住所表記が混在する問題の解消に向け福知山市がモデル事業 統一の利点や負担伝える説明会を開催
2025年03月08日 のニュース
同じ土地で複数の住所表記が混在する問題を巡り、京都府福知山市が解消に向けたモデル事業に取り組んでいる。候補地として駅前町の一部を選定し、5日夜に住民説明会を駅前公民館で開催。表記統一の利点、それに伴う負担などについて伝えた。
市内には「天田」「堀」「長田」など、住所内に複数の自治会が含まれる地域があり、その場合、郵便番号による町域名(自治会名とほぼ同じ)と住民票の表記が違うことが多く、住所が必要な手続きなどで混乱が生じるケースがある。
市民から住所表記改善に向けた要望が出されてきた経緯もあり、市は一昨年に検討会を立ち上げ、昨年に住所表記に関してガイドラインをまとめた。市にとっても初の試みで、ほかの地域が参考にできるモデルケースを作成しようと、今回の説明会を企画した。
今回の候補地には、以前から地元要望があり、街区が明確で地籍調査も完了している福知山駅正面通り商店街からフレッシュバザール福知山お城通り店までの区画を選んだ。
説明会では市職員が、正式な住所を「字天田」から「駅前町」に改めることを提案し、「地番や自治会の区域は変わりませんが、マイナンバーカード、不動産登記簿、保険などで住所変更の手続きが必要になり、最大で引っ越し時と同じくらいの労力がかかります」などと伝えた。
また、住所変更には地域内の合意が必要で、関係者の4分の3以上の同意、自治会の合意と要望書の提出が必要になることも説明した。
参加者からは「複数の物件や事業所がある場合、変更後の手続きがかなり負担になるほか、費用が発生するものもある。そうした費用についても支援してもらえるのか」「対象区域内の物件を人に貸している場合は、誰が説明を行うのか」といった質問があった。
市は「登記簿変更にかかる税金は免除され、住所変更の証明書は無料で発行するが、事業所の印鑑更新費などの補助は考えていない」「住民がいる場合は市から連絡する」などと回答した。
一方で、参加した70代の男性は「郵便物などは全て『駅前町』なので響きの良い名称に変わるのは賛成です」と話した。
市は今後、もう1回の説明会を経て、10日以降に関係者全員を対象にアンケートを実施し、変更者が多数の場合は変更に向けて事務を進めるとしている。
写真(クリックで拡大)=市が説明会を開いた