話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選

しっかり丸1年たっての更新になってしまいましたが、

今年も話数10本ぱっと浮かんだので書いていきます。

 

本企画の集計は今年も「aninado」様が行っています。

企画趣旨も「aninado」様から引用させていただきます。

■「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」ルール
・2024年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2024年中に公開されたものと致しますので、集計を希望される方は年内での公開をお願いします。

 

■『ガールズバンドクライ』第13話「ロックンロールは鳴り止まないっ」

脚本/花田十輝 絵コンテ・演出/酒井和男 CGディレクター/大曽根悠介 リードキャラクターモデリングアーティスト/大曽根一呂子、赤瀬平、上垣健太郎 リードリギングアーティスト/村野徳晃、長岡京

2019年にサンライズを退社して以降、その動向が気になっていた平山理志Pの東映アニメーションでの企画として2023年に盟友・酒井和男監督をシリーズディレクター花田十輝氏をシリーズ構成とする座組で発表されてから待望していた一作。

酒井監督のレイアウト主義や愛嬌あるポージングと東映アニメの3DCG表現の組み合わせは抜群で、その期待を遥かに上回った。

花田氏のドラマ性の強い脚本も準備期間に重ねた改稿もあってか密度と熱量のある仕上がりとなった。

とりわけこの最終回では、再生回数、ライブ集客、売上と様々な数字がトゲナシトゲアリの前に立ちふさがることで、仁菜達がその価値観から脱する花田氏の真骨頂が発揮される。

感情ままに弾く仁菜のギターが上達していることに気づき初心を思い起こす桃香、ライブのMCでトラウマとなった事件以前の、いじめを止めに入る前の「誇らしかった」気持ちを語る仁菜が自分のルーツを再発見するドラマの妙味。

そして道を違える前のヒナとの関係を思い出す他者の視点の発見!

仁菜とヒナ、二人の少女によってダイヤモンドダスト結成時へと時間を遡っていく「運命の華」MVまで突き進むドラマの推進力が圧巻だった。

 

■『ラブライブ!スーパースター!!』3期 第11話「スーパースター!!」

脚本/花田十輝 絵コンテ・ダンスパート演出/京極尚彦 演出/綿田慎也 作画監督/大野勉、斉藤香、杉浦尭侑、吉田雄一 ダンスパート作画監督/後藤望、小林美幸、水野辰哉、安武航 総作画監督/斎藤敦史、佐野恵一、藤井智之

全3期構成の集大成とも言えるドラマの充実度に驚かされた一作より。

私が『ラブライブ!』シリーズを好んで観ているのは、自分の視野や既存の価値観の壁を脱した先で他人事だったことを自分事と捉えることになる価値転倒のためにドラマがあるところにあるが、この3期は澁谷かのんが「手放す」ことを徹底して描くことでそのドラマ性に円熟味さえ与えている。

このエピソード以前で後輩達の成長やグループの団結が一通り描かれるが、その上でかのんは卒業後にまた一人で新天地に向かうことを突きつけられる。

原宿、牛久、北海道の少女達が新年を迎える姿を繋いで見せる一方、かのんはウィーンにひとり発ち、新たな孤独と向き合う。この軽やかな場面の行き来による映像でドラマが形作られるのが良い。

かのんが孤独と向き合う間、2年生が1期でかのんのトラウマとして出てきた合唱を彼女のルーツとして捉え直す。後輩に曲作りを託して自分の役割を「手放す」かのんに、後輩から「孤独は乗り越えられる」ことを曲という形で還される。グループに残る選択をするマルガレーテも含め、全員が自分事ではなく他人事で行動しているのだ。

そこで歌われる「スーパースター!!」は自分達ではなく「街のどこか」で生まれる新しい夢を持つ人々へのエールで、他人事を歌うが故にかのんは「みんなそうスーパースター!!」と言い切ることができる。

大会後にアバンとの対比で学校に戻ってきたかのんを映した後、最後に卒業の文字にあわせて1期冒頭のかのんのルーツと言える台詞が映される。

京極尚彦監督の真骨頂と言える錯時的な編集がかのんの時間に大きな区切りを打ち、だからたまらなく寂しかった。

 

■『2.5次元の誘惑』EPISODE 05「初イベント終了!!」

脚本/吉岡たかを 絵コンテ/高田耕一 演出/金子篤二 作画監督/TripleA、无锡市樱花卡通有限公司、拾月動画、但伊楊、大暴龙、LIRAN 総作画監督/小野和美

コスプレをスポ根、とりわけ女性の自己表現として取り上げて描く原作の良さに、岡本英樹監督と吉岡たかを氏というラブコメの名手らによる語り口の妙がベストマッチを見せていて、今年とくに楽しめた一作だった。

