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転生王女と天才令嬢の魔法革命【Web版】  作者: 鴉ぴえろ
第1章 転生王女と公爵令嬢
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第8話:魔剣を贈りましょう

誤字報告をしてくださる方、本当にありがとうございます。とても助かります。

何度も読み直してるのに気付けないものですね……。

 アニスフィア・ウィン・パレッティア。パレッティア王国の王女、年齢は十七歳。幼少の頃から奇行が目立ち、魔法を使えないとわかってからは無能の烙印を押されていた。そんなアニスフィアの評判が覆ったのは、ここ数年での事だ。

 まだ幼い頃から王位継承権を放棄し、離宮に押し込められていた評判も相まって彼女に注目も期待もする者はいなかった。しかし、一度世に出てくればアニスフィアの有能さと異質さは嫌でも世に知れ渡る事となった。

 下水道敷設の為の工事現場のご意見役、工事の援助の為の魔道具の開発。続けて街道の新規開拓で監査役として同行し、襲い来る魔物の群れを全滅させるなどの功績を瞬く間に打ち立てた。

 無能の気狂いかと思えば、蓋を開けてみればこれである。国王はアニスフィアの有能さを隠す為に離宮に移したのではないかと噂される事もあった。そんなアニスフィアと繋ぎを持とうとした者も数少なくはない。

 さて、アニスフィアが離宮へと移された真相とは、それを指示した国王の思惑とは。それは近衛騎士団や王宮侍女隊など、近しい者ならばこう答えるだろう。


 ただの厄介払いだ、と。


 そして今日も今日とて、アニスフィアは奇行に走り出す。



 * * *



「今日ユフィにはこれを見て貰います!」


 離宮の一角、その広場で私はユフィを前にして手に掲げたものを見せ付けるように声を上げた。私の手の中に収まったものを見てユフィは訝しげな目を向けてくれている。思った通りの反応だよ。


「それは……剣の柄、ですか? 少し形状が奇妙ですが」

「うん。騎士が使っている一般的なロングソードを意識してるよ」

「なぜ柄だけなんですか?」


 そう。私が手に持っているのは“刀身”が存在しない剣の柄。柄の根元に窪みがあって、その穴に精霊石がはめ込まれている。

 これが何かと言えば剣の柄としか言いようがない。それ以上でも、それ以下でもない。紛うごとなき剣の柄なのである!


「これはこれでいいんだよ。これが私の開発した魔道具の中でも大人しく、そして有用性が高いと誇れる一品!」

「凄まじくこの後が不安になりましたね……」


 ふふふ、そんな怯えた目をしないでよユフィ。これはまだ序の口、ユフィの為を思ってまだ大人しい発明品を見せたんだから。


「ユフィは剣も使えたよね」

「はい。私が使っているのはレイピアですが」

「レイピアかぁ。あれば後で実際に使ってる実物とか見せて欲しいかな」

「別に良いですけど……その、その剣の柄は一体?」

「無論魔道具だよ。見てみる?」


 剣の柄をユフィに手渡してみる。訝しげにユフィは剣の柄を持って観察をしている。

 重量を確かめたり、実際に持って見たり。そしてユフィが目を向けたのは剣の根元、精霊石がはめ込まれている窪みの部分だった。


「これは、精霊石ですよね? 魔道具であれば、魔力を通せば使えるのですか?」

「試してみる?」

「……では」


 ユフィが促されるままに剣の柄へと魔力を込めていく。慎重にゆっくりと注がれた魔力に反応して、剣の柄の精霊石が煌めきを帯びる。

 次の瞬間、ユフィの魔力に呼応するかのように剣の柄、刀身を描くかのように光が零れる。揺らめく光は強くなっていき、“光の刀身”となった。


「これは……」

「魔力で刀身を生み出す“魔剣”。通常の剣に比べて重さは柄の重量だけ、必要とあらば刀身の重みは使用者の好みで調節可能! 女性の護身用にお一つ如何ですか!?」

「なぜ商売人みたいに……いえ、ですが、これは……凄いですね。見た目、一般的なロングソードほどでしょうか? けれど重みは確かに柄の重さのみ。これは実際に斬れるのですか?」

「勿論。但し、鍔迫り合いになると刀身を形成してる精霊石に負荷がかかるからオススメしないよ。あ、でも魔剣同士の鍔迫り合いなら大丈夫かな。副産物だけど、質量がない魔法を切り払ったりするのに凄い便利だよ」


 感心したようにユフィが剣を構えたりして使い心地を確かめてる。見た目、光の刀身なだけの剣だけどね。鍔迫り合いには向かないという欠点こそあるけれど、リスクも少なくて値段もほどほど。父上にも手放しで絶賛された数少ない発明品である。

 開発名称“マナ・ブレイド”。実は一部、信頼のおける王宮の侍女達には護身用の武器として携帯されている。柄の部分だけで持ち運びが済むので、太股にホルダーをつけて差しておけば隠すのも容易い。


