たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

前川みくという一人の少女の、これからの物語へ捧ぐ

シンデレラガールズ」アニメ5話で、前川みくが立てこもる事案が発生しました。
……というほどハードな展開ではないんですけどね。
ただ、「前川みく」というキャラクターについてもっと深く考えるべきではないか?というラジオを我々でやったので、その感想も交えて書いていきます。
 

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まずなぜ前川みくが「ネコキャラ」なのか。
ぶっちゃけ、ゲームでの「前川みく=ネコキャラ」は、まあ適当に作ったんだとは思います。
「それっぽいのいれとけー」と。
 
しかしキャラクターに命が吹き込まれてからというもの、「前川みく」はどんどん人間味を増した人気キャラになりました。
決定打はCDですね。
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 007 前川みく
これで評価が一転したといっても過言ではない。
いや、その前のSRもありますが。でもここでしょ。
ゲームっぽいジャズミュージックと、フリーダムなトーク、そして「え、ひどくない……」という「素」。
この素の爆発力がすごかった。
 
最近になって、通称「前川さん」と呼ばれる真面目な表情のみくが登場。

わかってはいたけど、いざ「普段は真面目」な前川みくを見せられると、衝撃的。
いつもは「みくにゃん」じゃなくて「前川みく」なんだ……。
 

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というのは「ゲームの話」と切り分けた上での話をしよう。
 
まず前川みくは、2話で初めてニュージェネ3人と出会った時「3人は何キャラでいくの?」という旨の発言をします。
かなり不自然な会話です。
 
ところがニュージェネ3人が先にデビュー。
これには相当前川みくは焦ったんじゃないか。
だって、自分よりキャラが立っていない3人が先にデビューするなんて。
 

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想像です。
前川みくのネコキャラは、いわゆる「武装」なのではないか。
 
周囲の人間のアクがあまりにも強すぎる。
きらり、蘭子、杏、アナスタシア。見た目からして勝てない。
(蘭子は武装ではなくて「かっこいいから」説を唱えています。きらりは武装かも)
莉嘉、みりあ、新田。年齢的に自分は中間すぎる。
かな子、智絵里はまあ「自分から」というタイプではないし、だりーなも方向性が違う。
こうなると前川みくは「15歳の女の子」だけでは、キャラがあまりにも弱い。
 

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そこで、考えた末に選んだのが、自分の好きな「ネコ」を使った「ネコキャラ」なのではないか。
……もっとも生まれつきの「ネコキャラ」な人間なんていないですしね。どっかできっかけはあるよ。
 
シンデレラプロジェクトの中でも、前川みくって「アイドルになりたい」っていう思いが飛び抜けて高い子なのではないか。
そりゃ全員なりたいでしょうよ。
その中でも、特に「なるんだ!」という思いがとりわけ強い。
 
ちょっとゲームの話もまぜこぜになります。
彼女「セクシーキャット」など、割りとセクシー系の仕事もばんばんやってます。
あれも、「自分の身体は一定の魅力がある」と理解しているからではないか。
 

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頭のいい子だと思うんですよ。
すごい一生懸命に「アイドルになるにはどうすればいいか」を考え続けている。
その一つの手段として選んだのが「ネコキャラ」。
 
アニメ4話でもみくにはネコキャラの「オン・オフ」があるのは判明済み。
彼女は「ネコキャラ」という武装を持って、アイドル業界で戦おうという決意があるように思います。
 
ただ、15歳という年齢はあまりに幼い。
(しぶりんも同じくらいじゃん、と言われそうですが、彼女も素直なお父さん子だったりと、少女な部分を最近見せています)
焦りが暴発してしまうのも無理はない。

最初反乱軍に入れるのは、自分より年下。
このへんも「らしい」ですね。乗りそうな下の子を引き連れる。
 
その後無理やりアナスタシアと新田ちゃんにもネコミミつけたりと、迷走。
最終的に、みんなのやりたいビジョンを描かせるという暴挙に出ます。
が、これが意外にもみんなしっかり書いている。
 

