去年の8月に成立して、今年の4月1日からいよいよ施行される「改正・高齢者等の雇用の安定等に関する法律」(既存の法律の一部改正)。 成立した時も話題になってたけど、これってほんとにエグイよね。
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簡単に言えば、これからは正式に「定年を60歳から65歳に延長します」ってことなんだけど、それだけでなく、
・「希望する全員を65歳まで雇い続ける必要がある」とか、
・「グループ会社にも同じ仕組みを適用しろ」=子会社はもちろん、関連会社に社員を移しても義務を逃れられない
・「義務を守らない会社名は公表する」
などと、めっちゃ気合が入ってる。
65歳まで、グループ会社の社員も含めて全員雇えなんて、それなりに強く言わないと企業も従わないと考えたんだろうけど、高齢者を多く抱える大企業はマジ大変でしょう。
65歳って、元気な人は元気だけど、気は若くても既にまったく生産性が上がらなくなってる人も多いからね。彼らも含め“全員”雇い続けるってマジ大変。職場が高齢者だらけになっちゃう。
それにしてもコレ、ほんとにみんな嬉しいの?
ちきりん的には、ほとんど「誰得?」(誰が得するの?)って感じの法律改正なんですけど。
ちなみに、定年を完全に65歳にするまでの経過措置が12年間あるので、12年後に65歳になる人=今、53歳以下の人はみんな65歳定年です。
今、53歳以下の人が65歳定年・・・ということは、今30歳くらいの人の定年年齢は? さらに今、小学生くらいの子供の定年は何歳くらいになるんだろう?
すでに厚労省は「70歳まで働ける社会へ!」という運動を数年前から始めてます。→ これとか衝撃的でしょ?
このままいくと・・
23歳で就職して65歳まで働くだけでも42年間(←今53歳以下の人はコレ確定)
70歳までなら47年間(←今、30歳以下だと、たぶんコレ)
75歳までだと52年間(←今、小学生くらい以下の方はこのあたりまで・・)
働くことになるんじゃないかな。
半世紀を超えて働くとか、すごくない?
この法律に関しては、高齢者の雇用を守るために若者が新規採用されなくなるとか、定年が伸びても生涯賃金が上がらないよう賃金カーブが変更されるため、30代、40代の人の給与が上がらなくなる、などの問題が指摘されてます。
確かにこれから大企業は本当に大変になる。ここ20年以内くらいの間に起業・急成長してて、高齢社員が少ない若い企業との負担感の差(財務上の足かせの差)は、めちゃ大きい。
そう考えると、「年金制度は若い人に不利だからなくせ」とか言ってる人が大企業を目指すのって、笑えるよね。それって自分から希望して年金制度に加入してる行為ですよ・・。
でもちきりん的にはそんなことより、
そんな長く働く人生ってどうよ?
ってことのほうがゾッとするんだよね。
今50歳の人は、この法律って本当にうれしいの? 今若い人は、自分が65歳まで働けることになって嬉しい?
まっ、あたしには全く関係ないんだけど、40歳からまだ25年(下手したら30年!)も働くなんて、想像しただけでぞっとします。
そんじゃーね
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