T-DNA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/23 16:16 UTC 版)
アグロバクテリウムのT-DNAの長さは約15–20kbpで、宿主植物のゲノムへ組換え過程によって組み込まれる。この過程では、宿主植物細胞のゲノムに既に存在するギャップが利用される。T-DNAがゲノム中の短い配列と対合してDNAライゲーション過程がプライミングされ、T-DNAは植物ゲノムへ恒久的に連結される。T-DNAの両端には24bpの配列が存在する。 宿主植物細胞のゲノム内では、アグロバクテリウムのT-DNAから2つの主要なタンパク質群の発現が行われる。1つ目のグループは植物の成長ホルモンの産生を担うものである。こうしたホルモンが産生されることで、植物細胞の分裂速度が増加し、クラウンゴールが形成される。2つ目のグループは宿主植物細胞内でのオパイン合成の駆動を担うものである。産生されるオパインはTiプラスミドの種類に依存し、宿主植物の種類には依存しない。植物はオパインを利用できず、オパインは植物細胞から搬出されてアグロバクテリウムの細胞に取り込まれる。細菌のTiプラスミドのT-DNA以外の領域には、オパインの異化を担う遺伝子が存在している。
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