全幅1800mm、全高1550mmとまさに日本市場を見据えたボディサイズと500万円を切る車両価格。加えてBMWであり、多用途車系となれば売れる素性は十分。が、さらにPHEVになり、しかも4WDも。もうユーザーの心を鷲掴みにしないほうがおかしい…そんなクルマである。
実車は左前のフェンダー部分に充電ポートを備える以外、ごく普通の外観。内装もほぼ通常のガソリン車同等のアナログメーターが備わるなど、ごくごく普通。ガソリン車とはラゲッジスペース容量に差がある程度だ。
試乗車はLuxury仕様で、専用デザインのステアリングホイールや、明るいベージュのレザーシートなどを備えるほか、バックドアの電動開閉機能ほか、かなりの快適・有効な機能が標準装備であるのは感心した。運転、駐車支援関係の機能はオプションでの装着だが、それでもオプションの総額が50万円+と、BMWとしてはお安く(!)済んでいる。
セダン系に較べ前後シートとも着座位置と姿勢は明らかに高めでアップライト。乗り味はモード次第で低速で引き締まって感じるも、スッと切れるステアリングの感触などBMWであることを実感する。ブレーキやアクセルなどもごく自然だ。
排気を出さずに走れる“MAX eDrive”モードは、最長で42.4km、最高速度125km/hまで使えるとのこと。このEVモードでモーターが後輪を回すというのもBMWらしい。実際にはヒューン!とモーター音を発しながら、スムースな加速を示す。また1.5リットルの3気筒エンジンに仕事をさせた場合は、走りがいっそう快活に。メーター上6500rpmからゼブラが始まるが、高回転まで回すと小気味いい音とフィーリングが味わえ、退屈しないキャラクターが与えられている。
システムトータルで165kW(224ps)/385Nm(39.3kgm)、0-100km/h加速6.7秒というスペック。バッテリーへの充電は走行中に最大で80%まで可能という。コンパクトなクルマだが走行安定性が高く、BMWらしい走りとハイブリッドとしての賢さが上手く両立している、と思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。