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モバイルプロジェクターが元気だ スマホ動画を大きく

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NIKKEI STYLE

プレゼンテーションなどで使われるプロジェクターで、最近、小型モデルが人気になっている。売り上げを大きく伸ばしているのが1kgを切るモバイルプロジェクター。ビジネス用途だけでなくオフタイムで楽しむ人も増えているという。

売り上げを伸ばすモバイルプロジェクター

調査会社GfK Japanによると、家電量販店における2016年度のプロジェクター(ヘッドマウントディスプレーを除く)の販売は、台数前年比3%減、金額前年比2%減となった。しかし1kg未満のモバイルプロジェクターに限定すると、台数前年比61%増、金額前年比では109%増(2.09倍)と大きく数字を伸ばしている。プロジェクター全体における1kg未満製品の占める割合は2013年が7%だったのに対して、2017年1月から3月を見ると19%まで上昇(数量構成比)。販売数量ランキングでも、上位10機種中4機種をモバイルプロジェクターが占めている(17年1-3月)。

「ここ数年、商品ラインアップが増加したことで、モバイルプロジェクターを購入するお客様が増えています」というのはビックカメラ・新宿西口店・主任・オーディオコーナーの見原孝幸氏。

ビックカメラのプロジェクターコーナーを見ると、一般的なプロジェクターとモバイルプロジェクターを同じコーナーに陳列し、ユーザーニーズに適したプロジェクターを提案する展示になっている。

モバイルバッテリーになるモデルも

モバイルプロジェクターのロングセラー製品「S1」(エイスーステック・コンピューター)は、2014年7月に販売開始されたモバイルプロジェクター。幅110.5mm×奥行き102mm×高さ30.7mmで重さは342gと、持ち運びやすい手のひらサイズだ。

販売されたのは3年前だが、今なおGfKのランキングにランクインしている(2017年1-3月の販売数量ランキングで7位)。S1の広報を担当しているJerbilの岩崎晋也氏によると、「ユーザーから『多機能ではないが、小型で持ち運びやすい』という声が多い」とのこと。

モバイルプロジェクターには、一般のプロジェクターと比べると価格が安いというメリットもある。

「これまでプロジェクターの売れ筋は7万円前後だったが、モバイルプロジェクターは5万円前後。3万円台の商品も売れ筋上位にランクインしており、値ごろ感がある。価格帯と手のひらサイズという省スペース性が、モバイルプロジェクターの購入を後押ししている」(GfKアナリスト・佐竹俊介氏)

価格が安い分、一般的なプロジェクターと比較すると、モバイルプロジェクターは基本スペックが低い。投映される映像は他のプロジェクターほど明るくない上、入力ポートもHDMI端子のみという製品が多い。

しかしビックカメラの見原氏によると「モバイルプロジェクターの購入を検討するユーザーは、明るさや入力ポートにはさほどこだわらない」という。「それより、かばんに入るサイズであること、電源がとれない場所でも使えること、スマートフォン(スマホ)やタブレットの映像を投映できることなどが購入のポイントになっている」

たとえばS1は、スマホやタブレットと接続して使用でき、バッテリー容量は6000mAh。3時間程度であれば、コンセントにつながなくても映像を投映できる。また、スマホと接続すれば、スマホのモバイルバッテリーとしても使える。

「これまでのプロジェクターは、パソコンとつなぐことが多かった。しかしモバイルプロジェクターは、スマホやタブレットとつないで使うケースが多い。そのため、電源問題で悩まないようにバッテリーを内蔵している」(岩崎氏)

岩崎氏によると「スマホとS1をつないで、キャンプの夜など、アウトドアで写真や映画の視聴を楽しんでいるユーザーも増えてきている」という。

自宅で気軽に動画や映画を見るために

高級なホームシアター用製品をのぞけば、プロジェクターはビジネス用途のイメージが強かった。しかし、GfKの佐竹氏は「モバイルプロジェクターの購入者は、外出先でのプレゼンといった屋外への持ち運びを想定している層だけでなく、ホームシアターなど家庭内での使用を目的とする層も少なくない」と分析する。

スマホグッズやAV機器などユニークな商品を販売しているサンコーレアモノショップの広報部・えき晋介氏によると「動画共有サイトや配信サービスなど、普段スマホで楽しんでいるコンテンツを大画面で手軽に楽しみたいという人がモバイルプロジェクターを購入している」という。そのため店頭では、スマホのコンテンツを簡単に投映できるモデルが人気だ。

実際、スマホでの使用に特化した製品も出始めている。

秋葉原のショップやインターネットの販売サイトでは、iPhoneのカバーとプロジェクターが一体化したモバイルプロジェクターや、スマホの画面を投映できる段ボール製のプロジェクターなどが販売されている。なかには数千円で購入できる製品もある。サンコーレアモノショップで販売されていた段ボール製のプロジェクター「スマホdeシアター」は取材時、3980円だった。

早速、このスマホdeシアターを購入して使ってみる。

4000円で買える製品だけに、一般的なプロジェクターとは異なり、スマホの画面をレンズで拡大して壁に投映する。そのため数万円するモバイルプロジェクターと比べると、圧倒的に明るさが足りず、真っ暗な部屋でないと投映された映像を確認できない。しかし部屋の電気を消すと映画館で映画を見るような感覚でスマホの動画を楽しめた。用途を選ぶが、スマホの画像や動画を友人や家族と楽しむ程度なら「これで十分」という人もいるだろう。

「段ボール製のプロジェクターは、20~30代の若い層に人気。価格も安いので、プロジェクターを試したいという人も購入している」(サンコーレアものショップのえき氏)

「スマホの普及やストリーミングサービスの拡大に伴い、家庭で映画や動画を見るための機器・メディアが多様化している。これからは、スマホがTVやDVD/BDの役割を担うようになるかもしれない」と佐竹氏。「この流れはプロジェクター市場の追い風になるだろう」と予測する。

(文 秋葉けんた=マイカ)

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