■専任のシステム管理者がいない企業や事業拠点において,確実なバックアップを実行するにはどうしたら良いだろうか。何も大がかりなバックアップ・システムを自前で構築する必要はない。ユーザー企業のサーバーとサービス事業者のデータ・センターとをネットワークで結び,WAN越しにディスク・バックアップを行う「リモート・バックアップ・サービス」が,低価格で利用できる。また東急建設では「リムーバブル・ハードディスク」を使って,遠隔拠点でのバックアップの自動化を実現した。サービスの詳細や事例を紹介しよう。
リモート・バックアップでかなう夢
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専任のシステム管理者がいない企業や事業拠点において,確実なバックアップを実行する手段として,ここでは「リモート・バックアップ・サービス」と「リムーバブル・ハードディスク」の利用を提案する。
リモート・バックアップ・サービスは,ユーザー企業のサーバーとサービス事業者のデータ・センターとをネットワークで結び,WAN越しにディスク・バックアップを行うサービスである。
リモート・バックアップは従来,大企業向けのオーダー・メイドのサービスで,中堅・中小企業は手を出しにくかった。ところが最近は,月額数万円からの料金で利用できる(表4)。システムやアプリケーションの保護は無理だが,データは確実かつ自動的にバックアップできる。
表4●中堅・中小企業が利用しやすいリモート・バックアップ・サービスの例
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採用されている技術は様々だ。
NTTコミュニケーションズのサービスは,対象サーバーにバックアップ・ソフトのリモート・エージェントを導入し,ファイル・ベースでバックアップする。
初回のバックアップやリストアは,ネットワーク経由では時間がかかり過ぎるので,NASにデータを格納して物理的に運搬する。初回バックアップ後は,増分バックアップのみを実行する。
リコー関連会社のトライアングル・スピリットが提供するサービスは,パート1で紹介したレプリケーションをインターネットVPN越しに実施するものだ。ファルコンストアのDiskSafeを使う。
「常に最新バージョンがバックアップされる」「レプリケーションだが複数世代の履歴が保存されている」「リストア時はレプリケーション先のデータがそのまま利用できる」——というレプリケーションの特徴はそのままだ。月額30万円以上のコースには,100Mビット/秒の光インターネット回線の利用料金も含まれる。
オービックビジネスコンサルタントのサービスは,基本的には同社の「奉行シリーズ」のユーザー向けだが,奉行シリーズ以外の一般のファイル・バックアップに利用できる。
仕組みは単純だ。奉行シリーズをバックアップするときは,まず奉行シリーズのツールで業務データをバイナリ・ファイルとして書き出し,そのファイルを「Connected Data Protector」(米Connected)というソフトで暗号化/圧縮して,インターネット経由で転送する。複数世代のファイルも保存できる。リストアはファイル単位でのみ行える。