電通とフェイスブックの提携話について書くのがブームなのでオレも。
ただし、オレは「現場がどうなるか?」という話をしてみるぞ。
まずは電通とフェイスブック社の提携内容について。以下、プレスリリースより。
*************************************
広告主向けにFacebookページ(※1)のコンサルティング/制作を行うと
共に、Facebookのプレミア広告枠の独占販売や、
マス広告と連動したFacebook活用の新しいマーケティング展開を
広告主に提供してまいります
*************************************
いや、2chじゃないけど、妙に最近フェイスブックについて広告業界の
人々が話しまくってるよなぁ、なんて思っていて電通の人に
「なんか仕掛けてない?」と聞いたんですよ。
そしたら「いや、実はウチが押しまくっているんですよ」と
口のところに指一本当てて言っていたので、いつそのこと
発表するだろうか、そして、その時に2chが「フェイスブック死亡
フラグキターーーー」「セカンドライフの夢、再び!」とやるか、
ってことは思っていたら、このタイミングでしたか、ガハハ。
案の定、2chではこういった反応でしたね。じゃあ、何が起こるのか?
いくつか予想します。
【1】本末転倒なトンチンカンな提案がまかり通る
「何がコミュニケーション上の課題か」ということから必要な企画を
作るのではなく、「フェイスブックをとにかく使う」というものになる。
いやぁ、オレも最近企業へ行くと「フェイスブックで何かしましょう!」
みたいな話ばっかでかなり食傷気味。
どう考えても「手段の目的化」がまかり通っていて、「とにかく
フェイスブックのファンコミュを立ちあげましょう!」って話になり、
効果もクソもなく、作った時には高揚感を味わい、「で、運用どうする
の?」ってな話になり、「何を更新すればいいの?」「“いいね”
が増えないね…」みたいな話になってしまう。
別にこれはフェイスブックマーケティングを否定しているのではなく、
「このコミュニケーション上の課題を解決するにはフェイスブックが
最適です!」という確固たる自信があり、合理性もあるのであれば、
それはフェイスブックを使ってプロモーションをすればいいのですよ。
ただ、電通としては、「何がなんでもフェイスブックを絡める」ってな
姿勢になってしまうんじゃないかなぁ。そうすると結果的に本末転倒な
「フェイスブックを使うことが目的」な企画の乱発ってことになる
ような気も。
「ツイッターで何かをやりましょう!」時代に似てるぞ、これ!
オレが今肌で感じているのは、今の広告業界のフェイスブックに対する
異常なまでの盛り上がりが、2009年末~2010年夏頃までの「ツイッターで
何かやりたいんです」ってどこの企業も言っていたこととあまりにも
ソックリってこと。
花粉症対策グッズのプロモーションのアイディアを出せって言われた
ことがあるんだけど、その時クライアントのお題は「ツイッターを使って
何か!」というものがあった。オレは「ツイッター使うよりも、都会の
ターミナル駅で広告入りのティッシュを配ればいいんじゃないの?」と
提案したわけですよ。すると「ムキーッ! ボクはツイッターで何かを
したいんだぞ!」みたいな話になって却下。
でもよぉ、なんで「花粉症対策グッズ」のプロモーションでツイッター
が効果的なの? 普通に考えれば、渋谷の駅前でティッシュ配っていれば、
花粉症の人は手に取るワケだろ? ターゲットドンピシャの人に広告を
見せたいのであれば、「ティッシュ配り」が「ツイッター」よりも
優れていると思うのよ。
こんな感じで「フェイスブックってのが来ているらしいですなぁ。
電通さん、まっ、御社は提携ができたというではありませんか。
ここはフェイスブックで何か提案をしてくださいよ、よろしく
お願いしますよ、ガハハ」みたいなガハハオヤジによるオリエンが
今後多数出てくるんだろうなぁ、と思いますね。
【2】更新・ファンとの交流に疲れる人が続出する
実際問題として、企業が担当者をつけて、フェイスブックを更新したり、
質問に答えたりするのって相当面倒くさいわけよ。
ネット時代の一つの面倒くささとして、「質問がよく来る」ってのが
あるのね。
オレらの場合だと、記事を読んでキーッ! となったヤツが
「どういうつもりでこんな記事を出したんだ! これで傷ついた人が
いるかもしれないじゃないか!」みたいに「怒りの代理人」になって
編集部にクレームをつけてくる。
こういう人々にいちいち対応しなくちゃいけないのが「双方向性」(笑)
であり、「ソーシャル時代」(笑)なわけだな。
で、次の項目とも関係してくるので、続きはその下で。
【3】成果が出なくて担当者が心を痛める
「いいね!」の数がどんだけ増えるか? 減ったらどうなるか?
