さまざまな分野のフロントを走り続ける女性たちの声を届ける、動画シリーズ「THE NEW VOICE」。第2回は、映画やドラマ業界で重要な役割を果たす、インティマシーコーディネーターの浅田智穂さん。
浅田智穂:インティマシーコーディネーター
ノースカロライナ州立芸術大学卒業後、映画や舞台をはじめとした日本のエンターテインメント業界で通訳として活躍。2020年、Intimacy Professionals Association にてインティマシー・コーディネーター養成プログラムを修了後、活動を開始。
2022ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされた、「インティマシーコーディネーター」。映画やドラマの撮影現場において、性的なシーンやヌードシーン(インティマシーシーン)を演じる俳優の身体的・精神的安全を守りつつ、監督のビジョンを最大限実現できるようにサポートする職業だ。日本ではまだ2人しかおらず、世界規模で見ても200人ほど。2017年、映画業界で働く女性たちが権力者による性被害の体験を次々と告白した#MeToo運動をきっかけにこの職業が生まれ、今急激に需要が増えている。
日本でインティマシーコーディネーターとして活躍する浅田智穂さんは、映画や舞台に夢中になった学生時代をアメリカで過ごし、通訳として映画や舞台の現場に従事。2020年春にNetflixに勤めていた友人から「インティマシーコーディネーターになってみないか」と声がかかった。その時に初めてこの職業について知ったという。
「友人が私に声をかけた理由は、資格を取るためには英語でトレーニングを受けなければならなかったので英語ができること、また日本とアメリカの両方の映像の現場を知っていることだったのではないかと。特に私は、俳優とスタッフの間の通訳をしていたので、それも考慮されたのではないかと思います」
子どもがまだ小さかったこともあり、今からまた勉強をして新しい仕事を始めることや、業界で受け入れられないではないかなど戸惑いを感じたというが、インティマシーコーディネーターの資格を取ることを決心。通訳として働いている時に感じていた“もやもや”が後押しとなった。
「通訳の仕事では、言葉の裏にある感情も考えながら訳します。なかなか自分の意見を言い出しづらいというのが日本の文化としてあるように感じていて、撮影現場では『この人は本音を言えているのかな?』『それは本心かな?』と考えさせられることが何度もありました」
日本で初めてインティマシーコーディネーターを導入して制作された映画『彼女』(2021年)やドラマ『サワコ 〜それは、果てなき復讐』(2022年)、ドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』(2022年)、そして公共放送であるNHKでも導入され話題となったドラマ『大奥』(2022年)など活躍の幅を広げる浅田さん。インティマシーコーディネーターが制作に入ることによって、俳優たちの芝居にもいい影響があると信じている。
「これまでインティマシーシーンの撮影では、俳優たちは当日まで具体的に何をさせられるのか、どこまで脱がされるのかわからないことが多かったと聞いています。そのままではきっと不安だと思うんです。事前に内容がクリアになって、不安を取り除いてあげられたら俳優たちはもっと芝居に専念できます」
インティマシーコーディネーターが日本に導入されて2年半がたち、その言葉こそ世の中に浸透してきている今、浅田さんは新たなフェーズを迎えているという。
「最初はこの仕事について理解を示してもらえないこともあったのですが、最終的に『入ってくれてよかった』『おかげでいい撮影ができた』と言っていただくことが増え、また撮影に呼んでもらえるのは本当にうれしいことです。ただ需要ばかりが増えて、人がまったく足りていない状態。ありがたいことに、インティマシーコーディネーターに興味があるという問い合わせもたくさん届いています。私が受けたトレーニングを日本でも受けられるように準備している段階です」
大好きなエンターテインメントの世界にかかわる人みんなが居心地がいいと思えるよう、インティマシーコーディネーターという仕事を通して日々奮闘する浅田さんが今声を大にして言いたいこととは――。彼女の真摯なVOICEを動画でチェックして。
衣装クレジット:ビスチェ ¥240,900、セーター ¥129,800、スカート ¥215,600、ブーツ ¥231,000 Maison Margiela リング ¥306,900 Repossi
マルジェラ ジャパン クライアントサービス tel.0120-934-779
伊勢丹新宿店本館4階=ジュエリー/レポシ tel.03-3352-1111
Videographer: MICHIKO TAKIO Video Producer: AKI NAKAMURA Video Editor: MARIN KANII Styling: AI SUGANUMA at TRON Hair & Makeup: KATO at TRON
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