ラカンの入門書という感じでした。一般的には難しいとされているラカンのレイアウトを掴むのにはよいかもしれません。
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ラカンはこう読め! 単行本 – 2008/1/30
スラヴォイ・ジジェク
(著),
鈴木 晶
(翻訳)
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ついにジジェクが書いた!!
現代思想界の奇才による待望のラカン入門。
映画や文学、現代政治のエピソードから、誰もが出会う日常的な体験までを縦横無尽に論じながら、難解と呼ばれるジャック・ラカンの思想を軽やかに解きほぐしていきます。
現代思想界の奇才による待望のラカン入門。
映画や文学、現代政治のエピソードから、誰もが出会う日常的な体験までを縦横無尽に論じながら、難解と呼ばれるジャック・ラカンの思想を軽やかに解きほぐしていきます。
- ISBN-104314010363
- ISBN-13978-4314010368
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2008/1/30
- 言語日本語
- 本の長さ231ページ
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商品の説明
著者について
【著者】スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Zizek)
1949年、スロヴェニアのリュブリアナ生まれ。哲学者・精神分析学者。現代政治から大衆文化まで縦横無尽に論じる現代思想界の奇才。現在、ロンドン大学バークベック・コレッジ人文科学高等研究センターの国際ディレクター。
1949年、スロヴェニアのリュブリアナ生まれ。哲学者・精神分析学者。現代政治から大衆文化まで縦横無尽に論じる現代思想界の奇才。現在、ロンドン大学バークベック・コレッジ人文科学高等研究センターの国際ディレクター。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2008/1/30)
- 発売日 : 2008/1/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 231ページ
- ISBN-10 : 4314010363
- ISBN-13 : 978-4314010368
- Amazon 売れ筋ランキング: - 268,638位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 478位西洋哲学入門
- カスタマーレビュー:
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- 2017年3月12日に日本でレビュー済み書店にて購入させていただきました。
本書を購入したのは2008年の発売当初ですが、1回通読してから積ん読し、その後再読、再再読していま(2017/3/12)に到り、レビューを書こうと思いました。
本書の原題は”HOW TO READ LACAN"ですから直訳すると『ラカンの読み方』とでもなりますが、そこは流石鈴木晶先生、『ラカンはこう読め!』というすばらしい邦題にしていらっしゃいます。
著者のスラヴォイ・ジジェクですが、精神分析家や精神分析学者というより、ラカン派哲学者と呼んだほうが正確なのかな、と思います。
ジジェクはラカンの女婿にあたる、ジャック=アラン・ミレール(ラカンの正統的後継者でありフロイトの大義派の実質的指導者)から指導を受け博士号を取得しています。
さて、本書の内容についてですが、通常想像される入門書とは趣が異なっています。
「はじめに」でジジェク自身が以下のように述べています。少々長くなりますが引用します。
「ラカンは貪欲な読者であり解釈者だった。ラカンにとっては精神分析そのものが、テクストを読むための道具だった。そのテクストが、語られたもの(患者の語り)であろうと書かれたものであろうと。したがって最良のラカン読解法とは、ラカンの読書法をみずから実践すること、すなわちラカンとともに他者のテクストを読むことではなかろうか。そこで本書では一章ごとに、ラカンの著作からの引用を、(哲学、芸術、大衆芸術、イデオロギーからの)引用と対決させる。他のテクストをラカン的に読むことを通じて、ラカン的な立場とはどのようなものであるかが明らかになるだろう」(p.21)
