柏書房

ペリカンが、いきなり目の前に降りてきたことがある。動物園内などではなく、そのへんの道端である。小学二年か三年くらいのことだったか、なにか小学校のイベントのために妹と二人で歩いていた。そのイベントがなんだったのか思い出せないが（どんど焼き？ ゴミ拾い？ とかそんな感じだったような）、とりあえずわたしたちは海に向かっていた。 それはもう本当に突然のことだった。驚く暇もなかったというか、今思えばとても自然に、わたしたちの目の前にペリカンが降り立った。静かな着地であった。まわりにはとくにだれもおらず、わたしたち姉妹とペリカンが、その場に立ち尽くしていた。 ペリカン。その姿ははっきり言って恐ろしいもので…

「パンク」な表現で女性らしさの押しつけをあぶり出す 『キングコング・セオリー』（ヴィルジニー・デパント著・相川千尋訳／柏書房） 「私はブスの側から書いている」、衝撃的な書き出しで始まる「キングコング・セオリー」は、現代フランスを代表する作家、ヴィルジニー・デパントの２００６年の著です。その後、Twitterでの#MeToo運動の広がりなどにより、再び注目を集め、相川千尋により日本語に翻訳され、２０２０年におよそ１５年越しで日本語版の出版となりました。■売春が規制される理由 女性は、社会においてその「女性らしさ」を守ることを常に要求されます。娼婦に対する世の中の目がそれを物語っています。例えば、…

みずえさん こんにちは！昨日、茅ヶ崎ではほんのひととき、あられのような初雪が降りました。 そんな中で、私は働いている農園が出店しているマルシェの売り子仕事に一日励んでおりました。 畑にいるのが好きだけど、たまにイベントなどで接客をするのも楽しいものですね。 自分たちの作った野菜が、きれい、美味しそう、と言われてどんどんお嫁にもらわれていくのは、ほくほくと嬉しいものです。 そして今はどこでも支払機にお金を入れたり、QRコードを読み込んで注文したりするというご時世なので、お客さんとのちょっとしたやりとりが何か素敵で、貴重なことのように思えてきます。 どんどん人との関わりが億劫になる気持ちも分かりす…

毎週日曜日は、この一週間に週刊誌や新聞などの書評やブックレビューに取り上げられた本を紹介しています。書評内容やレビューについては各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 （12/16～12/22 全68冊） *表示凡例◆掲載された媒体： 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者等 出版社 税込価格 書評掲載回数（②回以上を表示） ◆サンデー毎日「遠回りの読書」： 12/29 号 2 冊ファンになる。きみへの愛にリボンをつける。 最果タヒ 中央公論新社 1,650推しはまだ生きているか 人間六度 集英社 2,200 ◆女性自身 （今週号はお休み） ◆女性セブン「セブンズライブラリー」： 1…

特集「日本古代国家形成史研究の最前線」 ◆国家形成史研究の歩み（森田喜久男*1） （内容紹介） 特集の総論的な内容。 ・藤間生大*2『日本古代国家』（1946年、伊藤書店） ・石母田正*3『日本の古代国家』（1971年、岩波書店→後に岩波文庫） ・吉田晶*4『日本古代国家成立史論』（1973年、東京大学出版会） ・都出比呂志*5『前方後円墳と社会』（2005年、塙書房） ・広瀬和雄*6『前方後円墳国家』（2003年、角川選書→2017年、中公文庫）、『古墳時代政治構造の研究』（2007年、塙書房） ・寺沢薫 『弥生時代国家形成史論』（2017年、吉川弘文館）、『弥生国家論』（2021年、敬文舎…

◆今月のグラビア「栃久保・石積棚田」（市川英昭） （内容紹介） ネット上の記事紹介で代替。 杤久保棚田 | 笠置町で暮らす。－岐阜県恵那市笠置町－ 岐阜県恵那市笠置町河合にある栃久保棚田は、江戸時代中期(約330年前頃)から開拓された小さな集落にある石積み棚田です。 平成22年には後世へ伝えたい岐阜県の棚田として「ぎふの棚田21選*1」に選定されました。 棚田の種類 棚田には、構造的に法面（のりめん）を石で積んだ「石積の棚田」と土で固めた「土坡（どは)の棚田」との二つに大別されます。東日本一帯に存在する土坡に対して、西日本一帯では石積みを主体に法面が築造されています。 山里のくらしを支える石積…

・ ・ ・ 関連ブログを６つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ ｛東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博｝・ 身分低い弱者であった足軽・雑兵、人足、小者は、マルクス主義の階級闘争史観における搾取される哀れな人民ではなかった。 ・ ・ ・ 戦国時代。渡り足軽や武士らは、味方する大将・戦国大名への忠誠心はなく、領地持ちの武士の身分にも興味がなく、強者に味方してその役得として戦場で乱取り働きをする事であった。そして、敗れれば別の大将や戦国大名に仕官すか、さもなくば元の盗賊に戻って農村を襲撃して殺人と強奪を繰り返した。 それ故に、百姓は落ち武者狩りとして敗れた武将と共に足軽・小者・人足を見つけ次第…

