来たる12月23日、オンラインセミナー「【中国NEVの新競争軸2025】特許情報起点で炙り出す~SDV、自動運転、通信、スマートコックピット~」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社知財ランドスケープ 代表取締役社長CEO山内 明 氏。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
【本編】
●中国NEVの新競争軸を炙り出すための全体俯瞰
●自動運転、通信、スマートコックピットに焦点を絞ったグローバル特許情報母集団の設定
●グローバル特許出願人ランキング(通期および後期)
●日米欧韓中の5ヵ国/領域のグローバル特許出願件数の後期伸び率(前期比)
●グローバル特許出願の伸び率の高い分野の特定と個別分析
【自動運転編】中国勢の台頭が顕著
・トヨタ自動車による完全無事故運転志向
・GMによる完全自動運転(ロボタクシ)志向
・WAYMOによる完全自動運転(ロボタクシ)志向
・BAIDUによる自動運転インフラ充実/AI活用志向
・HUAWEIによる自動運転支援(Tier0.5化)志向
【通信編】中国勢の台頭が顕著
・HUAWEIによる冗長性向上、自社シナジ志向
・PATEOによるスマートコックピット専業ポテンシャル
【補足編】
●WAYMOによる自動運転分野
技術力の源泉たる発明者プロファイリングによる同社強み分析
●TESLAによる自動運転分野
・Auto Pilot/Smart Sommonの基礎技術分析
●中国NEVの注目企業分析
・HUAWEIによるサイバーセキュリティ分野の注目特許分析
・BAIDUによるApolloプロジェクト関連の注目特許分析
・SENSETIMEによるDMS(Driver Monitoring System)分野の注目特許分析
・XIOPENGによる車載インフォテインメント/エンタメ分野の注目特許分析
同社によるAI(LLM)分野の注目特許分析
同社によるスマートコックピット分野の注目特許分析
【質疑応答】
講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。
セミナーの見どころを山内氏に聞いた。
各社がどのような技術分野に注力しているのか? その分析手法には、買収企業や資本提携から類推したり、製品に搭載された機能を見たり、あるいはリバースエンジニアリングといった手法がある。他にも出願された特許技術を分析することで得られる情報もある。
山内明氏(知財ランドスケープ 代表取締役社長CEO)は、どの会社がどのような技術分野の特許を申請しているか、取得しているかを調べることで、各社および業界の動向を分析するエキスパートだ。特許を分析することで何がわかるのか。山内氏に、先が読めない自動車産業における中国NEV市場の動向を分析してもらった。
製造業からIT産業まで特許情報でNEV市場を俯瞰する
---:EV市場は既存OEM勢の苦戦が伝えられる中、失速や撤退と言う言葉も耳にします。一方で、中国勢を中心に、SDVやソフトウェアシフトなどの動きは活発です。世界最大の自動車市場ということもあり、既存勢も中国NEV市場を無視するわけにはいかないと思います。
山内氏(以下敬称略):私も日経ビジネス他、各種の調査依頼の中で車載デジタル技術についての分析の相談や依頼を多く受けています。対象分野としては、自動運転、車載OS、スマートコックピットなどが多く、目的としては、どんなプレーヤーがいてどんな分野に強いのかといった勢力図の視覚化が多いという状況です。
SDVや車載デジタル技術となったとき、プレーヤーはトヨタやテスラ、BYDだけではありません。CATLのような電池メーカー、百度、テンセント、ファーウェイといった中国IT企業も外すことはできません。
---:なるほど。特許情報なら、分野ごとにどんな企業が出願・取得しているかを広く調べることができます。それで、中国NEV市場を俯瞰しようということですね。
山内:調査にあたっては、まずどの技術分野にフォーカスするかを決めなければなりません。特許の分類は、業種や技術、機能によって細かく分かれています。各種報道やシンクタンクのレポートから、NEV市場の競争軸は、自動運転、通信機能、スマートコックピットにあると考えました。この3つの目的に合う特許の母集団を精査するところから始めました。
NEV市場で注目すべきカテゴリー・技術とは?
---:3つのカテゴリには具体的にはどんな技術が含まれますか?
山内:自動運転にはドローンやロボットなどの技術も含まれますので、ここでは、自動車の制御にかかわるものに限定しました。いわゆる自動運転のレベルでいえば、レベル3以上の自動運転ということになりますが、自動運転のアプローチは自動車メーカーとIT企業系で違いもあるので、実際には、レーンキープや追従型オートクルーズなどレベル2の技術も含まれます。
通信機能については、文字通りのネットワーク技術の他、V2X関連の技術、車両の位置情報の利活用もこちらに分類しました。コネクテッドカーと不可分になると思われる車載OS関連の特許も一部含めています。
スマートコックピットはデジタル地図やディスプレイ技術だけでなく、HMIやインフォテインメント、車内空間全体にかかわる技術を内包するように努めました。
それらの結果、母集団をおよそ2万件まで絞り込むことができ、統計分析に好適な件数規模とすることができました。
2020年以降、急速に伸びる中国企業の技術力
---:分析でわかったことはありますか? やはり中国勢の技術力は上がってきているのでしょうか。