フェイスブックページを作ったことにより、どんだけメディア露出が
増えたか? そういった「数字」ってものは、厳しいものを担当者に
突き付けるわけですよ。
数字が出ない方が実は幸せだった…なんてこともあるんだよね、
広告の場合は。それで、また本末転倒な対処療法をやることになる。
あまりに成果が出なくて心を痛めた担当者は、上司から怒られたくない
から今度は「フェイスブックのことを告知する広告」ってのを作る
ことになる。一瞬数字は上がるけど、また過疎化して、今度はもっと
カネをかけて告知をせざるを得ない。
「もう予算ないです!」って時になって「なんでオレらは
フェイスブックにここまで振りまわされていたんだ…」ってことに
はたと気付くわけですね。
【4】「続きはフェイスブックで」が増える
テレビCMとかで「続きはフェイスブックで」みたいな話になるだろう。
でもよぉ、オレがこの前マイコミジャーナルのインタビュー
でも語ったけど、ネットユーザーって企業の世界観なんてどうでも
いいと思ってるのよ。自分がトクするものをクリックするわけだし、
面白い物をクリックするのね。
なんでネットで楽しみたい、って思う時にわざわざ企業のサイト
なんて見に行くの? そりゃあ、バーゲン情報とかクーポンが取れる
のであれば行くけど、「あなたの美を応援したいです」なんて
言われても「うっせーよ、別にお前から応援されたくねぇ!」
なんて思わないか?
別に企業が「マスとの連動」なんて言おうが、
そう思い通りにはならないのね。
コカ・コーラの「ジョージア」が去年「本能寺は変」って企画をやって、
テレビCMで「続きはツイッターで」ってやった。でも、あれってあんだけ
CMを大量出稿してもフォロワーは2520人だぜ。
コカ・コーラ社の人はどっかのインタビューで「成功です!」みたいに
鼻高々だったけど、たった2520人がフォローしただけなのに、
どんだけスポットCM投下したんだって話だよ。
あの時は各種メディアで取り上げられたからそれで良しって
判断なのであれば正しいけど、「フォロワー2520人です!」ってことで
「マスとの連動が図れた」ってことを言うのは違うんじゃないかな。
だって、ネットってのはマスとは違って「強制的に見せられる」って
特徴はないんだよ。「自ら選ぶ」ってことによって見てもらえるわけ
だから、そもそも性質が違うのですよ。
もし、全体を連動させたいのであれば、
「ネット主導」の企画の方が正しい。
つまり、「自らクリックするほどのネタ」をマスでも流せば
そりゃあ見てもらえるだろうな、ってことね。
で、「本能寺は変」だけど、そもそもツイッターって
大企業マーケティングに向いてるのか? って話を
検証する前に使っていた感はありありだな。
ツイッターは焼き鳥屋とかは向いていると思うよ。
「今だったら席あるよ!」とか
「今から30分以内に全員そろったらビールタダであげるよ!」とかね。
この企画だって、電通の若手クリエーター数人が楽しみながら
ツイッターで小説を更新し続けたって聞いたけど、
多分そいつらが「あれをやったのはオレです!」と自慢できるネタが
できたってのが最大の成果になったような気がしてならない。
【5】クライアントが同じ成功事例と売り文句ばかり聞くこととなり、「その話聞いたこと何度もあるんだけどなぁ…、キミ、そこのパート、削っても大丈夫だよ…」と内心思うことが多くなる。
「コカ・コーラは2200万人のファンがいるんですよ!」
「マウンテンデューはフェイスブックで新商品を開発しました!」
「フェイスブックは世界的にヒットして映画の題材です!
ミクシィとは違います!」
「エジプト・チュニジアではフェイスブックで革命が起きました!」
「御社のグローバル展開にはフェイスブックは欠かせません!」
「実名なのでユーザーの質がいいです!」
「ターゲットをドンピシャで囲い込めます! 広告を見せられます!」
【6】終わりに
まぁ、オレはフェイスブックが効果あり! と自信を持って
クライアントに提案する根拠がないので、提案はしないけど、
電通を筆頭にネットマーケティング界隈の皆さん、ぜひ、成功事例を
作ってクライアントをガンガン儲けさせてあげ、ファンをたくさん作る
お手伝い、してあげてくださいね!!!!!!
