iOS6の地図のお粗末さが大変大きな話題となっている。話題にしているのは地図関連の人たちだけではなく、実に広範な人たちである。それほど、スマートフォンにおいては、地図が「欠かせないもの」なのであることを改めて感じる。そして、日本のスマートフォンのおよそ3台に1台がiPhoneであることを考えると、地図をアプリに活用している多くのサービス事業者にも多大な影響が出そうだ。
私も先週のサンフランシスコ出張中にiPadをiOS6へとアップグレードして、その地図を確かめてみた。なるほど、これは品質が良いとか良くないとか言うレベルでは無くて、欠陥商品のレベルである。この状態でiOS6の標準地図として提供するのは、そもそも誤った企業方針である。
ちまたには、データソースがゼンリンではなくてインクリメントPであるからだとか、海外の地図やOpenStreetMapを採用しているからだとか、知ったかぶりのコメントや記事を目にするが、少なくとも今回の問題はデータ提供会社の責任では全然無いレベルで発生している。私の会社では、ゼンリン、インクリメントP双方のデータを業務上扱っており、その品質は知り尽くしている。少なくとも一般利用者の視点からは、その品質差をとうとうと語れるような差異はない。
また、米国と日本との地図の文化の違いだ、という指摘もある。これはあるレベルでは正しいと思うが、少なくとも今回の問題は、文化の違いが原因で発生しているレベルでは無く、ひどくずさんなエンジニアリングによって発生している。ここまでレベルの低い作業を見るに、およそプロの手がかかっているとは思われない。
どういうことかというと、まず、Appleは、インクリメントPから提供された地図データの仕様を正しく理解できていない。都市部でのニーズが高い街区ベースの地図(1/2,500系)の存在がするっと抜け落ちている。そればかりか、測地系の間違いか何かはわからないが、地物(POI)の位置がずれているし、カテゴリの当てはめがデタラメである。
次に、チェックが全くなされていない。地図作成に素人であっても、Googleマップとの比較は簡単にできる。もし、日本の主要都市を数カ所ずつサンプリングして比較を、ただの一度でもしていたのであれば、iOS6の地図が、とんでもない低レベルであることは「一目瞭然」である。つまり、そうした基本的な作業を怠っている。あり得ないエンジニアリングプロセスだ。
ともあれ、お粗末さも極まれり・・というところだ。Appleも平気でこのような失態を演じるものなのだ・・
私は日本の「デジタル地図」をずっと見てきてかれこれ20年になるが、ゼンリン、インクリメントP、アルプス(今のヤフー)などの地図会社各社が切磋琢磨しながら上げてきた品質をリセットするような、とんでもない代物を出してきた。20年に1度の「記念碑的」事件とも言える。
さて、この先どうなるのだろう?もし、Appleが地図の品質のどこに問題があるのかを認識できていて、地図データ処理のプロの手によって作業が行われるのであれば、品質を改善するのには2~3ヶ月でやってやれないことは無さそうだ。ただ、そんなにスムーズに行くとも思えない。さらに北米以外の全世界的に地図の問題がありそうなので、そこも考えると日本の地図の改善には半年から1年は少なくともかかるのではないだろうか。気長に待とう。
私も先週のサンフランシスコ出張中にiPadをiOS6へとアップグレードして、その地図を確かめてみた。なるほど、これは品質が良いとか良くないとか言うレベルでは無くて、欠陥商品のレベルである。この状態でiOS6の標準地図として提供するのは、そもそも誤った企業方針である。
ちまたには、データソースがゼンリンではなくてインクリメントPであるからだとか、海外の地図やOpenStreetMapを採用しているからだとか、知ったかぶりのコメントや記事を目にするが、少なくとも今回の問題はデータ提供会社の責任では全然無いレベルで発生している。私の会社では、ゼンリン、インクリメントP双方のデータを業務上扱っており、その品質は知り尽くしている。少なくとも一般利用者の視点からは、その品質差をとうとうと語れるような差異はない。
