アフガン乱射の米兵はイラクに3度派遣、子ども3人の父親=当局
[カンダハル(アフガニスタン) 11日 ロイター] アフガニスタン南部カンダハル州で11日未明、米兵が民家3軒で銃を乱射し、アフガン当局によると、子ども9人と女性3人を含む計16人が死亡した。コーラン焼却をめぐり反欧米感情が高まっているアフガンで、新たな火種となる可能性がある。
米軍は事件に関与した容疑で米兵1人を拘束した。複数の当局者によると、この兵士はワシントン州の部隊に所属する陸軍2等軍曹で、イラクで3度の任務を務めた後、アフガンに派遣された。結婚しており、3人の子どもがいるという。
事件は午前2時ごろ、同州西部のパンジワイ地区で発生。現場周辺の住民や犠牲者の親族によると、複数の米兵が民家に次々と侵入し、銃を乱射したという。兵士は酒に酔った状態で笑いながら犯行に及んだとの証言があるほか、子どもを殺害されたという男性は、兵士が薬品をまいて遺体に火を付けたと語った。
一方、ワシントンの米国防総省高官は、複数の酔った米兵が事件に関与しているとの目撃者証言を否定し、単独犯との見方を示した。北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)の広報官は、拘束された米兵は歩いて基地に戻ってきたと明らかにした。
この事件を受け、アフガンのカルザイ大統領は「意図的な殺人だ」と激しく非難し、米国側に説明を要求。また、オバマ米大統領も声明を出し、「この悲劇的でショッキングな事件は、米軍の優れた特性とわれわれがアフガンに対して抱く尊敬の念を示すものではない」と憂慮した。また、オバマ大統領はカルザイ大統領に電話をかけ、早急に真相を究明し、「関与した者の責任を完全に追及する」と約束した。
アフガンでは駐留米軍基地でのコーラン焼却をめぐる反欧米感情が高まっており、米軍などを狙った攻撃や抗議行動で少なくとも30人が死亡。カブールの米大使館は、今回の事件で新たな報復攻撃が起きる可能性があるとしている。
反政府武装勢力タリバンはメディアに宛てた電子メールで、事件への報復攻撃を行うと表明した。
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