暴露話に花が咲く

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実はね、という起爆剤のような一言が放たれるやいなや、これは暴露話の開始を告げる合図に違いない、と感じた聞き手は、実はね、と切り出した話者のほうへと、少しばかり身を寄せて、話者が必要以上の大声を出さずにこそこそとした発話ができるようにと、話者の口元に可能な限り耳を接近させようとするだろう。

聞き手のこの配慮を見て、暴露話をする話者は、暴露話をするということにやりやすさと安堵を感じることになるのだし、なるほど、暴露話というのは、このように耳を接近させてくれる他者である聞き手の存在なしには成立しないのだ、ということを実感することになる。

暴露話を繰り出す話者と、その暴露話を聞くことができる特権的な地位に打ち震えながら秘密を共有する聞き手は、暴露話を通して共犯関係を結ぶことになるだろう。

この、暴露話をする話者と聞き手の共犯関係、暴露話を成立させる二人の間の空間のことを「花」と呼んでもいいのかもしれない。

このような話を「実はね」と切り出した私から聞かされることになった聞き手は、暴露話という花が二人の間に咲かなかったことにやや不満をいだいているようだった。
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