期待しています!
ただし、オレは「現場がどうなるか?」という話をしてみるぞ。
まずは電通とフェイスブック社の提携内容について。以下、プレスリリースより。
*************************************
広告主向けにFacebookページ(※1)のコンサルティング/制作を行うと
共に、Facebookのプレミア広告枠の独占販売や、
マス広告と連動したFacebook活用の新しいマーケティング展開を
広告主に提供してまいります
*************************************
いや、2chじゃないけど、妙に最近フェイスブックについて広告業界の
人々が話しまくってるよなぁ、なんて思っていて電通の人に
「なんか仕掛けてない?」と聞いたんですよ。
そしたら「いや、実はウチが押しまくっているんですよ」と
口のところに指一本当てて言っていたので、いつそのこと
発表するだろうか、そして、その時に2chが「フェイスブック死亡
フラグキターーーー」「セカンドライフの夢、再び!」とやるか、
ってことは思っていたら、このタイミングでしたか、ガハハ。
案の定、2chではこういった反応でしたね。じゃあ、何が起こるのか?
いくつか予想します。
【1】本末転倒なトンチンカンな提案がまかり通る
「何がコミュニケーション上の課題か」ということから必要な企画を
作るのではなく、「フェイスブックをとにかく使う」というものになる。
いやぁ、オレも最近企業へ行くと「フェイスブックで何かしましょう!」
みたいな話ばっかでかなり食傷気味。
どう考えても「手段の目的化」がまかり通っていて、「とにかく
フェイスブックのファンコミュを立ちあげましょう!」って話になり、
効果もクソもなく、作った時には高揚感を味わい、「で、運用どうする
の?」ってな話になり、「何を更新すればいいの?」「“いいね”
が増えないね…」みたいな話になってしまう。
別にこれはフェイスブックマーケティングを否定しているのではなく、
「このコミュニケーション上の課題を解決するにはフェイスブックが
最適です!」という確固たる自信があり、合理性もあるのであれば、
それはフェイスブックを使ってプロモーションをすればいいのですよ。
ただ、電通としては、「何がなんでもフェイスブックを絡める」ってな
姿勢になってしまうんじゃないかなぁ。そうすると結果的に本末転倒な
「フェイスブックを使うことが目的」な企画の乱発ってことになる
ような気も。
「ツイッターで何かをやりましょう!」時代に似てるぞ、これ!
オレが今肌で感じているのは、今の広告業界のフェイスブックに対する
異常なまでの盛り上がりが、2009年末~2010年夏頃までの「ツイッターで
何かやりたいんです」ってどこの企業も言っていたこととあまりにも
ソックリってこと。
花粉症対策グッズのプロモーションのアイディアを出せって言われた
ことがあるんだけど、その時クライアントのお題は「ツイッターを使って
何か!」というものがあった。オレは「ツイッター使うよりも、都会の
ターミナル駅で広告入りのティッシュを配ればいいんじゃないの?」と
提案したわけですよ。すると「ムキーッ! ボクはツイッターで何かを
したいんだぞ!」みたいな話になって却下。
でもよぉ、なんで「花粉症対策グッズ」のプロモーションでツイッター
が効果的なの? 普通に考えれば、渋谷の駅前でティッシュ配っていれば、
花粉症の人は手に取るワケだろ? ターゲットドンピシャの人に広告を
見せたいのであれば、「ティッシュ配り」が「ツイッター」よりも
優れていると思うのよ。
こんな感じで「フェイスブックってのが来ているらしいですなぁ。
電通さん、まっ、御社は提携ができたというではありませんか。
ここはフェイスブックで何か提案をしてくださいよ、よろしく
お願いしますよ、ガハハ」みたいなガハハオヤジによるオリエンが
今後多数出てくるんだろうなぁ、と思いますね。
【2】更新・ファンとの交流に疲れる人が続出する
実際問題として、企業が担当者をつけて、フェイスブックを更新したり、
質問に答えたりするのって相当面倒くさいわけよ。
ネット時代の一つの面倒くささとして、「質問がよく来る」ってのが
あるのね。
オレらの場合だと、記事を読んでキーッ! となったヤツが
「どういうつもりでこんな記事を出したんだ! これで傷ついた人が
いるかもしれないじゃないか!」みたいに「怒りの代理人」になって
編集部にクレームをつけてくる。
こういう人々にいちいち対応しなくちゃいけないのが「双方向性」(笑)
であり、「ソーシャル時代」(笑)なわけだな。
で、次の項目とも関係してくるので、続きはその下で。
【3】成果が出なくて担当者が心を痛める
「いいね!」の数がどんだけ増えるか? 減ったらどうなるか?