名編は多いが、特に一番最初に衝撃を受けた話数を選出した。

高田耕一氏の絵コンテは脂が乗っていると言っていいほど巧みで、前回の厭味ったらしさから一転して解説役になるオギノやカメコ兄弟、モブのカメコ達の反応でリリサのリリエルの格を上げ、撮影される中でリリサの回想や内面を描写した上でオギノのカウントダウンにあわせて奥村へ向けたポーズまでの一連をエモーショナルに仕上げて見せた。

リリエルの一番良い表情までの「溜め」が効いていたのが何より良かった。一番良い絵を撮るためにカメラマンに必要なのは何より待つことだ、と言わんばかりである。

イベント後に更衣室で女性レイヤー達があるあるで盛り上がる「コスプレイヤー百物語」による緊張の弛緩と、彼女達の連帯感の見せ方も見事だった。

一旦オチがついたかと思わせてリリサでもう一回落とす、デフォルメも交えた軽やかなコメディにもまた桜井弘明監督やカサヰケンイチ監督らの下で仕事をすることも多い高田氏の絵コンテの魅力が表れている。

ほか、753♥の閉ざされた心がコスプレ対決で解き放たれていくのを圧巻のモノローグ劇で描くEPISODE 10「まゆら様VS753!!」、ノノアがリリサとの交流により自分の殻を破るEPISODE 15「明日の私へ」、キサキ先生と対話する奥村を榎木淳弥氏が熱演するEPISODE 21「主人公の物語」と、エピソードと語り口がとにかく充実していた。

 

■『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』第1話「ひとりの旅へ」

脚本/高山カツヒコ 絵コンテ・演出/山内重保 作画監督/葉増堯、清水勝也 総作画監督/李少雷

総監督とクレジットされていたため、今年71歳になろう山内重保がどこまで関わるかと気にしていたこちらの心配を吹き飛ばすような純度100%の山内重保フィルム。

原作での出生から村を追われるまでの冒頭を第2話以降にまわして、追放されたフェミシアが森を彷徨い、崖から落ちて水辺まで降りアイビーとして再生する足取りを追う、映像に重きを置いて精神的な旅を描き出す手腕には恐れ入るばかりだった。

白眉なのは、出会った崩れスライムに自分の身の上を語るアイビーがマジックバッグのことを話しているうちに徐々に涙声になり、顔を隠してそのバッグをくれた占い師が亡くなったことを告げる場面だ。

今は作画や撮影で凝った画面を作り出す作品は以前よりも増えたが、ひとつの場面の中でキャラクターの心情が移り変わっていくこの場面のような表現を見ることはほとんどなくなったと思わされた。

 

■『小市民シリーズ』第二話「おいしいココアの作り方」

脚本/大野敏哉 絵コンテ・演出/武内宣之 作画監督/西島央桐、豊田暁子、王渝、张曦萦、周俊杰、味增拉面、葛歓、たけうちのぶゆき 総作画監督/具志堅眞由

幾原邦彦監督作品を制作していたラパントラックは小説原作を手掛けるようになってきたが、神戸守監督を据えた本作は同作者の京都アニメーション制作『氷菓』ともだいぶ趣が変わっていて面白かった。

特に武内宣之氏が演出を手掛けたこの話数は、がさつなはずの健吾が残したココア作りの謎を巡って小鳩、小佐内、健吾の姉が台所で討議する馬鹿馬鹿しさが最高だった。ココアに牛乳を注ぐ作画が異様に凝ってるのもおかしい。

推理の間ケーキを食っていた健吾が、謎が解明された時には口の周りをチョコまみれにしている顔の出し方が素晴らしい。

ギョッとする顔をおかしく感じさせる、一見トリッキーだが観ている視聴者に何を感じさせたいかがまずある、演出のお手本とも言えるような見せ方だと思った。

 

■『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』第八話

脚本/赤尾でこ 絵コンテ/朝岡卓矢 演出/藏本穂高 作画監督ごとうじゅんじ、神田岳、岩崎令奈、北島勇樹、岩立秀之、王家涵 総作画監督/岩崎令奈

2024年の事件の一つと言えば、『回復術師のやり直し』や『不徳のギルド』で職人監督ぶりを見せていた朝岡卓矢監督がその絵コンテの技巧を存分に発揮したことが挙げられるだろう。

中でもこの第八話は主人公の淡雪の同期かつアバターのキャラクターデザインを務めた絵師(ママ)である彩ましろ視点で淡雪への想いを語るドラマを情感たっぷりに描くスペシャルさがあった。

アバンの回転椅子で回る様を主観で見せるカットやBパートの新衣装を着た淡雪をイメージするカットなどでましろの主観ショットを印象づけて、布団を被って本音を語るましろと、同じく布団に潜り返答する淡雪に結実させる瑞々しい表現が素晴らしかった。

 

■『義妹生活』第6話「酢豚 と 雨」

脚本/山田花名 絵コンテ/上野壮大 演出/いとがしんたろー 作画監督/森本浩文、張昀、古池ゆかり、澤村享、いのうえりか、武藤健、植竹康彦、石川洋一、Rad Plus、reboot、スタジオCL 総作画監督/仁井学

