2012.05.29
# 雑誌

新聞、テレビも一緒になって橋下の「脱原発」を潰したい電力会社とその仲間たち

ハシモトは敵だ

 5月16日付の読売新聞は社説で、橋下徹大阪市長を正面から批判した。

〈大阪市の橋下徹市長は、再稼働反対の立場から「電力使用制限令を認識、経験するのも必要かな」などと述べた。電力不足の悪影響をあまりにも軽視している〉

 日経新聞も橋下氏の言動を引用しながら、〈「再稼働どこへ」企業困惑〉と見出しを付け、島津製作所や日東電工など、大飯原発に近い地元企業の声を引用している。各企業は異口同音に、「夏場の節電は困る。業績に影響する」と訴え、原発再稼働を後押しする。

 読売、日経、産経新聞をはじめとする各メディアは、これまでにも橋下氏の言動に警戒感を露にしていた。きっかけは、4月13日に橋下氏が、

「(再稼働を容認した)民主党政権を倒すしかない!」

 と言ったことで、この後、一挙に「反ハシモト」に転じた。読売は、「橋下の言い分など無視してよい」と言わんばかりの論調だ。

〈もちろん、周辺の自治体から理解を得ることは重要だが、政府は立地自治体の意向を最大限に尊重する必要がある〉(4月15日付社説)

 大飯原発の地元、おおい町は、町議らが原発再稼働を支持、町長も前向きな姿勢を示している。これまでにも指摘されていた通り、電源三法などによって、原発の立地する自治体には巨額の公費が投入され、電力会社、下請け企業、関連会社の落とすカネでも潤ってきた。

「夢よもう一度」というわけだが、仮にまた重大事故が起きれば、被害を受けるのはおおい町だけではない。福井の他市町村はもとより、大阪、京都、奈良、滋賀まで、ゆうにその影響は及ぶ。

 橋下氏は、それを懸念しているのである。

 読売がそれを知りながら、「立地自治体の意見を最優先せよ」と主張するのは、再稼働ありきのごり押しだろう。

 読売新聞のある幹部がこう明かす。

「事故直後の昨年4月14日、読売新聞東京本社で、日本原子力技術協会最高顧問の石川迪夫氏を講師とした内々の勉強会が行われた。石川氏は日本の原子力技術研究の第一人者で、事故後の『原発必要論』を説いています。

 講演のあと、質疑応答があり、石川氏が答えた。最後に渡邉恒雄会長が大きな声で、『原発を始めたのは読売だから、いろいろ悪口が来ている。しかしいまの話を聞くと、やっぱり原発しかねえなあ』と発言したんです。居合わせたメンバーは、それをシーンと聞いていました。あの瞬間に、読売の社論が決まったんじゃないですかね」

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