■巨大なマグマの塊

 タルテス氏は、AFPの取材に「アポロ計画のサンプルから推定すれば、月の内部には約1000兆トンの水が含まれている可能性がある」と述べた。そして、これほど大量にあるとすると、水はヒドロキシ基(OH)分子の形で鉱物内に固定される可能性が高いと続けた。

 月の表面では、五輪競技用プール100万個を満たすほどの大量の凍結水が、両極付近の太陽光が決して届かない深いクレーターの内部に詰まっている可能性が高い。その量は、最大10億トンに及ぶと考えられる。

 タルテス氏によると、最新の研究では、凍結水が「30~40億年間もの間、そこに閉じ込められてきた」との結論に達しているという。

 月に存在する水は、非常に実用的な意義を持つ可能性も秘めている。

 未来の科学ミッションで、これらの分子から酸素を抽出することができるようになれば、月面基地に宇宙飛行士らが居住し、呼吸することも可能になる。また、この酸素から水素を分離することができれば、ロケットや宇宙での採掘作業のための燃料として利用できるかもしれない。

 研究チームによると、月面に存在する水の一部は、火山の噴火によって、融解した月の内部から噴出した可能性があるという。

 月についてタルテス氏は、形成当初は「巨大なマグマの塊」だったが、それが徐々に冷えて固まっていったと考えられると説明している。(c)AFP/Marlowe HOOD