2024年のもう一つの事件は、老舗のスタジオ・ディーン制作のライトノベル原作のラブコメと思えない表現を届けてきた上野壮大監督の存在だろう。

覗き見するように遮蔽物で画面を覆った引きの構図、長い間のある会話、トンネルの反響を活かす音響、アンビエントな劇伴といった要素は視聴者にながら見を許さず、両親の再婚で兄妹になった浅村悠太と綾瀬沙季の逡巡に目と耳を凝らさせる。

一見すると写実的とも言えるが、この第6話は豪雨の中で沙季の帰りを待つ悠太を長尺で生っぽく描きながらも、沙季と再会した時エレベーターに長時間留まり続ける非現実的な見せ方も選択して見せる。エレベーターでの二人を鏡に写し、兄妹のロールを取り繕う様をえぐり出す。

どこまでも視聴者に対して挑発的な演出をやり切る上野監督の豪胆さと老舗であるスタジオ・ディーン、原作サイドの理解は称賛したい。

 

■『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』episode.1「私を殺した婚約者」

脚本/待田堂子 絵コンテ/いわたかずや 演出/所俊克 作画監督/泉坂つかさ 総作画監督/今西亨、井上英紀

許嫁に婚約破棄され追放されたリーシェが旅の商人と出会い、職をつけて自立することを覚える様が女性主人公の活劇として面白く、それでいて6回の人生が戦争により20歳で幕を下ろす様を黒駒であっさり描くことで運命の重苦しさを表現する掴みが良い。

あっさり流した分、戦争の原因であるアルノルトとの出会いにしっかりと間をとり、リーシェの2回からの飛び降りに枚数を使ってスローモーションのように見せることでアルノルトにとって決定的な場面にすることにも成功している。

とにかくリーシェのしたたかさや行動力、殺陣もこなす強いヒロインぶりが楽しい作品だったが、この掴みがとにかく良くて第1話を選んだ。

ARIA The ORIGINATION』第4話の絵コンテ・演出・作画監督・一人第一原画が伝説的な井上英紀氏が総作画監督として参加してアクションパートを担当していることでリーシェの立ち回りが妙に骨太なのも嬉しかった。

 

■『烏は主を選ばない』第13話「烏に単は似合わない」

脚本/山室有紀子 演出/児谷直樹 作画監督/永川桃子、朱世杰、今木宏明 総作画監督/乘田拓茂

1クール目に描かれる桜花宮で起こる騒動の決着編。

奈月彦によりあせびの無邪気な邪気や藤波の慕情の歪み、それらを取り繕おうとする宮の枠組みが暴き出される様を、3DCGの柱をナメて奥行きを出すロングショットや1コマ打ちの作画によって緊張感をもって描く演出が圧巻だった。

ゆるキャン△』シリーズで知られる京極義昭監督だが、本作ではProduction I.G出身らしい硬質なレイアウトが一貫して決まっていて端正な画面が印象深かった。

また『BLEACH 千年血戦篇』など、近年のスタジオぴえろの盤石の制作力には目を見張るものがある。

ほか、出崎統監督の『おにいさまへ…』の「マリ子刃傷事件」すら彷彿とさせる第8話「侵入者」の白珠もまた素晴らしかった。

 

■『きのこいぬ』第8話「きのこいぬのかいもの」

脚本/大内珠帆 絵コンテ・演出/渚美帆 作画監督佐々木睦美、堤谷典子、井本美穂、鴨田真由子 総作画監督/遠藤大輔

こちらも『ゆるキャン△』シリーズで知られるC-Station制作で、立山秋航氏のゆるくアンビエントな趣もある劇伴や間を効果的に使った作風は『ゆるキャン△』から引き継ぎつつも独自の味わいがあって楽しい一作だった。

ゆるいマスコットキャラであるきのこいぬが主人公だが、その飼主であるほたる達は比較的年のいった設定をしているのが特色とも言える。

このエピソードでは雑誌編集として特集記事を担当したばかりのこまこが3児の母となった同窓生と再会したり、中学生の娘を持つつばきが別れた夫と会ったりと、なかなか他で観られない人間模様が描かれる。

それも、こまこが親子連れを眺める様をやたら長い間で止めて見せたり、元夫を振ったつばきが米俵を担いで娘を迎えにきたりと、それぞれの境遇を笑い飛ばすような優しい視線の喜劇で描くのが何より良かった。

 

今年はまだ気に入ってる話数があり、10選には漏れたが以下もお気に入りに挙げておく。

■『ゆびさきと恋々』Sign.12「私たちの世界」

■『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』第6話「婚約相手に近寄る輩がいたので、返り討ちにしてやりたいと思います」

 

何とか年内に書き終えた……。

良いお年を!

