日立製作所は、ストレージや通信ネットワーク機器などの「ITプラットフォーム&プロダクツ」事業の構造改革を加速させる。「システム&サービス」事業で、次期中期経営計画の目標とする営業利益率10%を達成するため、ハードウエア開発事業の構造改革を進める。
同社が集中投資するのは、IoT(Internet of Things)活用を想定したソフトウエア製品群「Lumada」の基盤となるハード開発だ。
Lumadaは、センサーで収集したIoTのデータと、企業内の情報システムに蓄積している経営情報のデータを合わせて分析できる。グループ内の鉄道ビジネスユニット(BU)、電力BUなどに適用。列車の運行データや、電力プラントなどから収集したデータを分析し、運転効率の改善につなげる。外販も視野に入れる。
Lumadaに注力するのは、日立が「デジタルソリューション」事業の拡大を急ぐためだ。「顧客のビジネスのデジタル化を支援する」。2016年6月1日に開かれた事業戦略説明会で、日立製作所 執行役専務 システム&サービスビジネス統括責任者の塩塚啓一氏はこう話した(写真)。
デジタルソリューション事業では、ユーザー企業に対して、IoTやビッグデータ活用に向けた技術を使って、新サービスやビジネスモデルの立ち上げを支援する。
日立はデジタルソリューション事業を拡大させ、収益モデルの転換を図る。
2016年3月期の連結業績を見ると、システム&サービス事業の売上高は2兆1093億円。同期を最終年度とする中期経営計画では当初、売上高2兆1000億円を目標としており、これを達成した(表)。
一方、営業利益率は当初目標として10%を掲げていたが、2016年3月期は6.7%と未達に終わった。