「訳者あとがき」で訳者の鈴木先生も以下のように書いていらっしゃいます。
「この『ラカンはこう読め!』は、これまでに出た最良のラカン入門書であると断言してもよかろう。ただし著者ジジェクは、ラカンの書いていること、言っていることを逐一解説するわけではない。ふつうの「注釈書」ではない。本書の冒頭で彼が書いているように、ラカンを解説する最良の方法は、今日の政治、社会現象、文化、芸術作品をラカン的に読むこと、つまり、ラカンの理論を実践することだ、というのが著者の基本的姿勢なのである。そのため、本書はふつうの入門書とはずいぶん趣を異にしている」(p.226)
つまり本書は、ラカンの理論の応用を通してラカンを理解させるという本で、ラカンの主要な概念(鏡像段階や対象aや想像界・象徴界・現実界の三幅対など)のわかりやすい解説書というわけではないので、その手の本が欲しい方は別の本(たとえば鏡像段階に関しては、福原泰平さんの『現代思想冒険者たちSelect 鏡像段階 ラカン』(講談社、2005)など)を購入されたほうがいいかもしれません。
「ラカンの理論の応用を通してラカンを理解させる」という方法の巧さに関しては、ジジェクの右に出る者はいない気がします(たとえば、『斜めから見る―大衆文化を通してラカン理論へ』(青土社、1995)などを読んでも)。
以下に、本書の目次を列挙しておきます。
死の前に生はあるかーー日本語版への序文
はじめに
1 空疎な身ぶりと遂行文/CIAの陰謀に立ち向かうラカン
2 相互受動的な主体/マニ車を回すラカン
3〈汝何を欲するか〉から幻想へ/『アイズ・ワイド・シャット』を観るラカン
4〈現実界〉をめぐる厄介な問題/『エイリアン』を観るラカン
5 自我理想と超自我/『カサブランカ』を観るラカン
6「神は死んだが、死んだことを知らない」/ボボークと遊ぶラカン
7 政治のひねくれた主体/モハンマド・ボウイェリを読むラカン
原註
訳注
年譜
読書ガイド
訳者あとがき
索引
以上です。
本書は索引まで含めて全体で231ページです。
評価を星5つではなく星4つとして理由は、いま現在では、ジジェクのようなアクロバティックな(斎藤環さんにならうなら「秘教的な」)解説書と違う、松本卓也さんの『人はみな妄想する -ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社、2015)や向井雅明さんの『ラカン入門』(ちくま学芸文庫、2016)のような正統的かつ網羅的な解説書(入門書)があるからです(それでも「面白さ」の点ではジジェクに軍配が上がる気もするのですが)。
最後になりますが、注意点を少しだけ。鈴木先生は、ジジェクの『イデオロギーの崇高な対象』(河出書房新社、2000)の「訳者あとがき」に以下のように書かれています。
「(前略)「正統派」ラカン主義者たちからは、ジジェクはラカン思想から逸脱しているという批判もあるようだ(後略)」(p.346)
*本レビューのタイトルは、本書の帯の惹句からの引用です。
**ぼくは精神分析に関して門外漢ですので、本レビューに間違い等散見されるかもしれませんが、文責はぼくにあります。
- 2014年1月20日に日本でレビュー済みAmazonで購入ジジェク「ラカンはこう読め!」は2008年刊、鈴木晶氏訳。本書は、ラカン入門書でありながらも、普通の入門書とは趣を異にしています。ラカンの書いていること、言っていることを逐一解説しているわけではありません。ラカン思想を解読する最良の方法は、現代の( 今日の )政治、社会、経済、文化、芸術作品などをラカン的に読むことーラカンの理論を実践することーが基本的な姿勢だと、ジジェクは主張するわけです。本書では、「エイリアン」「サイコ」「アイズ・ワイド・シャット」「カサブランカ」「地獄の黙示録」「刑事コロンボ」といった映画やドラマ、ドストエフスキーやカフカ、ベケット、シェークスピアなどの小説、戯曲が俎上にのせられています。少女とカエルが登場するビール会社のコマーシャルを取り上げ、〈性関係は存在しない〉をユーモラスに描出してみせる場面も。〈大文字の他者〉に関しての解説は大変参考になりました。とにかく、読みやすくて面白い。挑発的で刺激に満ちた、ジジェクならではのユニークな「ラカン入門書」です。〈女性は存在しない〉という命題が正面から取り上げられていなかったのは、多少残念ではありましたがー。231ページの本にしては、原註、訳註、年譜、読書ガイド、訳者あとがき、索引なども収録していますし、良書といえるでしょう。 鈴木晶氏の翻訳も素晴らしいです。