 

話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選

かなり久しぶりの投稿になりますね。皆様お元気でしたでしょうか。

 

最近はTwitter(X)の方でもTVアニメの各話に感想をつけることが多く、

今年は記事を書けるだけの話数がぱっと浮かんだので書いてみることにしました。

 

今は本企画の集計は「aninado」様が行っているそうです。

企画趣旨も「aninado」様から引用させていただきます。

■「話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選」ルール
・2023年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2023年中に公開されたものと致しますので、集計を希望される方は年内での公開をお願いします。

 

■『山田くんとLv999の恋をする』Lv.08「もしそうならそれはすごく」

 

脚本/中西やすひろ 絵コンテ/澤井幸次 演出/熊野千尋 作画監督/竹内杏子、唐澤雄一、宮前真一 総作画監督濱田邦彦

カードキャプターさくら』『ちはやふる』といった少女漫画作品の監督を多数手がけている浅香守生監督だけあり、第1話のアバンからして引き込まれる演出をしていたが、今年で68歳の澤井幸次の絵コンテは特に切れ味が鋭かった。

台詞と台詞の間を切り詰めたハイテンポなコメディで進行したと思えば、茜の心が動く場面は間と静寂(あるいは残響)を使って決定的なものとして描き出す。山田が茜を名前で呼んだ瞬間の白んだ背景と消えるモブは白眉だった。

30分に満たないTVアニメ尺の時間のコントロールが頭一つ抜けていた。

 

■『転生貴族の異世界冒険録』第9話「修行」

脚本/藤本冴香 絵コンテ・演出/中村憲由 作画監督/桝井一平、鈴木伸一、野上慎也、HANIL ANIMATION 総作画監督/徳川恵梨、永井泰平、那須野文

転生した主人公を幼少期から追う転生モノのフォーマットをキッズアニメのテイストに落とし込み、中村憲由監督らしいハイテンションコメディに昇華した技ありの一作。

しかしこの回は主人公のカインがユウヤに呼ばれ、自分が転生した理由を知る作中でもシリアスなエピソード。

Aパートでカインがハクを介錯しようとする時にインサートされる前世の回想と「いつも誰かを守りたいと思っていたのに」という台詞を、Bパートでのドランとの修行中にカットバックされる両親の死因となったアーロンとの戦いの回想と「大切な人を守りたい」という台詞に繋げて、1話数ながらカインの根っこと成長を見せ切る編集が見事だった。

天丼コメディを続けることでカインと彼を取り巻く人々の絆にも説得力がある。アニメという抽象度の高い表現が持ちうる伝達力を改めて教えてくれた。

 

■『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』chapter 6「悪夢とヘタレと姫抱っこ」

脚本/福田裕子 絵コンテ/吉村文宏 演出/上間由梨 作画監督/諸葛子敬、齊藤格、清水勝祐、遠藤省二 総作画監督/片山みゆき

手塚プロダクション制作、『おにいさまへ…』で出崎統監督の下で演出をしていた吉村文宏監督による近年流行の悪役令嬢モノという絶妙な組み合わせが楽しい一作。

実況と解説でも踏み込めない、王子の婚約者という役割によって本心を抑圧されたリーゼロッテの内面に迫るこのエピソードに確かな切迫感があったのが良かった。感情が乗った映像を一気呵成に見せるために切り詰めた編集が良い。

最後に無垢だった頃の少女のリーゼロッテで締めるのも泣ける。

嫉妬の炎を冷たく燃やす楠木ともりの演技と、フィルムスコアリングかのように場面毎の心情を描写する劇伴も良い仕事をしていた。

 

■『彼女が公爵邸に行った理由』第6話「彼女がコスプレした理由」

脚本/広田光毅 絵コンテ/ロマのフ比嘉 演出/上薗隆浩、山元隼一 作画監督/丹澤学、錦戸未奈、橋本真希、林田多希、Haavard Skjeggestad Dale、陳潔琼 総作画監督橋本治

この回は絵コンテが鮮烈だった。

ノアの書斎の場面から真俯瞰が印象的に使われる。こうも上から撮られると、上に何があるのか気になってしまう。そして真俯瞰の構図で場面が寝室から小舟の上へ飛ぶ。夜の水面には花火が照り返している。ノアがレリアナに言う。「私のそばにいてくれ」ああ花火が上がり切る。爆ぜる瞬間、画面に映るのは……。

ノアがレリアナに惹かれているのを決定的なものとして見せるドラマチックな絵コンテと演出にとても興奮したエピソードだった。

『夫婦以上、恋人未満。』#07も良かったし、山元隼一監督の花火回はスペシャルだ。

 

■『トモちゃんは女の子!』#08「夏祭りの夜/二人の距離感」

脚本/清水恵 絵コンテ/小林一三、駒宮僅 演出/塚田拓郎、駒宮僅 作画監督/駒宮僅、谷口元浩、高星佑平、中和田優斗、二宮奈那子、赤尾良太郎 総作画監督谷口元浩

第1話は智と淳一郎の肉体接触がヒヤヒヤする割にオチをつける前のタメや後の余韻みたいなものがなく平坦で大丈夫かと思っていたが、狂言回しのキャロルの登場以降は右肩上がりに面白くなっていった、ある種TVアニメらしい作品。