今度は池袋に行ってました honto.jp で 100年の孤独、民主主義至上主義者、石井ゆかりさんの占い本 の3冊を購入↓ 百年の孤独 (新潮文庫 カ 24-2) 作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 新潮社 Amazon 民主至上主義 作者:エミリー・B・フィンレイ,加藤哲理 柏書房 Amazon 3年の星占い 獅子座 2024年‐2026年 作者:石井ゆかり すみれ書房 Amazon どういう組合せＷＷＷといういつものできるだけバラバラ購入を実施。 いあー沢山本があり、田舎とは違うねぇ…秋田も大型店が結構あるのはいいし、学力高いところだけあって、それなりではあるのだけれど… で、喫茶店へ …

もっと言葉にすることをがんばっていきたい。 読んだ本やプレイしたゲームの感想もちょこちょこ書いていきたいが、やったことがないので一体どうやって書いていけばいいのかがわからない。 作家の書評、SNSやブログで頻繁に感想をあげている人の文章を見てもちんぷんかんぷんだ。そりゃそうだ。自分の感想力（かんそうぢから）は一切鍛えられていないのだから。 とりあえず、箇条書きでならできそうなので、箇条書きで書いていく。これならなんとか続けられるんじゃないだろうか。どうだろうか。 まとまらない言葉を生きる 荒井裕樹 まとまらない言葉を生きる 作者:荒井裕樹 柏書房 Amazon マイノリティへと向けられる憎悪表…

こんにちは。12月でもわりと日中は過ごしやすい気温ですね。さて、荒井祐樹さんのご紹介二冊目です。 本書は障害者文化論の研究者が書いたウーマンリブの運動家である米津知子さんの評伝です。 「障害者として、女性として生きる」ことを考えたい人へ 荒井裕樹さんの『凛として灯る』についてご紹介いたします。 １、荒井祐樹さんについて ２、本書の魅力 １、荒井祐樹さんについて 1980年東京生まれ。二松學舍大学文学部教授。専門は障害者文化論、日本近現代文學。著書に『隔離の文学ーーハンセン病療養所の自己表現史』（書肆アルス）、『生きていく絵ーーアートが人を〈癒す〉とき』（亜紀書房）、『車椅子の横に立つ人ーー障害…

こんにちは。12月も中旬に入りますね。しんしんと冷える日が続いています。体調はいかがですか？ 本書は障害者文化論の研究者が書いた障害の入門書です。 「障害者として生きること」を考えたい人へ 荒井裕樹さんの『障害者ってだれのこと？「わからない」からはじめよう』についてご紹介いたします。 １、荒井裕樹さんについて ２、本書の魅力について １、荒井裕樹さんについて 1980年東京生まれ。二松學舍大学文学部教授。専門は障害者文化論、日本近現代文學。著書に『隔離の文学ーーハンセン病療養所の自己表現史』（書肆アルス）、『生きていく絵ーーアートが人を〈癒す〉とき』（亜紀書房）、『車椅子の横に立つ人ーー障害か…

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・ ・ ・ 関連ブログを６つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ ｛東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博｝・ 天皇が、金や木の像でも良ければ、人であれば血筋や世襲にこだわる事はない。 ・ ・ ・ ２０２４年１２月７日 ＹＡＨＯＯ！ＪＡＰＡＮニュース「高師直が「天皇や院は金や木の像でいい」と述べたのは事実なのだろうか？ 世に傲岸不遜な人物はいるが、高師直もその一人と思われており、「天皇や院は金や木の像でいい」と述べたといわれている。はたして、本当に師直はそんなことを言ったのだろうか？改めて考えることにしよう。 師直は、師重の子として誕生した（生年不詳）。正慶２年（１３３３）、足利尊氏が上洛す…

（「角男」と「虹のある風景」のあらすじを紹介していますので、未読の方は、ご注意ください。） 「角男」は、横溝正史の戦前における諸作中、比較的有名だが、その理由の一つは江戸川乱歩の代作として書かれたという逸話のせいである。 正史による乱歩の代作というと、「犯罪を猟る男」（1926年）、「あ・てる・てえる・ふいるむ」（1928年）が既にあって、「角男」（1928年）は、その最後にあたる[i]。ちなみに大長編の『女妖（覆面の佳人）』（1929年）は乱歩との共作だが、実際は正史が単独で執筆したとされている[ii]。上記三つの短編については、戦後（1949年）になって、乱歩・正史の打ち明け話付きで雑誌に…