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 あれほど話題になった「八ッ場ダム」の話題がサーッと消えていった。昨日も夕食をとった食堂で、「あれ、八ッ場ダムって読むんだよね。知らなかったなあ。今、どうなっているんだっけ」と男性ふたりが話していた。どうなっているもいないも、「政権交代で前原大臣が事業中止と決めたんだよ」と思っている人は、存外多いのではないか。『どこどこ日記』読者の皆さんなら、事態はそう単純じゃないことをご承知だろうが、結論から言うと工事は進んでいる。止まっているのは、本体工事(ダムの堰堤)だけなのだ。

 もはや八ッ場ダム観光のシンボルとなった「湖面2号橋」は、難工事で、つい先日は、不幸にも死亡事故が起きている。それ以後、工事は止まっているが、他の橋や道路の工事は厳寒の中も続いている。しかし、なぜあの見上げるほどの高い橋が必要なのか。それは、ダムが出来るからだった。しかし、ダム本体工事は止まっている。周辺工事が完成しても、ダムサイトがなければ、水はたまらない。ダム湖の湖面が高いので、その湖面の上にかかる橋が高い位置につくられる。

 いやいや、あそこまでつくったのだから途中で中止する必要はないだろうとの声もあると思う。しかし、川原湯のところにもうひとつ、また巨大な橋を高い位置にかける工事を始めていることについて、皆さんはどう考えるか。この湖面1号橋の予算は51億円(群馬県)である。さらに、県はあとふたつの橋の入札を2月に行なう予定だという。これも、生活関連費154億円が新年度予算に盛り込まれているからだ。

ダムが出来ないのに何本も巨大な橋をかける工事をしていることこそ税金の無駄遣いであり、トマソンそのものではないか。「生活関連」と言っても巨大土木事業である。ダム中止後の住民の「生活再建」に資するものではない。しかも、これだけ「予定通り」に工事を進めていくと、「出来てないのはダムサイトだけ」という状態になる。湯水のように土木事業に予算を使ってしまっては、ダム撤退後の「生活再建」の財源も見えず、「もう、いろいろあったけど作ってしまいましょう」ということになる可能性もあると私は見ている。

「マニフェストに書いてあるから」とはもう言えない。今月、24日に前原大臣はふたたび現地を訪れて住民との対話を行なう予定だが、その場で「なぜ八ッ場ダム中止なのか」を理路整然と示す必要がある。少し心配になってきた。

 


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