特にこの第8話はBパートの絵コンテ・演出・作画監督を務める駒宮僅が衝撃だった。冒頭から水たまりの映り込みまで使ったレイアウトや凝ったライティングで見せつつ、デフォルメも勢いがあって楽しい。

情感や緊張感はあるけど枠に収まらない破天荒さもある演出がそのまま群堂みすずのパーソナリティに直結している感じも良かった。みすずはお気に入りのキャラクターだから、Aパートの独白からBパートの淳一郎との帰り道に繋げて彼女の心情を拾ってくれたのも嬉しかった。

 

■『スキップとローファー』Scene.08「ムワムワ いろいろ」

脚本/米内山陽子 絵コンテ・演出/山城智恵 作画監督/柳瀬譲二、Lee san jin、中山みゆき、佐藤好、田中未来、花輪美幸 総作画監督/梅下麻奈未

P.A.WORKSらしいカッチリした画面や所作の作画は活かしつつ、出合小都美監督の劇伴を含めた演出のコントロールで軽やかに仕上がった一作。

傍観者的な立ち位置をとるミカが、美津未と志摩のデートを尾行する中でより外側に立つナオちゃんと出会って当事者側へと背中を押されるドラマが心地よい。

一方で梨々華に過去を責められた志摩の孤独な夜と、かしましい女子会の夜が同時にあることを示すクロスカッティングの切れ味が鋭く決まっているのが印象的。デフォルメ女子会にこの劇伴を重ねるのが凄い。

 

■『君は放課後インソムニア』第10話「姉はん星」

脚本/池田臨太郎 絵コンテ・演出/横手颯太 作画監督/三橋妙子、冨永拓生、井元一彰 総作画監督/熊田明子

本作の舞台・金沢出身の池田ユウキ監督を始めとした若手の演出家陣の仕事と、各地方スタジオ含めたライデンフィルムの内製率の高さが充実に繋がった一作。

妹の伊咲を昔から知っているのは姉の早矢だけど、伊咲から伝わってくるイメージをフィルター越しに目撃するのは丸太だ。心臓の病気を丸太が知っていることに驚く早矢の表情と間と、足を組み直す描写が良い。

そうして早矢の心情を紐解いていった先にあるバトンタッチが切ない。

大人である早矢の象徴としての車をAパート冒頭から横切らせたり、回想で後部座席に乗る早矢を見せたりすることで印象付けているのも良かった。

 

■『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』第4話「羽が折れているのに飛んでいくもの、なに?」

脚本/村山沖 絵コンテ・演出/河原龍太 作画監督/野田猛 総作画監督/井川典恵

アイドルアニメながら児童労働の設定へのシビアな視点が見える奇妙な一作だったが、それゆえこの回も印象に残った。

決め込まれたレイアウトによって、プロフェッショナルたろうと振る舞う桃華を追い詰めるカメラが強調される。プロデューサーの言葉を受けて桃華が見たのはカメラではなく柵の向こうにいるファンの少女だ。子供の高さの目線によってこそ桃華は飛ぶ。

シビアな大人の世界の中で少女がノブレス・オブリージュを一本の命綱に擬似的な死を超えるイニシエーションに臨む、試み自体がバンジージャンプのようなエピソードだった。

 

■『江戸前エルフ』第9話「Time After Time」

脚本/ヤスカワショウゴ 絵コンテ/齋藤徳明 演出/岩田義彦 作画監督/小川莉奈、森田裕之 総作画監督/中尾隆文、齋藤温子、小笠原憂、細川修平、牙威格斗

原作絵のテイストをかなり踏襲しつつもルック作りだけに堕せず情感を描くことにも余念のない良い作品だった。

大掃除で出てきたベータの録画に残っていた小糸の母の姿を直接映さずに、小糸の背中を長い間をとって見せるこの場面にはひとつの達成を感じた。今は失われてしまったものへの想いを寄せる目線が温かくも切ない。

Aパートで雨上がりに駆け出す小糸と小柚子、それを見つめるエルダを先に見せておくことで人の歴史の連なりとエルダの永遠性を実感させる構成になっているのも良かった。

 

■『私の百合はお仕事です!』シフト.03「何を信じたらいいんですの?」

脚本/ハヤシナオキ 絵コンテ/高橋成世 演出/深瀬重 作画監督/郁山想、柿畑文乃、酒井KEI、清水拓磨、Zearth Sato 総作画監督/岩崎たいすけ、徳田拓也、原田峰文、冨岡寛

citrus』を含め高橋丈夫監督作品に多く参加するさんぺい聖監督が遺憾なく腕をふるい、百合コンカフェに集まった変わり者たちをサスペンスフルに描く楽しい一作。

本作での高橋成世の絵コンテは毎回どこかしらにキレがあって面白かった。

この第3話では主人公の陽芽が自分に強く当たる美月を懐柔しようと手を重ねるが、見事に地雷を踏んでしまった場面。初めは美月も画面に映っていたが、長いPANによってどんどん画面から消えていく……というホラーな撮り方に戦慄した。

