ヤマハ発動機は9月13日、瀬戸内海の豊島(香川県土庄町)においてグリーンスローモビリティ(GSM)によるレンタカー事業の実証実験を実施すると発表した。GSMは時速20km未満で公道を走行する4人乗り以上の電動モビリティで、国土交通省や環境省が観光客や高齢者向けの交通機関として普及を推進している。実験期間は「瀬戸内国際芸術祭2019ひろがる秋」の開催期間(9月28日〜11月4日)から、その後1カ月程度まで。
豊島は、豊島美術館をはじめとした芸術施設・作品や、島の高台から一望できる瀬戸内海の絶景など、多数の人気観光スポットが点在する人口約800人の島。近年のインバウンド需要の急増も影響して観光客数は年間約20万人、3年に1度の瀬戸内芸術祭の年には約30万人まで増加する。
島内を巡るルートや絶景が望める壇山の頂上の展望台への道は坂が多く、観光客が容易に観光スポットを巡回するための移動手段が不足していることが課題となっていた。今回の実証実験では、ゴルフカーをベースに公道走行対応仕様とした定員4名の実験用車両「AR-04」を3台導入し、レンタル事業の受容性の把握を行う。
現地でレンタカー事業を展開するカレンスタイル(東京都千代田区)および三井物産と共同で実施する。ヤマハ発動機は車両提供、車両整備・修理体制の確立など、カレンスタイルはレンタカーの日常運行業務、三井物産はレンタカー事業の運用面のサポートを担当する。
これまでもヤマハ発動機は、小型の電動低速車両(ランドカー)、電動二輪車、電動アシスト自転車などを活用した社会課題の解決に取り組んでいる。豊島においても、すでにカレンスタイルを通じて電動アシスト自転車「PAS」や電動スクーター「E-Vino」をレンタル車両として納入している。