三浦が2回戦2試合で326球投げた福岡大大濠の八木監督は、相手の滋賀学園の継投に「投手層が厚く、勉強させられた。日ごろから投げさせないといけない」と話す。

 連投や再試合が起こると、必ずタイブレーク制導入の話題になる。だが、今より早く決着がついても、その後の試合でもエースを連投させれば、負担は変わらない。結局、指導者が考え方を変えなければ、根本的な解決にはならない。今回の再試合2試合が「無謀なエース心中」の考え方に一石を投じる機会になってほしい。【安田光高】

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