夢見ていたトイプーとの暮らしは試練だらけだった 夜中に鳴き続けノイローゼ

「負けないワン!」(UG提供)

 多忙すぎる日々に疲れ、一目ぼれしたトイプードルをお迎えした。しかし、走り出したら止まらない、夜中中鳴き続ける子犬にお母さんはノイローゼ気味に……。子犬育てに悩む飼い主が駆け込むUG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)の、それは8年前の物語。

 激アツ店長こと高橋信行さん、中目黒の駅前で叫ぶ。

「UGのレジェンド、初期メンバーも熱かった!」

(末尾に写真特集があります)

犬との暮らしを夢見ていた

「疲れ果ててしまった……。私、犬と暮らしたい」

 会社で部署が異動になり、新たな職場は仕事が忙しい上に遠方で通勤時間が長く、さらに人間関係にも悩んだ。「帯状疱疹(ほうしん)になり、さらに腎臓も壊しました。心身ともに限界だと感じたとき、幼いころから夢見ていた犬との暮らしをしたいと強く思うようになりました」

 機会があればペットショップをのぞくように。「母が動物の毛のアレルギーだったこともあり、毛の抜けにくいトイプードルがいいかなと探していました」。しかし、犬を飼った経験のある夫からはこう釘を刺されていた。

「生活は大変になるし、失ったときはロスで苦しむ。犬を飼うって簡単なことじゃない。一時の衝動で飼うのはよくない」

 そんなやりとりが1年近く続いていたある日。立ち寄ったショップに気になる子犬が。

「なんというかトイプードルっぽくなくて、ちょっと変顔だったんです(笑)。でも、それがものすごくかわいくて。抱っこさせてもらい、この子がいい!と」

 夫に相談すると、「来週、子犬がまだお店にいたら、もう一度よく考えて、きちんとお迎えの準備をした上で決心するならいいよ」。1週間後、子犬はまだお店に! そして2015年春、トイプードルの男の子はおうちにやってきた。

 名前は「ルゥ」に。フランス語でオオカミの意だ。その名に違わず、ルゥくんはものすごいやんちゃで、ケージから出すと家の中を爆走し、止まることを知らなかった。

初めての子犬育てで試練

「ショップの店員さんからは『おとなしい』と聞いていたので、びっくりしてしまって」とお母さん。

 ところが、翌日から激しいせきが止まらなくなった。病院に連れていくとケンネルコフ(犬の伝染性気管気管支炎)と診断された。「3週間ほど安静にしなければならず、それがルゥにはストレスになったみたいで……」とお母さん。幸い体調は回復したが、爆走が始まると止めることができない。さらに部屋のあちこちでおしっこをしまくり、ケージで寝かせようとすると夜中の間ずーっと鳴いている。

「初めての子犬育てでどうしていいのか途方に暮れ、会社の疲れと重なり、ノイローゼのようになってしまいました」と、お母さん。そして、しつけ教室かトレーニングに通おうと探す中で、UGの高橋店長のブログを見つける。「ここに行ってみようと、カウンセリングを申し込みました」とお母さん。

 ルゥくんを一目みた店長は「こりゃ大物だ!」とひと言。さらに「ルゥくんはハイパーだけど、問題があるのはむしろお母さん」と告げられる。当時を高橋店長はこう振り返る。

「初めての子犬育てで何もわからず、混乱している様子でした。まずはお泊まりの1週間でルゥくんの有り余る体力と強さを群れの中での遊びでしっかりと発散させ、お散歩も練習して、色々な刺激を体験させる。その間、お母さんはしっかり休んで、心身を整える。ハイパーなルゥくんは時間がかかるだろうと予想できたので、お泊まりの後も通っていただき、ルゥくんとお母さん、一緒に成長していけばいい。そう思っていました」

激強ワンコたちと思い切り遊び、ルールを学ぼう(UG提供)

 UGは2012年にオープン、翌年から現在の「社会化お泊まり」がスタートした。「ルゥくんが参加した2015年はまだ、1週間に子犬を1匹のみ預かってトレーニングしていました」と高橋店長。相手をするのは、社会化お泊まりのアフターケアに通っていた同世代の白柴のココちゃんなどの子犬たち、事情があってUGが引き取り育てていた犬、店長の愛犬で初代UGのリーダー、今は亡きコーギーのジャックといったメンバー。みんな激強で、ルゥくんは1週間、たっぷり遊び、犬同士のルールを学んだ。

別犬のように落ち着いたルゥくん

 久々にゆっくりと眠ることができたというお母さんは、心身ともにリフレッシュしてお迎えへ。すると、ルゥくんは別犬のように落ち着いていたという。

1週間頑張って「別犬」に(UG提供)

「それまでお座りなどのコマンドも、理解しているというより、オヤツほしさに勢いだけでやっていたような感じでしたが、フセやマテもビシッとできるようになっていました」

 店長からは、明確なルールを決めてしっかりと守ること、そして発散のためにお散歩を頑張るようにとアドバイスされた。仕事から帰ってきたあとでもお母さんはルゥくんをお散歩に連れ出し、ルゥくんが満足するまで歩いた。「毎日2時間歩いて、私のダイエットになりました(笑)」とお母さん。

 UGでにはトリミングがてら定期的に通うように。「ルゥは最初のトリミングからずっと担当してくれているトリマーさんが『初恋の人』。大好きで大好きで、会うと変な声を出して喜びます(笑)。私も上手なケア方法などを相談し、ずっと頼りにしています」

 そうしてUGに通う中、ルゥくんにはキュートな「きょうだい」ができることになる。

 後編につづく(12月30日公開予定)

高橋信行店長 プロフィール
物心がつく頃から動物関係の仕事に就きたいと考え、動物系の専門学校を卒業後、ペットショップに就職。いくつかの転職を経て、現在はUG DOGSアトラスタワー中目黒店店長。これまでカウンセリングは1300件以上、お泊まりで預かった犬は1000匹を超える。愛犬は、ジャック・ラッセル・テリア「ロイス」。
UG DOGS アトラスタワー中目黒店
住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/
店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。

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中津海麻子
フリーライター。「酒とワンコと男と女」をテーマに、ワインや日本酒や食、ペット事情、人物インタビューなど幅広く取材、執筆。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、「ワイン王国」「朝日新聞デジタル &w」「好書好日」などに寄稿。

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この連載について
だから犬って最高だ!
「育犬ノイローゼ」に陥った飼い主が藁をもつかむ思いで全国からやってくる「駆け込み寺」=UG DOGSアトラスタワー中目黒店。ハイパーな子犬たちと悩める飼い主を相手に日々奮闘する店長・高橋信行さんの実録ルポ。
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