タイプ(type)という語は、生物の分類学においては以下の意味で用いられる。 1. * ある生物の新種記載を行う際に、その生物を定義するための記述(記載文、判別文)の拠り所となった標本や図解のこと。模式標本、基準標本、タイプ標本などとも呼ばれる。原核生物では純粋培養された生菌株がタイプとして認められる。その菌株を基準株 (type strain) という。 2. * 科や属といった分類群(→生物の分類)を設ける際に、その群の代表として指定される種または、下位分類群のこと。指定される属や種はタイプ属(Type genus)、タイプ種(Type species)などと呼ばれる。模式属、模式種ともいう。 本稿では上記1を扱う。タイプの詳細な定義は、各生物が帰属すべき分類群の命名規約に従う。おおよそ、生物の種類と命名規約との対応関係は以下のようになっている。 * 動物・原生生物→国際動物命名規約 (ICZN) * 植物・菌類・藻類→国際藻類・菌類・植物命名規約 (ICN)。国際植物命名規約 (ICBN) より改称 * 真正細菌・古細菌→国際原核生物命名規約 (ICNP)。国際原核生物命名規約(ICNB)より改称