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会社の成長とともに多様な人たちが集まり、フラットな社風が生まれた
編集部(以下、略) アパレル通販誌の編集の仕事を経て、千春さんが能作に入社したのは、2011年。入社当時は、50代、60代の職人さんが中心だったそうですね。
能作千春さん(以下、能作) 25歳の入社当時、まだ女性の職人はおらず、社員の中で私が最年少でした。13年に長女を出産して、産休を取ったのも私が初めて。少しやりにくさを感じたこともありましたが、私自身は性別を気にせず、がむしゃらにこれまで突き進んできました。それは、「自分がやりたいことを自由に実現しなさい」という父(4代目社長で現会長の能作克治さん)の教えが大きいです。
父がカリスマ的な経営者だとすると、私は調整役。現在は社員の平均年齢が30代半ばとなり、同年代の私が社員の意見や悩みにできるだけ耳を傾けるようにしています。正社員とかパートとか契約形態にかかわらず意見を取り入れ、社内の改善や新しい事業アイデアに生かしています。そうした中で会社が成長し、年齢や性別に関係なくフラットな社風ができました。社長に就任した今も、「千春さん」と呼ばれています(笑)。
今井浩恵さん(以下、今井) 私がシロの前身となる会社、ローレルを引き継いだときのメンバーは、女性しかいなかったんです。化粧品業界だからかな……。男女を意識して組織運営をしていませんが、シロは比較的、女性が強い会社です。年齢に関係なく、多様な人たちに働いてもらいたいと、22年に定年退職制度を廃止しました。
能作 今井さんはどのような経緯で経営者となったのですか?
今井 ローレルの社長になる前、私は社長秘書や店舗スタッフ、製造、開発、営業、と経理以外の仕事は一通り経験していました。入社して6年がたち、もうこの会社で学ぶことはない、と退職を切り出したんです。そのとき、「あなたがいなくなると、この会社はなくなります」と、先代創業者から言われて。私が辞めて会社が倒産するか、社長を継ぐか、決断を迫られました。
能作 なぜ、社長になると決めたのでしょう。