北京の街路樹が「セーター」を着用、そのユニークさで話題沸騰
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【12月12日 CNS】「どの角度から撮っても絵になる」と話題になっているのは、北京市にある古い建築様式の民家「胡同(Hutong)」や街角、大学キャンパス、空港などに現れた「セーター」を着た街路樹たちだ。最近、多くの市民が写真撮影や訪問を楽しみ、このユニークな試みに注目している。
北京の中関村(Zhongguancun)融科天地商業エリアでは、8名のスタッフが20本の街路樹にカラフルなセーターを着せた。プラスチックのタイでセーターの位置を固定し、大型の針と糸で接合部分を縫い合わせ、飾りを取り付けるといった手間をかけて完成する。
セーターを着た木々は、それぞれユニークなデザインを持つ。「腰に手を当てたポーズの木」や「フライパンを振る木」、「ポーズを決めた木」など個性的で、毛糸のポンポンや星、ハート、キャラクターの装飾が施されている。また、蝶の羽をつけた「蝶の妖精」や巨大なタピオカミルクティーを抱えた「働く人」、虹色の傘を持つ「紳士」などの演出もある。
「これ、すごく芸術的!」と感嘆するのは、融科天地でセーターを着せる作業に参加した汪(Wang)さん。「冬になって木々の葉が落ちてしまったので、セーターを着せることで環境が明るくなり、美観と暖かさを兼ね備えています」と語る。
中国北部の都市では、冬に気温が氷点下近くまで下がることが一般的で、秋に葉を落とした木々は少し寂しい印象を与える。北京オリンピック公園の担当者は、木々のセーターは翌春まで残されることが多く、洗浄して再利用も可能だと話す。「暖かさを保つ役割もありますが、主には装飾のためです」と説明した。
東城区の紅星胡同では、セーターを着た木々が「人気者」となり、観光客は「2時間待ってでも」撮影を楽しんでいるという。北京外国語大学では、学生と教員が共同でセーターを制作。世界の言語で「こんにちは」と書かれたものや、学内のマスコットをデザインしたもの、亡くなったキャンパス内の野良猫を記念するセーターもある。石景山区の文化園区「郎園Park」では、詩が編み込まれたセーターが「文芸的」と話題を集めた。
市民の青青(Qing Qing)さんは、週末にセーターを着た木々を抱きしめて「自然の香りを吸い込んだ」と満足げに語る。一方で、働く人の小月(Xiao Yue)さんは「一週間のストレスが消え去り、癒やされました」とその効果を称賛する。
広州市(Guangzhou)から北京を訪れた芸術家の夏昕(Xia Xin)さんによれば、「木にセーターを着せるのはファイバーアート(Fiber Art)という芸術の一環」で、アメリカで広まった「毛糸爆撃」という理念に基づいているという。「服を着る対象が人から木に変わると、みんな興味を持ってくれる。手作業を簡単にすることで、共同制作が可能になります」と語る。
夏昕さんのチームは、南京市(Nanjing)で38本の街路樹にセーターを着せたことで話題となり、その後、北京をはじめ成都市(Chengdu)、蘇州市(Suzhou)、杭州市(Hangzhou)などでも活動を広げている。「この活動が、手作り工芸の新たな希望を示してくれた」と話すのは、広東省で服飾業を営む真さん。「木のセーターが注目されたことで、自分もやる気が出た」と語る。
中国のネットユーザーも創造性を発揮し、セーターを着た木々の写真を共有するだけでなく、天壇公園(Tiantan Park)や上海の東方明珠テレビタワー(Oriental Pearl Radio & TV Tower)など、歴史的建造物や都市のランドマークをAIでセーター風に装飾するアイデアを提案している。
「まだ始まりに過ぎない。これからもっと面白いアイデアが出てくるはず」と夏昕さんは意気込む。(c)CNS/JCM/AFPBB News