1923年の関東大震災では数千人の朝鮮人や中国人が虐殺された。震災発生から5日後の9月6日、千葉県福田村(現野田市)では、香川県の行商の15人が朝鮮人に間違えられ、子どもや妊婦を含む9人が殺された。広く知られてこなかったこの史実を基にした映画「福田村事件」(森達也監督)が9月1日、全国公開される。主演の井浦新(48)=写真=は「差別によって暴力が引き起こされる不条理は現代と全く変わらない」と語る。 (上田融)
日本統治下の朝鮮で教師をしていた澤田(井浦)は独立運動を抑え込む日本軍の虐殺行為を目撃し、心に傷を負ったまま、妻の静子(田中麗奈)と故郷の福田村に戻った。畑を耕してひっそりと暮らす中、関東大震災が発生。「朝鮮人が集団で襲ってくる」とのデマが飛び、村でも自警団が結成される。村内には香川県から来た沼部(永山瑛太)率いる薬の行商団がいた。彼らの讃岐弁は、福田村の人々にとって異国の言葉のように聞こえた。
物語は、第一次大戦後の不況と人々の不満、震災の恐怖、朝鮮人や社会主義者に対する差別の激化、それをかき立てるメディアの問題などを重層的に描く...
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