東大卒の人に「(受験勉強を)頑張ったんですね」って言ったら、彼はとても意外そうな顔をしていた。東大卒の彼が言うには、周りから「すごいですね」とか「頭がいいんですね」とかは多々言われるが、「頑張ったんですね」と言われたことは初めてだったらしい。
彼はそう説明した後、嬉しそうに「そうだよ!すげー頑張ったんだよ!」と言っていた。
努力とコンプレックス
私は地方のそこそこの国立大卒だ。全国レベルで見れば「そこそこの国立大」だが、閉鎖的な地方都市の人間が見ればその大学のイメージは「東大」そのものだ。県内の人間にとって、本当の東大というのは「大学を超えた何か」という概念でしかなかった。例に漏れず私も「地方都市の閉鎖的感覚」を甘んじて吸収して育った。受験シーズンを迎え、目指すは(我が県の)東大だ。本当の東大(大学を超えた何か)は目指す対象ではない。
私はめちゃくちゃ頑張って(我が県の)東大に合格した。もう人生でこれ以上に頑張る機会など無いと思うぐらい頑張った。とても誇らしい気持ちだった。なんといっても(我が県の)東大に合格したのだ。
しかし、(我が県の)東大に合格する頃には、本当の東大が実在することも知り、そこに合格するためにどれだけの勉強量が必要かの察しも付いた。その勉強量は私には途方もなかった。センター試験の160点を180点に上げるために必要な勉強量を、私は達成できる気がしなかった。160点にするので精一杯だった。
160点を180点にあげるために必要なのは才能ではない、間違いなく努力だ。一定の勉強量をこなせば180点取れる。そういう意味では私は本当の東大に入ることができる。だが、そのために必要な勉強量を達成する力がない。180点取る潜在能力は誰にでもあるが、それを得るためには努力せねばいけない。
本当の東大は誰だって合格できる。合格に必要な勉強量を達成すれば、合格できる。それだけだ。しかし、その勉強量を達成することが非常に難しい。私は無理だ。その膨大な勉強量を達成するには、以下が必要だ。
- 全国トップの大学を目標にできる思考
- 勉強を継続し、合格に必要な勉強量を達成する力
- 勉強を継続し、合格に必要な勉強量を達成する工夫
私が本当の東大に合格するには、上記のすべてが足りなかった。(我が県の)東大に合格することで精一杯だった。
つまるところ、私の学歴コンプレックスは以下になる。
- 「我が県の東大」を選択した。本当の東大を選択する視野の広さ・向上心がない。
- 膨大な勉強量を達成する明確な動機がなく、それを達成できない。
- その膨大な勉強量を達成するための、膨大な工夫がない。
ああ、彼はすごい。東大に入るのは才能じゃない、努力だ。
冒頭の東大卒の彼は、私よりも多くの勉強を達成している。彼の周辺の人は、彼の「努力」をイメージできず「(漠然と)すごい人」「頭がいい人」とイメージしている。彼は「頭がいい人」だから東大に入ったのではない、彼は膨大な努力を達成してるんだ。ああ、すごい、彼はすごい。
東大卒の彼の一件があって以来、私は東大卒の人に「頑張ったんですね」と言って、そのリアクションを見ることを楽しみにしている。しかし残念ながら、彼の一件以来、東大卒の人と話す機会が無いのだ。我が県の東大卒と話す機会は多々あるのだが。
所詮(我が県の)東大卒は、本当の東大卒と話をする機会も少ないのだ。
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