九死に一生…海に水没の車から両足義足の男性救出 呼吸続かず、仲間が投げたロープが命綱に 男女6人に感謝状 鋸南

本部長感謝状を受けた(前列左から)鈴木さんと大山さん、署長感謝状を受けた(後列左から)天野さん、大久保さん、大塚さん=17日、館山署
本部長感謝状を受けた(前列左から)鈴木さんと大山さん、署長感謝状を受けた(後列左から)天野さん、大久保さん、大塚さん=17日、館山署

 海に転落し、水没した車内から両足義足の高齢男性を救助したとして、県警は17日、鋸南町保田漁業協同組合の鈴木淳さん(47)=館山市=と自営業の大山真一さん(53)=松戸市=に本部長感謝状、会社員の天野重光さん(52)=四街道市=ら4人に館山署長感謝状を贈った。

 署長感謝状を受けたのは天野さんのほか、いずれも会社員の渡辺憲明さん、大久保智美さん(55)=さいたま市と、大塚智子さん(52)=東久留米市。6人は釣りなどを通じた仲間。

 同署などによると、昨年9月15日正午ごろ、同町の保田漁港内で、県内に住む両足義足の70代男性が軽ワンボックス車を駐車場に止めようとした際、誤って海に転落。仕事で現場から10メートルほど近くにいた鈴木さんがとっさに海に飛び込み、続いて飛び込んだ大山さんと連携し、開いていた運転席側の窓から抱きかかえるように男性を救出した。

 陸にいた天野さんら4人は協力して海中にロープを投げ、水面との距離が近い桟橋まで引っ張り、大山さんと共に男性を引き揚げた。男性を含め、けが人はいなかった。

 鈴木さんは全開だった運転席の窓を見て「救助できる」と判断。救出を試みるも、車内にいた男性に抱きつかれる状態になり、一時は車と共に水深5メートルほどまで沈んだ。呼吸が続かず「駄目だ」と死もよぎったが、陸にいた仲間が投げた色つきのロープにしがみつき、九死に一生を得たという。

 救出された男性は「皆さんに助けてもらわなければ、最悪の事態になっていたと思う。今も元気に生活できているのは皆さんのおかげ」と感謝。鈴木さんは「自分も(房総半島)台風で被災したときに助けてもらったので、人のために何かしたいという思いがずっとあった。今後も困っている人がいれば迷わず助ける」と力を込めた。

 鈴木さんと大山さんには、警察庁長官からも感謝状が贈呈された。


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