サッカー元イラン代表ダエイ氏の家族、降機命じられ出国できず デモ支持が理由か
サッカー元イラン代表のレジェンド、アリ・ダエイ氏(53)は26日、首都テヘランからアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに向かっていた航空機に搭乗していた妻と娘が、飛行ルート変更の末に、イラン国内で降機を命じられたと明らかにした。ダエイ氏はイランで続く反政府デモへの支持を表明していた。
ダエイ氏の妻と娘は26日、休暇を一緒に過ごすためテヘランから空路でドバイに向かっていた。
しかし、航空機はペルシャ湾にあるイランの島に着陸。2人は降機させられたという。
ダエイ氏によると、降ろされた理由は告げられず、2人はテヘランに戻ることになった。
現在の反政府デモは、マサ・アミニさん(22)が9月16日、頭髪を覆うヒジャブを「不適切に」着用していたとして道徳警察に逮捕され、その後死亡したことがきっかけ。
人権活動家たちは、これまでに子供69人を含む500人以上の抗議者が死亡し、数千人が逮捕されたとしている。また、イランの警備当局にも数十人の死者が出ているとの報告もある。
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イランの国営通信IRNAによると、ダエイ氏の妻モナ・ファロカザリ氏は、出国する場合には当局に事前に通知すると約束していたという。夫妻が「イスラム革命に反対するグループと関係している」ことが理由とされる。
IRNAによると、ダエイ氏の妻と娘を乗せた航空機はイランのキーシュ島に着陸し、2人は「航空機から降りた」という。
ダエイ氏は、2人は「数日間のドバイ旅行に行って(イランに)戻る予定だった」とし、「2人が(出国)禁止になっているのなら、旅券警察システムがそれを示していたはずだ。この件に関して誰も答えてくれない」と述べた。
反政府デモへの支持表明
ダエイ氏は9月にソーシャルメディア上で、政府に「抑圧や暴力、逮捕を用いるのではなく、イラン国民の問題を解決」するよう求めた。
抗議行動への支持を表明したところ、12月には司法当局から、テヘランで経営している宝石店とレストランの閉鎖を命じられた。
イラン当局は、大規模な抗議行動を支持した複数のセレブやアーティスト、著名人を逮捕したり、出国禁止にしたりしている。
ダエイ氏はイランで最も有名なスポーツ選手の1人。サッカー・イラン代表のキャプテンを務め、1990年代から2000年代初頭にかけて代表通算109ゴールを記録した。