「やっぱりこういう要求をしてくるか！」“東京ヴェルディに城福浩を呼んだ男”が明かす城福監督の仕事…強化部長・江尻への問い「タイトルか、J1残留か」

筋書き通りだけど、スピード感は予想以上

　半年後、江尻はもう一度オファーを出した。

「簡単に言うと、変えたいんだと。緑を、黄色でもなく青でもなく、より良い緑に変えていきたいんだ、というようなアプローチをさせていただきました。消しちゃいけないものは残しながら、新しいものを作っていこう、と。サッカーのスタイルも含めて」

　そこで城福はようやく首を縦に振った。

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ーーそれから2年半が経ち、ヴェルディはJ2からJ1へ昇格し、昨年は6位でシーズンを終えました。この変化はすべて江尻さんの中で描いていた筋書き通りなんですか？

　江尻は笑いながら答える。

「筋書き通りなんだけど、スピード感は予想以上ちょいというか、速かったかな」

　城福の仕事における要求はいつもハードルが高いし、その熱量も半端ない。スタッフも経営陣も振り回されそうになる時もある。ただそういうとき、江尻は自分が監督という仕事を経験してきたことがすごく役に立っているという。

「やっぱりこういう要求をしてくるか！ でも、まあそうだよなってわかるんですよ。そして、自分が監督として千葉でうまくやれなかったのは、こういう要求を経営陣にできなかったからなんだよな、ってことも」

グラウンドは僕らにとっての「命」

　昨シーズン、城福浩は練習グラウンドの整備と確保について、それこそ聞いている側の耳にタコができるほど主張し続けてきた（現在、東京ヴェルディの練習グラウンドはすべてよみうりランドから借用という形をとっている）。

練習グラウンドの整備と確保について「耳にタコができるほど」主張し続けたという城福浩監督　©︎Atsushi Kondo

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「城福さんはずっと、練習グラウンドのことを言い続けていますよね。経営サイドの人からすれば、簡単に解決できる課題ではありません。でも監督はそれを言い続けるのが大事だと思うし、これを強化部長が聞いてあげる、一歩でもいいからそこに近づけるために会社側が動いてあげる、そこがすごく大事だと思うんです。

　だってグラウンドって、僕らにとっては『命』じゃないですか。近藤さんはずっと見ているのでわかってもらえると思いますが、今のヴェルディにとっては日々のトレーニングがものすごく大事なんです。グラウンドの整備は間違いなく選手の成長につながる。そこはクラブもなんとしても叶えなければいけないし、実際、中村（考昭）社長以下、動いてくれています」

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