また、米国と日本との地図の文化の違いだ、という指摘もある。これはあるレベルでは正しいと思うが、少なくとも今回の問題は、文化の違いが原因で発生しているレベルでは無く、ひどくずさんなエンジニアリングによって発生している。ここまでレベルの低い作業を見るに、およそプロの手がかかっているとは思われない。
どういうことかというと、まず、Appleは、インクリメントPから提供された地図データの仕様を正しく理解できていない。都市部でのニーズが高い街区ベースの地図(1/2,500系)の存在がするっと抜け落ちている。そればかりか、測地系の間違いか何かはわからないが、地物(POI)の位置がずれているし、カテゴリの当てはめがデタラメである。
次に、チェックが全くなされていない。地図作成に素人であっても、Googleマップとの比較は簡単にできる。もし、日本の主要都市を数カ所ずつサンプリングして比較を、ただの一度でもしていたのであれば、iOS6の地図が、とんでもない低レベルであることは「一目瞭然」である。つまり、そうした基本的な作業を怠っている。あり得ないエンジニアリングプロセスだ。
ともあれ、お粗末さも極まれり・・というところだ。Appleも平気でこのような失態を演じるものなのだ・・
私は日本の「デジタル地図」をずっと見てきてかれこれ20年になるが、ゼンリン、インクリメントP、アルプス(今のヤフー)などの地図会社各社が切磋琢磨しながら上げてきた品質をリセットするような、とんでもない代物を出してきた。20年に1度の「記念碑的」事件とも言える。
さて、この先どうなるのだろう?もし、Appleが地図の品質のどこに問題があるのかを認識できていて、地図データ処理のプロの手によって作業が行われるのであれば、品質を改善するのには2~3ヶ月でやってやれないことは無さそうだ。ただ、そんなにスムーズに行くとも思えない。さらに北米以外の全世界的に地図の問題がありそうなので、そこも考えると日本の地図の改善には半年から1年は少なくともかかるのではないだろうか。気長に待とう。
この度の酷い地図の登場に大変がっかりしていろいろ調べてましたら、ここにたどりつきました。
専門家の視点による、大変興味深い記事をありがとうございました。おかげでなるほど、提供会社の問題ではなく、エンジニアリングの問題なのだということが素人ながら漠然とわかったような気がします。
ここ数年、OS8や9の頃とは違う質の高いアップルの仕事にほれぼれしてたんですが、ホントに残念です。おっしゃるとおり気長に待ちます。
初物がダメなら、Yahooロコがあるさ、でなんの怒りも感じないので。
なんのために独自に地図ソフト作っているのかのほうが関心事ですね。
基本的にAppleって、ソフトウェアの開発力低いと思うよ。
不安定なOSの根本的な改良を、System 8の時にやろうとして失敗、結局自力での開発は出来ず、OS XでBSD系Unixを買収して乗り換えただけ。
その他有名どころのソフトも同じように開発会社を買収して取り込んだだけ。
自社開発したが故のこのひどさは十分理解できる。
ただ、スティーブが生きていたら、云々は同意。
常に見た目を気にしていた人だから、もっともまともになってから出したろうな。
大変満足していただけに新しい地図には失望させられた者の一人です。
成果物の質の低さもさることながら、重要なメジャーアップデートをこの状態でリリースしてしまう企業としての姿勢の変化に懸念を禁じ得ません。直接的な因果関係はわかりませんがジョブズが亡くなったことが影響しているんでしょうか。
目印も少ないし、地図として最低レベルで使えない!!
早く対処して欲しいですね。
Googleからアプリとして出るしブラウザから使えるのだからいいんじゃないですか?
地図のためだけに発表が1年遅れる方がイヤですよ。
見えないところでgoogleと色々綱引きやってるんでしょうね。
地図と地物の測地系が2種類あるってことを知っているのは
日本の地図業界にいる人しかわからないと思う。