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前川みくの思いって、他の子の代弁でもあるように思えます。
みんなデビューはしたいんですよ。
けど、言えないし言わない。空気を察してかもしれないし、プロデューサーの意向をわかってかもしれない。
それでも、なんらかのフラストレーションが0とはちょっと思えない。
 
そのフラストレーションを噴出させたのが、前川みく
だから止めきれなかったし、彼女と一緒にビジョンを絵に描いている。
だりーなとか、めちゃくちゃきれいに書いてますからね。あの子割りと本気だぜ。
 

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そもそも、人間、アイドルって、「キャラ」を演じるものとは限りません。
素の魅力は、絶対前川みくにも、ある。
あるんだけど、15歳の彼女にはわからない。
アイドルが「自分は○○キャラでいこう」という焦りを感じるという表現、すごいリアル。
 
ネコキャラでもいい。このままネコキャラアイドルになるのはもう十分満点。
けれど一度どこかで「本当に自分のやりたいことか」という再確認はする時がくるはず。
 

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今回はその彼女の心のもつれがうまくほどけなかった結果の出来事。

この絵好きなんですよね。アジテーターみく。いや誰も乗らないんだけど。
カフェで立てこもってプロデューサーに訴えるとか、もうギャグですよ。
けれども、このシーン割りと重い。
 
もう毎日不安でしょうがない。
シンデレラプロジェクトに受かって、夢のアイドルになれると思っていた。
なのに周りはみんなすごい個性持ちで、かつ「普通の子」たちが先にデビューした。
おちゃらけてはいるけれど、考えに考えて悩み続けていたんじゃないか。
もうだめだとすら。
 

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ここは武内Pの難しいところ。
「みなさんもデビューさせます」とまだ言えない。言ってはいけない。決まってないから。
そこが、弱小で「みんなデビューしよう!」と言える赤羽根Pとの立場の違い。
大人としては決まってないことは言っちゃだめです。
 
ただ、それが伝わっている子(きらりとか)と、まだ咀嚼できない子がいるのまでは把握しきれなかった。
いや、把握してもどうしようもなかった、ですかね。
みくは、武内Pの意向を飲み込んでぐっとこらえる、言ってもらえるまで待とう、と咀嚼できなかった。
もうだめなんだと思ってしまった。
だって、15歳だよ。
 

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全員がデビューできる。
これを知ってみくは安堵し、みんなに素直に謝ります。素で。
この「素」ってのが大事だと思うんだ。
 
今回の立てこもりは、すごいソフトにスタッフがまとめたんだと思います。
もっとみくがガツンガツンに凹むと思ってた。
でもそうなると話が重くなりすぎますしね。
ただ、みくが立てこもり中にオーダーをウサミンから聞くシーンは重要だなと。
これもギャグなんだけど、やっぱり真面目なんですよ根が。
 

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前川みくというキャラが、まっすぐに自分の目標「アイドル」に向かうには、一旦焦りを抑える必要があった。
そういう意味では5話は、コメディタッチの中でしっかり「彼女が必要としていたもの」が入っていたと思います。
 
今後もみくは、物語のかきまぜ要員になるでしょう。マドラーみたいに。
なんせみーんなバラバラすぎるのがシンデレラプロジェクト
それぞれにひっついたり邪魔したりするのは、莉嘉とみくにゃんくらいです。
絶対話しには関わってくる。
 
その中で、ものすごくマイルドに、だけど確実に、彼女が自分の立ち位置を見つけ、進んでいく様子が描かれるはず。
劇的な変化は、特にいらないと思います。真面目でまっすぐだから。
ただ、まだ幼い。本当に幼い。心のフォローや、仲間は必要。
横のつながりができていく時、「みくにゃん」ではなく「前川みく」という一人の人間の本領が発揮されるのではないか。
彼女もうすうすわかっているんだろうな。
そのために、日々考え、努力しているんだろうな。
 
そんな、前川みくが好きです。
 
 
 
おわり。