サスペンスに彩られた少女達が互いの壁を乗り越えた最終回の多幸感も良かった。

 

10選は以上です。

が、以下に選外にはなったものの言及しておきたいエピソードも書いておきます。

 

■『川越ボーイズ・シング』menu6「Summer Blessing」

第9話の絵コンテ・演出・作画監督/武内宣之回も素晴らしかったけど、この時点で本作はかなり面白かったのでこのエピソードを。

静男と父の揉め事を見た天使が自分の過去の過ちに気づき、それを聞いた静男が自分の歌のルーツを思い出すドラマの連ね方、それを喜劇でやってしまうところ、静男の姉のギャルからもたらされる台湾かき氷までシナリオが決まっていた。

 

■『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』Layer 07「雨降って地固まる」

アルコールソフトの社長がコンプレックスから詐欺に引っかかったことが明かされ、息子の守が気づけなかったことを悔いる急転直下のドラマを、大槻敦史の絵コンテによるレイアウトの決まった演出で切迫感をもって描けていた。

作中何度も出てくるアルコールソフトの社屋がライティングや時間経過で様々な表情を見せるのも良かった。

 

選出した作品で察される方もいるかと思いますが、今年は特に4月始まりの作品に刺さるものが多くて充実感がありました。来年も楽しい作品との出会いに期待しています。

 

そして『川越ボーイズ・シング』第12話、お待ちしております……!

AqoursのLoveLiveにある、現実とアニメの連動を振り返る

2016年にアニラジの話をして以来、はてなダイアリーはてなブログに移行してなお

放置しきっていた当ブログですが、ラブライブ!フェスを前にひとつ書きたいことを

記事にしておこうと思いたち、筆を執りました。

 

というのも、AqoursもTV出演や取り上げられる機会が多いのですが、紹介の際は

まだ「アニメとのシンクロダンス」という点に終始することが多いなと思っていて。

 

もちろんそれもμ'sから引き継いだ核の一つではありますが、Aqoursのパフォーマンスは

アニメからのフィードバックだけでなく、アニメとダンスが相互に連動した構成に

独自の魅力があると私は感じています。

 

あまり他の方がそこに触れているのも見ないので、今回書いていこうかなと。

 

アニメと完全に重なり合う構図

Aqoursの1st LoveLiveは「青空Jumping Heart」で始まります。

動画のサムネイルでも分かりますが、この曲では冒頭、アニメのキャラクターと

ステージに立つキャストのシルエットが完全に重なり合います。

アニメとステージのリンクまで計算して、アニメの構図や振り付けを作り込んでいる

ことに当時衝撃を受けました。

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放送回単位で選ぶ、2015年アニラジ5選

昨日の記事で書いたとおり、本日はアニラジ5選をやります。


他にやってる人もいないし、ルールもないようなものですが、一応……。

<ルール>
・2015年1月1日〜12月31日までに放送・配信されたアニメ・声優関連ラジオ番組から選定。
・1番組につき上限1回。
・思いついた順に掲載。順位は付けない。


といった形で、早速参りましょう。


■A&G NEXT GENERATION 三上枝織のLady Go!! 第250回
2015年で5年間の幕を閉じたLady Go!!から代表してこの回を。
今回選んだのは最終回のひとつ前の回。
この回で、三上さんがハガキ職人「とある現役のガチ兄さん」のことを「現役(げんやく)」と読み続ける理由が語られました。
もともと「現役(げんやく)」と読んでいたのは、1年目でLady Go!!を降板した寺本來可さんでした。
三上さんは、寺本さんの痕跡がずっと残り続けるようにそれを引き継いでいたと。
そして、三上さんは「私がげんやくと読み続ける限りLady Go!!も残り続ける」とまで言いました。
天然でどこか抜けているような三上さんの芯の強さを感じ、はっとさせられた回でした。


RADIOアニメロミックス ラブライブ!〜のぞえりRadio Garden〜 第68回
こちらも2015年に終了した番組。
この時期すでにマンネリ気味になりつつあったところで、突然の全編通してのすごろく回。
はじめ出目が悪かった南條愛乃さんが、楠田亜衣奈さんがジュースを買っている間にゴールしてしまう畜生展開はまさに奇跡。
それが僕たちの奇跡でした。


