民間月面探査機「ブルーゴースト」が月面着陸の瞬間をお届け

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民間月面探査機「ブルーゴースト」が月面着陸の瞬間をお届け
Image: Firefly Aerospace

月面着陸成功!

人類の偉業です。これまで数々のミッションが失敗し、死屍累々、月はその墓場となってきました。

先日もファイアフライ・エアロスペース社の「ブルーゴースト」が月への旅を始めたことはお伝えしましたが、無事成功の朗報です。今回の月面着陸は今までにないほど美しく、歴史的な瞬間を捉え、映画のクライマックスのような映像を届けてくれました。

月面着陸成功の瞬間

Video: Firefly Aerospace/YouTube

米国東部時間の日曜日、午前3時34分に月面に着陸。ファイアフライ・エアロスペース社は、ブルーゴーストが月に降下してスムーズに着陸する様子の映像を公開しました。

約3分間の映像は、月面着陸の教科書といっても過言ではありません。雲の中からランダーが姿を現し、その影がスーパーヒーローのように月面に伸びていく様子を鮮やかに映し出しています。ブルーゴーストは静かにスムーズに月に降下し、クレーターの灰色の月面を滑るように進み、太陽の光が地平線を照らし、幻想的で美しい月の景色も描かれています。

ついにブルーゴーストが着陸地点に降り立つと、塵がぶわっと広がり、その後レゴリスの上に静かに着陸。ランダーの影が月面に映し出され、塵が消えるとそのシルエットがはっきりと浮かび上がります。このミッションの象徴的な瞬間です。民間企業による月面探査の道を切り拓いた瞬間です。

これは合成でもない、本物の宇宙からの映像だなんて、感激しちゃう。

ミッション名は「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」

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Image: Firefly Aerospace

このミッションは「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」という名にふさわしく、玄武岩質の溶岩で満たされた大きな衝突跡であるクレーター海(Mare Crisium)に着陸。火山地形であるモンス・ラトレイユの近くに設定された約100mの着陸ターゲット内に降り立ちました。

月面着陸後のブルーゴーストは搭載機器の展開、月のレゴリスの採取、画像の撮影など、さっそく月面上でのオペレーションを開始。この静止型ランダーは、月の1日(地球時間で14日間) にわたり、月の塵に覆われた地表を分析する予定です。

ブルーゴーストには、10種類の機器が搭載されていますが、これはNASAの「商業月面ペイロードサービス(CLPS」の一環として、今後有人月面探査を支援するために月面の調査とデータ収集を行なうものです。NASAによると、これらの機器は、月の地下掘削の試験、レゴリスのサンプル採取、衛星ナビゲーション技術の実験、月面の塵(ダスト)対策の方法の研究のために用いられます。

ブルーゴーストは、1月15日(水) にフロリダ州のケネディ宇宙センターから、スペースXのファルコン9ロケットに搭載されて打ち上げられました。ファイアフライ・エアロスペース社は、月面着陸に成功した2番目の民間企業となり、さらに着陸後の機体が直立した状態を維持した初の企業となりました(インテュイティブ・マシンズ社の「オデュッセウス」は、2024年2月、月面着陸に成功したものの、着陸時に脚が破損し、機体が傾いた状態のままとなっています)。

これからのブルーゴーストのミッションの展開が楽しみです。