- 2012年11月28日に日本でレビュー済みAmazonで購入後期ラカンの「政治神学」的な部分に絞って解説してある
臨床的な部分についてはほとんど割愛してある
中々曝露的な内容で、「公にはできない、いいにくいこと」が、わかる人にはわかるようにしっかりと書いてある
「エイリアンの二つのパターン」など、ジジェクらしい視点からラカン理論を(かなり割り切った形ではあるが)とても分かりやすく解説している
「世の中の仕組み」に興味がある人はぜひ読んでみるべし
- 2008年4月14日に日本でレビュー済みAmazonで購入この本は、確かに、ラカン理論のジジェクによる解説書である。現実の政治論争や映画を題材にして、とりわけ日本語版への序文に黒澤明の『羅生門』の分析がのっているところを読むだけでも、ラカン理論の〈象徴界〉〈想像界〉〈現実界〉の区別が手に取るようにわかるように書けている。まさに「ラカンを解説する最良の方法は、〜ラカンの理論を実践することだ」(訳者あとがき)である。しかし、それだけで本書の魅力は終わるわけではない。ラカン理論を知るために読む(解説書)だけでなく、ジジェク自身の思想の核心的な情熱にふれることも大きな魅力の一つだろう。それは、最終章「政治のひねくれた主体」にあると思われる。そこで、ジジェクは国際政治や紛争を担っている「原理主義者」を「精神的倒錯」と見ている。ラカン理論はリアリティをもった武器としてジジェクに現れているのではないだろうか。スロベニア出身のジジェクの学問を形成する一つの動機をそこに読み取ることもできるのだ。
- 2008年12月16日に日本でレビュー済みAmazonで購入ラカン理論の入門書としては失敗だろう。だから、星2つにしようかと思ったけど、ジジェクが書いているので―その仕事量に敬意を表して―星3つにした。ラカンの入門書としては、ブルースフィンクの邦訳『ラカン派精神分析入門』の方が比較にならないほど優れている。そもそも、目と眼差しの分離について、ちゃんと説明できているとは思えない。欲動理論の観点からちゃんと説明すべきだろう。ラカンの『セミネール』をたくさん読めば、それが『エクリ』の理解にも資するというようなあとがきが書いてあるが(不正確だったら謝る)、セミネールをいくら沢山読んだところでラカン理論が分かるわけがない。そんなに簡単ではない。まず、ブルースフィンクの著作から入り、次に、『Reading Seminar I and 'U』や『Reading Seminar X'T』、『Reading Seminar XX』といった本に掲載された論考(英語だが)を読むのが近道。勉強の仕方を間違えてはいけない。
- 2008年2月8日に日本でレビュー済みラカンについては、評者は何ひとつ云々する力をもたない。『エクリ』はほとんど全編チンプンカンプンであるし、『セミネール』もよくわからない。これまでラカン派思想家ジジェクを通して、ラカンの理論について触れてきただけである。
本書はラカンの「分析道具」によって、文学や映画を捌いていくことで、ラカンに迫ろうという入門書だ。映画やシェイクスピアなどの分析・批評も興味深いが、あちこちで披露される小話調のエピソードが面白く、大いに思考を促されるのが心地よい。
双方向性(相互能動性)に対して相互受動性を対置する視点。我々のリベラルな社会的寛容が「十戒」を破っているとし、プライバシーの権利の主張は姦通の権利であるとする。また、幸福追求権は他人を搾取する権利(「汝盗むなかれ」に反する)であるとする。
いずれもジジェクの筆の芸は堂に入っており、読ませる。吉本隆明と同様に「ひきこもり」の重要性を称揚しているところも興味深いが、文芸エッセイ風のように通読できてしまう。
しかし、一読しただけではなかなかラカンがわからない面は否みがたい。読みやすいことが、わかりやすいことではないという気もする。注意深い読書を要する。
- 2016年12月3日に日本でレビュー済み超映画オタクの思想家ジジェクが、ラカンの著作からの引用を、映画(羅生門、カサブランカ、エイリアン、アイズ・ワイド・シャット、 etc. )、文学(シェイクスピア、ドストエフスキー)、哲学、イデオロギー(CIA、宗教的原理主義)からの別の引用と“対決”させ、心理と倫理の奥底にぐいぐいと斬り込んでゆく。ラカンを通して今を読む体験への入門書。What a thrill !
「人間の欲望は他者の欲望であり、他者から欲望されたいという欲望であり、何よりも他者が欲望しているものへの欲望である。」