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「認知変容」の視点から社会のしくみを変えるチャレンジを成長させよう! ~2025年へのヒント

2024年12月10日 齊木大


 早いもので2024年が終わる。今年の干支は「甲辰(きのえたつ)」、ものごとが新しく始まり、新鮮な勢いを持って動き出す年だった。国内外とも社会情勢が大きく変化し、新しい動きの兆しもそこかしこに現れたが、皆さんの周りではどのような変化や兆しがあっただろうか。来る2025年は「乙巳(きのとみ)」、立ち上がり期だが取り組みの成長や小さな成果が見え始めることを意味するという。そこで、成長を実現するための切り口のヒントとして「認知変容」を考えたい。

 創発戦略センターは「ありたい姿」の実現に向けて、さまざまな方々との対話を通じて新しいしくみをともに作る活動に注力している。活動テーマは防災、エネルギー、脱炭素、スマート農業といった設備投資を伴うものから、サステナビリティ、エコ消費、福祉、教育といったサービスや制度に関わるものまで多岐に渡る。しかし、それぞれの活動のこれまでを振り返ると、不思議なことに共通する切り口が浮かび上がってくる。それが「認知変容」だ。

 認知変容(Cognitive Transformation)とは、社会をかたちづくるさまざまな立場にある人びとが、それぞれに社会の出来事やしくみに対する捉え方を変える(変わる)ことを意味する。これまでの延長ではない変革を実現するには、無意識か意識的かに関係なく、自分がどのように物事を捉えているのかを知り、あるべき姿に向けて認識の仕方を変容させる必要がある。「当然」や「あたりまえ」、あるいは「それが普通でしょ」と思っていることを振り返り、疑ったうえで「ありたい姿」をあらためて描き、自分ごととして受け止める営みだ。

 私たちが企画し外部の方々にご評価いただけているプロジェクトを振り返ると、大なり小なり認知変容が含まれていることを再認識した。そこで、去る11月15~16日に開催した私たちの活動を発信する企画展では、メインテーマを「認知変容を通じた社会変革への挑戦」とし、活動成果の紹介とワークショップを実施した。
 企業、行政、大学、メディアなど多彩なセクターの方々にだけでなく、学生や子どもなどこれからの社会を担う次世代ともじっくりと対話する機会となった。

 興味深かったのが、先に挙げたように幅広いテーマの活動を一堂に会して展示した結果、テーマを跨る共通認識が生まれたことだ。例えば、流域防災と単身高齢者のセルフケアは、どちらも地域住民の理解の醸成が大切だが、人手不足が進む中でどうやって理解を深め、気づきを得てもらえるような日常的なコミュニケーションを実現するかが共通の課題だ。住民と日々対話するAIがあれば、どちらの課題解決にも貢献できる。複数の領域でともに取り組めば、導入負担も軽減できる。つまり、テーマ(あるいは分野や業界)ごとの課題をそれぞれに解決するのではなく、それらを横断する課題に目を向けることで新しい解決方策の可能性が開ける。

 新しい活動を始めるのは困難だ。しかしそれ以上に、PoCを通じて出てきた「芽」を成長させることはもっと難しい。もし壁にぶつかるようなら、課題の捉え方を変えて考え直したい。とりわけ、無意識に「当然」と思っていることはないか、一度立ち止まって見直してみたい。きっとそのなかにチャレンジを成長させるヒントが見つかるはずだ。

2025年を、チャレンジをさらに前に進める一年にしましょう!


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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