長浜バイオ大学再建へ連携 滋賀銀行など10法人
定員割れが続き公立化を目指していた私立の長浜バイオ大学(滋賀県長浜市)は10日、滋賀銀行、ヤンマーホールディングスをはじめとする関係10法人などと「産学連携人材育成コンソーシアム」を発足させた。学生を企業側にインターン派遣する一方、社会人を受け入れてスキルを磨くリカレント教育を施す。少子化による志願者減に直面する全国の大学の新たな再建モデルになりそうだ。
バイオ大で同日開いた会合にはコンソーシアムのメンバーとしてタカラバイオ、湖北工業を含む9社とアカデミア発バイオ・ヘルスケアベンチャー協会、滋賀県、長浜市が参加。バイオ大と企業側が医療・創薬・健康、ロボティクス・人工知能(AI)・情報技術(IT)など5分野で連携し、学生と各社の職員らを念頭に人材育成で協力すると決めた。
具体的には、バイオ大が各社・団体と個別に課題を共有し、教育プログラムを作成する。企業側から大学に講師を派遣したり職員のリカレント教育を求めたりする。仁連孝昭理事長によれば、企業側にはインターンなどを送り込み、海外拠点での体験も視野に入れる。仁連氏は「教育プログラムは2025年度には形にしたい」と話した。
公立化についてバイオ大は早ければ25年4月を目指していたが、長浜市側はコンソーシアム発足で実現が遠のいたと受け止めている。
コンソーシアム設立の背景には、志願者を増やして経営を安定させたいバイオ大と、少子化で優秀な人材の確保がままならない企業側の利害の一致があった。
21年度(同年4月入学)から4年連続で志願者が定員を下回るバイオ大は国の交付金による授業料の引き下げを狙い公立化を長浜市に申請したが、同市は「地域への還元を含む将来ビジョンの策定が必要」と指摘し、検討に乗り出した。企業側からは「食料生産などに取り組み始めたが、人材が集まらない」(ヤンマーホールディングスの高橋英樹バイオイノベーションセンター部長)との声もあがっていた。
バイオ大はバイオサイエンス学部だけで、学生数は大学院を含め900人前後。03年4月に開学し、長浜市は県とともに当初費用のほぼ半額にあたる計40億円近くを支援したとされる。近くに「長浜サイエンスパーク」を整備したが、目指したバイオ企業の集積は十分でない。長浜市は大学の存続を目指し、各社に協力を求めていた。