東京・丸の内にある演劇の聖地「帝国劇場」の建て替えイメージがついに明らかになった。三菱地所と東宝及び公益財団法人出光美術館は2024年12月16日、3者が推進している「丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建て替え計画、仮称)」について、この計画を含む丸の内仲通り南周辺地区の都市計画手続きが開始されたことを受け、計画概要の具体案を初めて公表した。
敷地面積は約9900m2、延べ面積は約17万6000m2。国際ビルと帝劇ビルの一体での建て替え後に誕生する施設は、地下4階・地上29階建て。高さは約155mになる。工事期間は25年度から30年度を予定する。
建物全体は三菱地所設計が設計。低層部の外装デザイン提案には、小堀哲夫建築設計事務所(東京・文京)の小堀哲夫氏を起用する。
現在の国際ビルは地下6階・地上9階建てで、延べ面積は7万6918.25m2。三菱地所と一般社団法人日本倶楽部が所有している。一方、帝劇ビルは階数は同じで、延べ面積は3万9419.80m2。東宝と出光美術館が所有する。どちらも1966年9月に竣工した丸の内エリアの歴史的な建物で、帝国劇場や出光美術館が入居している。
帝国劇場は施設の建て替えに伴い、2025年2月に休館が決まっている。24年12月20日から25年2月7日まで、帝劇クロージング公演の最後を飾るミュージカル「レ・ミゼラブル」が上演される。現在の姿はこれで見納めとなる。
建て替えでは、大きく4つの計画を打ち出した。1つ目は最大の目玉である帝国劇場と出光美術館の再整備だ。2つ目は皇居外苑を眺められる低層屋上テラスの整備。3~4つ目は鉄道網との接続強化で、東京メトロ有楽町線と都営地下鉄三田線との連携やJR有楽町駅の東西を結ぶ地下通路の新設である。
中でも帝国劇場の刷新は、日本の劇場文化に大きな影響を与える重要案件だ。建て替えでは、社交場として人々の出会いや交流を促すロビーホワイエの機能を強化。同時により快適な観劇空間を整備し、演劇の普及と発展に貢献する。
同じく、出光美術館もリニューアルする。同館らしさを継承しながらも展示エリアを拡充。東洋や日本の古美術を中心に、芸術の普及に寄与する。美術館の設計デザインは、日建設計が手掛ける。
新たな試みとしては、皇居外苑に面する施設の低層部に屋上テラスを整備する。皇居周辺の緑やお堀端を眺められるテラスは、一般開放する予定だ。高さ31m(百尺)の軒線を継承し、建物の高層部はセットバックすることで周辺の建物との軒線の連続性を確保する。
施設の低層部には劇場や美術館といった文化芸術機能を集約。同時に、食事やショッピングを楽しめる施設を設ける。一方、地上6~29階には丸の内エリアに欠かせないオフィス機能を設ける。