村川梨衣の a りえしょんぷり〜ず♡ 第2回
すでに様々な番組で強烈なキャラが周知されている村川さんですが、この番組の一人コールアンドレスポンスは衝撃的でした。
構成作家ちゃんこさんに「どうしたの」と言われた時や、サンバを踊り出すディレクターへの突っ込みも新鮮。
作家やディレクターもキャラ濃い目で、独自のパワーバランスとなってるのがこの番組の特色かなと思います。
まさに三頭政治、声優ラジオ界の第一期Ritchie Blackmore's Raibowと言えるでしょう(言えない)。


文化放送ホームランラジオ!パっとUP 第10回
2015年最も勢いに乗っていた番組……の中の箱番組
最近露出が増えている優木かなさんと、WUGの一員である永野愛理さんがパーソナリティ。
優木さんはラジオ番組やニコニコ生放送番組の経験があり、すでに立ち振舞が器用な印象ですが
おっとりしたようで意外とぶっ込んでくる永野さんにイニシアチブを取られてしまう感じが良いです。
この回は、最後の永野さんの「私ともラブラブで」に優木さんがブッと吹き出して「動揺が隠し切れない」という下りが良かった。
2015年の百合大賞です。


■内田さんと浅倉さん 第69回
内田彩さんのお誕生日回で、浅倉杏美さんがお祝いの手紙を読むというサプライズがある回。
それだけでもスペシャルな回ですが、リスナーの「女性下着は上下で消耗に差があるから上下一致しないものを着ている」という
ネタへの女子力の高い反論あり、一方で内田さんの自宅にアリの行列ができていた話もありで、情報量の多い回でした。
この下着の話で「上下一致しないものを着ている」と言った他番組は、確か「小松未可子のLady Go!!」だったはず。


以上です。


2015年はLady Go!!やのぞえりなど良く聴いていた番組の終了が多かったので、それもあってのアニラジ選でした。
こちらも2016年は10選まで出来るようにレベルアップしていきたいですね。
音泉方面とか手薄ですし。


それでは、2月20日の「楠田亜衣奈渡部優衣の気分上等↑↑」イベントでお会いしましょう。

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ5選

なんと1年ぶりの更新です! こわい!


相変わらずアニメ・マンガ評論刊行会さんのところで編集としてアニメ評論集同人誌「アニバタ」に携わっています。
書店委託通販もありますので、ご興味ありましたらよろしくお願いします。


では、2015年のTVアニメから個人的ベストを選んでいこうと思いますが、今回は10選ではなく5選とします。
自分の視聴数が例年より落ちているのもありますが、厳選したいなと思いまして。

<ルール>
・2015年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・思いついた順に掲載。順位は付けない。


■『アイドルマスター シンデレラガールズ』 第17話「Where does this road lead to?」

脚本/雑破業 絵コンテ/鈴木健太郎 演出/矢嶋武 作画監督/田村里美、古橋聡

城ヶ崎美嘉の葛藤を軸に、城ヶ崎莉嘉の自己表現の苦しみ、赤城みりあの家庭の悩みを一つのドラマにまとめ上げた傑作エピソード。
美嘉の広告のショットが決まるラストまで神経の行き届いた雑破業さんの構成の妙が光っていました。
C89にて頒布した「アニバタ vol.14 特集 アイドルマスター シンデレラガールズ」では本エピソードを中心に雑破業さん脚本について書いています。
今回のアニバタも書店委託通販をしていますので、見かけた際はよろしくお願いします!(熱い宣伝)
あと、このエピソードが好きな方におすすめしたいのが、雑破業さんが実質のメインライターを務めた『戦国コレクション』です。アイドル回もあるよ!


■『Go!プリンセスプリキュア』第22話「希望の炎! その名はキュアスカーレット!」

脚本/田中仁 絵コンテ・演出/田中裕太 作画監督/中谷友紀子

プリキュアシリーズで経験を積んできた田中裕太さんの初シリーズディレクター作品らしく、プリキュアのドラマの肝要を押さえたエピソード。
短調のメロディが長調のメロディと重なり完成した曲と、過ちも含めた自己を肯定するトワのドラマをリンクさせるギミックが見事でした。
作画面も板岡錦さんの炎エフェクト、藤井慎吾さんの抜群の空間表現によるアクション、志田直俊さんの火の粉を活かした変身バンクなど見所多数。


■『えとたま』第拾弐話「干支繚乱」

脚本/赤尾でこ 絵コンテ・演出/追崎史敏 CGコンテ/新井陽平 CG構成/和岡つかさ 作画監督小池智史秋山由樹子、白井順、追崎史敏

白組の抜群のCGアクションを堪能しつつ、佐藤順一門下ともいえるエンカレッジらしいハートウォーミングなドラマを楽しめた一作。
チュウたんの「嫌いだ」からの感情が爆発する一連の場面に、このシリーズを観てきた甲斐を感じました。


■『ご注文はうさぎですか??』第8羽「スニーキングストーキングストーカーストーリー」

脚本/ふでやすかずゆき 絵コンテ/山崎みつえ 演出/荒井省吾 作画監督/Lee Duk Ho、Kim Jeong Eun、Cha Sang Hoon、油谷陽介、りお

