○がつかない会社が多数、業種によっては全滅も。自動車・二輪は3社だけ、電機は半数、精密機器は3社のみ、医薬品は2社のみ、ゼネコン、住宅、マスコミは壊滅状態。食品・ビールが大健闘。
ほとんどなくなる?
「10年後、世界経済における日本の地位が低下していることは避けられません。国家財政は破綻し、IMFの管理下に置かれている可能性は高い。購買力のある若者が激減し、需要も薄くなっている。さらに、米、中、印にパワーバランスが移り、日本企業がその流れから取り残される。いま有力といわれている日本企業のほとんどがなくなっていることもありうるでしょう」(百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏)
明るい兆しの見えない経済下で、日本企業の多くはすでに苦しみ、もがいている。トヨタのリコール問題によって、トップ企業でさえ安泰でない現状を、多くの国民は実感した。
コモンズ投信会長の渋澤健氏は「そもそも日本には、どの業種にも企業数が多すぎる」と指摘した上で、同様に日本企業が10年後に生き残る難しさをこう語る。
「例えば自動車業界一つとっても、完成車を作っている企業がこれほどある国は世界的に珍しい。その多くが、アメリカ経済の成長に乗って拡大してきたが、これからはその波が日本から中国やインドに移っていくから、従来の成長モデルは望めない。すでに新興国に追いつかれ、追い抜かされている分野もある。多くの企業が存在し、平均的に拡大し、平均的に幸せになる、という時代は終わるとみたほうがいいでしょう」
いまから20年ほど前、「都銀が13行もあるのは多すぎるのではないか」という議論が起こった。その後再編が進み、メガバンク3行まで減った。こうした動きもこれから、他の産業に波及するのか。前出・渋澤氏の答えは「イエス」だ。
「世界を相手に競争するこれからの時代は、国内競争で消耗しないために、各業界のトップ企業に人的・経営的資源を集中させることで成長を目指すほうが効率的となる。だが、多くの業界ではM&Aがまだ進んでいない。今後の業界再編は避けられないでしょう」
ではどんな会社・業界が残り、どこが消えるのか。本誌は、企業・経済を熟知する8人の専門家に有力549社の中から「10年後も絶対に生き残っている会社」を選んで〇をつけてもらった。今回はそのうち、「モノづくり企業」を中心に紹介する。その結果は、3ページからの表をご覧頂きたい。
自動車、電機は「冬の時代」
今回の大調査で最も多くの支持を得た会社は、コマツ(6票)だ。その次に、東芝、東レ、花王、資生堂、ファーストリテイリング(5票)が並ぶ。一方で、○がつかない会社も多く、全滅している業種もある。
ゼネコン、マスコミ、住宅などは壊滅状態だ。中でも特に目を引くのが、日本の産業界を代表する自動車大手、総合電機大手は上位にほとんど入っていないことだが、前出・鈴木氏は、その理由をこう指摘する。