プレゼンテーションは、顧客から「このソリューションプロバイダに任せよう」と信頼を得る最後のチャンス。ここで失敗すると、ヒアリングや提案書の作成などに費やした時間や労力はすべて水泡に帰してしまう。今回は、受注に結び付くプレゼンテーションのコツを紹介する。
プレゼンテーションとは、伝えたいことを相手に分かりやすく伝達するコミュニケーション活動です。しかし、聞き手に分かりやすく伝えると一言で言っても意外と難しいものです。最大の理由は、聞き手の受け取り方が十人十色であることにあります。プレゼンテーションの難しさはそれだけではありません。受注に成功するには、分かりやすさに加え、聞き手に強い興味と関心を抱かせなければなりません。今回は、これまでの私の失敗を反面教師にし、受注につながるプレゼンテーションの進め方を考えてみましょう。
顧客を退屈させない工夫を
プレゼンテーションでは、部屋を暗くしてプロジェクタを使うことが多いので、聞き手に眠気を誘ってしまう恐れがあります。私の話し方は単調であるためか、その傾向が特に強いようです。以前、リネン類を取り扱う企業に新規事業を提案した際、5人の参加者のうち4人をうつらうつらさせてしまいました。
いったん誘ってしまった眠気を吹き飛ばすのは至難の技です。何とか目を覚ましてもらおうと、説明しながらプロジェクタで投影しているスクリーンを指で軽くたたいて音を出したり、話の途中でわざとトイレに行ったりするなど工夫したのですが、あまり効果はなく、その日のプレゼンテーションは失敗に終わってしまいました。
眠気を誘ってしまったのは、プレゼンテーションの進め方に問題があったのに違いありません。二度と同じ轍を踏まぬと決意し、あれこれ反省しながら編み出したのが、図1の「プレゼンテーションで聞き手を寝かさない7カ条」です。プレゼンテーションの直前に私は必ずこれを読み直しています。ポイントごとに解説を加えてあるので、ぜひご覧ください。
図1●聞き手に眠気を誘わないコツ [画像のクリックで拡大表示] |
図2●状況に応じて変えなければならないプレゼンテーションの進め方 [画像のクリックで拡大表示] |
プレゼンテーションの途中で眠気を誘ってしまうのは、お客様が退屈している証拠です。したがって、プレゼンテーションではお客様が退屈しないように、適度な“刺激”を与えなければなりません。その意味で、内容を一通り説明した後で質疑応答の時間を設けるのではなく、テーマごとにお客様が質問する機会を設けるなど進め方に工夫する必要があります。
眠気を誘わない工夫はほかにもあります。冒頭で、今日のプレゼンテーションの全体の流れを説明するのも大切です。プレゼンテーションの全体について説明していないと、お客様は「今、説明を受けているところが全体の中のどの部分にあたるか分からない」という状態に陥り、話に付いていけず眠くなります。こうした事態を防ぐには、今日のプレゼンテーションがどのように始まり、どのように終わるのか、全体の流れを冒頭ではっきり説明しておくことです。
プレゼンテーションの冒頭で、市場データや企画の背景などをだらだらと説明することも避けるべきでしょう。周知の事実となっている話をされるほど退屈なものはないし、お客様にとって企画の背景はさほど興味を引くものではありません。関心や興味がないことを話されると、退屈してしまいます。
図3●プレゼンテーションの進め方 |