キッズアニメライクなコメディ感覚とハートウォーミングなドラマ作りが日常ものの中でも好みの本作。
このエピソードは、ふでやすさんの脚本をさらにドライブさせる山崎みつえさんの絵コンテが良かった。
三つ巴になり硬直する場面は、個人的な本作の瞬間最大風速でした。


■『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-』第22話「ファンシーメルシーブラックコーヒー」

脚本/橋口いくよ 絵コンテ/井出安軌 演出/森義博 作画監督/謝苑倩、鎌田均、中山初絵、糸島雅彦、北川大輔

劇場内や作品内番組など、箱庭的な世界での舞台劇的な作風の多い本作の中では珍しい、外でのゲストキャラとのドラマ。
絵コンテは『おねがい』シリーズを手がけた井出さん。佐伯キラの失恋と成長のドラマは、変化球の多い本作の中では特にストレートに響きます。
アイドルアニメの中でも、失恋エピソードをここまで爽やかに描けるのは男子の特権だなとも思わされました。


以上です。


番外編として、日本アニメ(ーター)見本市の『ザ・ウルトラマン ウルトラマン対ジャッカル』を。
巧みな空間表現で説得力を持たせつつ特撮本編の感触も残したウルトラマンの宇宙での戦闘には、特撮好きとして目頭が熱くなりました。


2016年はまた10作選出できるようになれば良いなと思います。
また明日は、何もなければ「放送回単位で選ぶ、アニラジ5選」をやりたいなと考えています。


2016年1月11日に新宿ネイキッドロフトにて、このTVアニメ10選企画を語るイベントがあるそうですね。

各々様々な視点を持つアニメブロガーの皆さんが登壇されるようで、気になるイベントです。


・今までの10選

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選

2つ前の記事が去年の話数単位10選記事! こわい!


ブログに宣伝記事を書く間もなかったのですが、今年はアニメ・マンガ評論刊行会さんのお誘いで
初めて編集として同人誌制作に携わったりと、色々と新しいことができました。
以下、私が企画・編集で携わったC87刊行の同人誌です。書店委託・通販もありますので、何卒よろしくお願いします。

アニバタ Vol.11 [特集]2010年代のアイドルアニメ
http://www.hyoron.org/anibata11


では、本題の2014年TVアニメ10選に移ります。

<ルール>
・2014年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・思いついた順に掲載。順位は付けない。


<10選リスト>
・『ハピネスチャージプリキュア!』第44話「新たなる脅威!? 赤いサイアーク!!」
・『プリティーリズム・レインボーライブ』第50話「煌めきはあなたのそばに」
・『ガンダム Gのレコンギスタ』第2話「G-セルフ起動!」
・『悪魔のリドル』第十問『女王はだれ?』
・『ピンポン THE ANIMATION』#5「どこで間違えた?」
・『LOVE STAGE!!』第8話「Φ(ラブ)STAGE 男達の流儀」
・『月刊少女野崎くん』第八号「学園の王子様(女子)の悩み」
・『ガンダムビルドファイターズ』第15話「戦士(ファイター)のかがやき」
・『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』第27話「禁断のヒーロー登場?」
・『HUNTER×HUNTER』第135話「コノヒ×ト×コノシュンカン」


<各話選評>

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CGエフェクト出身ということに注目して見る、京極尚彦監督の『ラブライブ!』PVや2期OP演出

ラブライブ!』2期のOPアニメは、色々な見どころがあると感じています。
まず、東映アニメーションが担当する3DCGは、セルルックもさることながらアニメ作画的なタイミングの付け方に違和感が全然ない。
それに、多分作画部分とタイミング付けをしっかり合わせているタイムシート使いの徹底も感じます。


そういったコントロールは、京極尚彦監督が3DCGを扱う部署の出身というところが出ているのかなと思います。
もう一つ、この京極監督の出身から見える特色があります。
それは、京極監督がCGエフェクト出身という部分です。
これは、以前書いた京極監督のカメラワークの記事とも関わってくる、監督のフィルムの流れへの意識を感じさせるものでもあります。
では、「それは僕たちの奇跡」までに連なる京極監督のCGエフェクト演出を、「snow halation」、「夏色えがおで1,2,Jump!」といったアニメPVから見て行きましょう。


・「snow halation

このPVは曲の通り雪のCGエフェクトがふんだんに使われています。
そんな中、エフェクトに注目するとまず目を引くのが最初のサビ。
「届けて切なさには」*1の部分で引きの俯瞰からカメラをクレーンのように素早くキャラ正面まで移動させることで、
雪よりもカメラの動きが勝ち、雪が静止したような印象になっています。
その後の「悔しいけど」のカット*2も同様で、雪があることでそれに逆らうカメラの動きが強調されて、
動きにダイナミックさが出るんですね。

*1:画像左

*2:画像右

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