今回ばかりは、動じずにはいられない……〔PHOTO〕ヘーベルハウスHPより
「倒産危険度指数」が急上昇
旭化成の「倒産危険度」が高まっている。
「マーケットに、『倒産危険度指数』と呼ばれるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という指標があります。値が高いほど『倒産危険度』が高いとされるものですが、旭化成のこれが急上昇し始めた。
約1年前には20台前半の数値が、直近では50台まで跳ね上がり、60を超える日も出てきた。危険度が昨年の2倍、3倍に爆騰する『恐慌状態』です」(大手外資系証券会社の債券アナリスト)
「ウソつきマンション」をめぐっては、仮に旭化成建材が倒れることはあっても、売上高2兆円の巨大企業・旭化成が潰れることはないというのが「常識的意見」だった。が、ここへきてその楽観論が急速に萎みつつある。
そのカギを握るのは、「全棟リコール」なるキーワード。危機管理コンサルタントでリスク・ヘッジ代表の田中辰巳氏が言う。
「最近は企業が不祥事を起こすと、『全品回収』が常識化している。たとえば昨年の『ペヤング』騒動。一つの商品に虫が混入していたため、全品回収となった。自動車業界でも、リコール対象車の全改修はいまや当たり前です。不動産業界も今回のマンション騒動を機に、同じようなリコールを迫られる可能性が出てきた」
旭化成建材がこれまで手掛けた「すべての物件のリコール=全棟リコール」を求められる恐怖のシナリオが急浮上してきたというわけだが、それは当然といえば当然のこと。
というのも、旭化成建材のデータ偽装は当初は「1人」の担当者の仕業と思われていたのが、実は複数の担当者がかかわっていたと発覚。その数は「10人以上」、「50人近い」とも言われ、まさに会社ぐるみの偽装であることが明らかになった。
旭化成建材が手掛けた物件の安全性はすべて「不透明」と言わざるを得ない状況なのだ。