これまでの挫折の経緯 もともと私が意図したのは『ミリオンダラー・ベイビー(2004・イーストウッド)』の擁護だった。それというのもあるところで蓮實重彦が『『許されざる者』の登場人物の顔には皆意味があって印象に残るが、『ミリオンダラー・ベイビー』に出てくる顔は意味のない顔ばかりだ(大意)』というようなことを言っているのを見かけたからである。 登場人物の顔が印象(記憶)に残る・残らないついては仰るとおりだと思うが、それは「西部劇」が「ロマンス様式(恋愛物語という意味ではない)」を色濃く受け継いだジャンルであり、ひるがえって『ミリオンダラー・ベイビー』のほうは、『ロミオとジュリエット』のアイロニー(…