フェイスブックページを作ったことにより、どんだけメディア露出が
増えたか? そういった「数字」ってものは、厳しいものを担当者に
突き付けるわけですよ。
数字が出ない方が実は幸せだった…なんてこともあるんだよね、
広告の場合は。それで、また本末転倒な対処療法をやることになる。
あまりに成果が出なくて心を痛めた担当者は、上司から怒られたくない
から今度は「フェイスブックのことを告知する広告」ってのを作る
ことになる。一瞬数字は上がるけど、また過疎化して、今度はもっと
カネをかけて告知をせざるを得ない。
「もう予算ないです!」って時になって「なんでオレらは
フェイスブックにここまで振りまわされていたんだ…」ってことに
はたと気付くわけですね。
【4】「続きはフェイスブックで」が増える
テレビCMとかで「続きはフェイスブックで」みたいな話になるだろう。
でもよぉ、オレがこの前マイコミジャーナルのインタビュー
でも語ったけど、ネットユーザーって企業の世界観なんてどうでも
いいと思ってるのよ。自分がトクするものをクリックするわけだし、
面白い物をクリックするのね。
なんでネットで楽しみたい、って思う時にわざわざ企業のサイト
なんて見に行くの? そりゃあ、バーゲン情報とかクーポンが取れる
のであれば行くけど、「あなたの美を応援したいです」なんて
言われても「うっせーよ、別にお前から応援されたくねぇ!」
なんて思わないか?
別に企業が「マスとの連動」なんて言おうが、
そう思い通りにはならないのね。
コカ・コーラの「ジョージア」が去年「本能寺は変」って企画をやって、
テレビCMで「続きはツイッターで」ってやった。でも、あれってあんだけ
CMを大量出稿してもフォロワーは2520人だぜ。
コカ・コーラ社の人はどっかのインタビューで「成功です!」みたいに
鼻高々だったけど、たった2520人がフォローしただけなのに、
どんだけスポットCM投下したんだって話だよ。
あの時は各種メディアで取り上げられたからそれで良しって
判断なのであれば正しいけど、「フォロワー2520人です!」ってことで
「マスとの連動が図れた」ってことを言うのは違うんじゃないかな。
だって、ネットってのはマスとは違って「強制的に見せられる」って
特徴はないんだよ。「自ら選ぶ」ってことによって見てもらえるわけ
だから、そもそも性質が違うのですよ。
もし、全体を連動させたいのであれば、
「ネット主導」の企画の方が正しい。
つまり、「自らクリックするほどのネタ」をマスでも流せば
そりゃあ見てもらえるだろうな、ってことね。
で、「本能寺は変」だけど、そもそもツイッターって
大企業マーケティングに向いてるのか? って話を
検証する前に使っていた感はありありだな。
ツイッターは焼き鳥屋とかは向いていると思うよ。
「今だったら席あるよ!」とか
「今から30分以内に全員そろったらビールタダであげるよ!」とかね。
この企画だって、電通の若手クリエーター数人が楽しみながら
ツイッターで小説を更新し続けたって聞いたけど、
多分そいつらが「あれをやったのはオレです!」と自慢できるネタが
できたってのが最大の成果になったような気がしてならない。
【5】クライアントが同じ成功事例と売り文句ばかり聞くこととなり、「その話聞いたこと何度もあるんだけどなぁ…、キミ、そこのパート、削っても大丈夫だよ…」と内心思うことが多くなる。
「コカ・コーラは2200万人のファンがいるんですよ!」
「マウンテンデューはフェイスブックで新商品を開発しました!」
「フェイスブックは世界的にヒットして映画の題材です!
ミクシィとは違います!」
「エジプト・チュニジアではフェイスブックで革命が起きました!」
「御社のグローバル展開にはフェイスブックは欠かせません!」
「実名なのでユーザーの質がいいです!」
「ターゲットをドンピシャで囲い込めます! 広告を見せられます!」
【6】終わりに
まぁ、オレはフェイスブックが効果あり! と自信を持って
クライアントに提案する根拠がないので、提案はしないけど、
電通を筆頭にネットマーケティング界隈の皆さん、ぜひ、成功事例を
作ってクライアントをガンガン儲けさせてあげ、ファンをたくさん作る
お手伝い、してあげてくださいね!!!!!!
期待しています!