2025年の幕が開けた。欧州、中東、アジアという「3つの圏域」で紛争や危機が同時進行し、ロシア、北朝鮮、中国、イランの独裁陣営が軍事連携を強める世界。民主主義諸国にかつてない試練がのしかかる中で、今月20日には「米国第一」主義を掲げるトランプ氏が米大統領に就任する。トランプ氏は「第三次大戦の瀬戸際にある」と評する現状をどう打開するつもりなのか。
「米国第一」トランプ氏が就任へ
第1の圏域である欧州方面では、ロシアによるウクライナ侵略戦争が2月に丸3年を迎える。ロシアが攻勢を緩める気配はなく、ウクライナ軍は東部でじりじりと後退している。
ウクライナのゼレンスキー大統領によれば、ウクライナ軍の死者は約4万3千人、負傷者は約37万人。露軍の死者は約19万8千人、負傷者は約55万人という。ウクライナでは少なくとも1万2千人の民間人が死亡し、国土の約2割がロシアの占領下にある。
北朝鮮が昨年10月、ロシア支援の派兵に踏み切ったことで紛争は新たな局面に入った。米英仏は、ウクライナが供与された長射程兵器を露本土の軍事拠点に使うことを容認。ロシアは極超音速の中距離弾道ミサイル「オレシニク」をウクライナ東部に発射して「核の恫喝」を強めた。