「強度は?」

「それも調整次第。形状とか、強度とかの配分は割と好みで。但し、精霊石を使ってるから精霊石に負荷がかかりすぎて破損すると精霊石を交換しないと使えなくなる。あと、刀身への注文が多ければそれだけ魔力を使うよ。耐久年数に関しては目下試験中。尚、父上に喜ばれたのはマナ・ブレイドよりも盾版のマナ・シールドだった。悔しい」

「これの盾ですか……それは、有用ですね」


 確かに有用なのは認めるけど、私としてはこのマナ・ブレイドにこそ浪漫を感じて欲しかったよ! ちなみに普及させると怖いのでマナ・シールドを持ってるのは父上とイリアだけ。父上は護身用に、イリアには私がプレゼントで贈った。

 尚、父上に鎧に出来ないかと言われたけれど全身を覆うとなると調節が大変で無理だった。剣とか盾とか、可動範囲がないからね。鎧で可動範囲まで作るとなると調節が無理難題過ぎた。

 ……いや、待てよ? 鎧に全部仕込むんじゃなくて、各部パーツにマナ・シールドを仕込むようにすれば、いや、ダメだ。コストがかかるし全身を覆うと言う訳じゃない。没。


「ただ質量のある物理攻撃には弱いから万能って訳じゃないよ。まったく効果がない訳じゃないけど。精霊石の劣化が進むから」

「どれぐらいの質量があると危ないですか?」

「人ぐらいの大きさの落石を受け止めたら壊れたかな」

「試したのですか」


 目を逸らす。ごほん、と咳払いをしてユフィと向き直る。……決して話題を逸らした訳じゃないよ?


「魔法にもマナ・ブレイドのように魔法で刃を作るものがあったよね? というか、マナ・ブレイドはそれの再現品」

「使い手は少ないですけどね。主に騎士団入りを志す方々が使っているかと。ただ、普通に魔法を使った方が良いとよく言われて……」

「限定された室内空間とかじゃないとねぇ。まぁ、だからこれは魔力はあるけれど魔法は使えない人向けの装備なんだよね」


 主に私向け。というか私が使いたいから作った。光で出来た剣を振り回すのとか憧れる。

 体を鍛えてない訳じゃないけれど、どうしたって女だしね。あと、侍女の護身用にという事で持たせられたという思わぬ結果もあったし、これは割と私の発明の中でも成功例だったりする。


「普段は燃料ぐらいにしか使われてない無属性の精霊石も有効活用出来るしね」

「あぁ……」


 無属性の精霊石は、魔力が込められてるだけなので特に活用法に疑問が残っていた。ただ砕けば魔力を空気中に撒く事が出来るので儀式や祭事で無属性の精霊石を砕いて祝うのが一般的な使用方法だった。

 後は薬とか? 魔力を回復する薬の材料として使われてるけれど、死ぬ程不味いらしい。成分上、味は如何ともする事が出来なかったらしい。

 丸薬とかに出来ればいいのにと言ったら製薬の研究者達とお話する機会を求められたんだっけ。要は飲み込めて消化出来れば良いのだから、薄い膜で包んで飲み込ませればという話をした筈。元気だろうか、お互い引き籠もり気味なので顔を合わせてない。


「これ、属性付きの精霊石で刀身を形成したらどうなるんですか?」

「死ぬほど面倒くさい」

「死ぬほど面倒くさい」


 復唱された。でも本当に面倒くさいんだよ!


「炎なんて纏めようとしたら持ち手が発火しそうになって火傷したし、水を固めようとしたら水のままだと刃にならないし、かといって氷にしてみたら今度は持ち手まで凍って凍傷になったし、風は安定させようにも調節が難しすぎて暴発した。土? あれは普通の剣と変わらない……!」


 私だって考えたよ、属性剣! けれど属性付の精霊石で刀身を形成しようとすると魔法が使えない私では無理だった。


「けど、ユフィなら出来るんじゃない? 精霊石じゃなくて自前の魔法で属性付与すればいいんだから」

「なるほど……」

「うん。だからユフィの要望で一本、特注品を作ってあげようかなって」

「私にですか?」

「剣も嗜むなら有用でしょ? 咄嗟に魔法を使うよりは奇襲とかに対応出来るかな、って思ったんだけど」

「……なるほど。なら、要望があるのですが」


 顎に手を添えて、何か悩むようにユフィは思案してから呟いた。……そのユフィからの提案に私は目を丸くして、けれど狂ったように笑い出しそうになった。

 

「最高だよ、ユフィ。やっぱり貴方を誘って大正解ね!」

「言ってみただけなんですが……可能、なんですか?」

「不可能という言葉を挑戦する前から口にするのは、私の流儀に反するんだよ!」


 そう言って私は歯を剥くように笑った。さぁ、楽しい楽しい試行錯誤の時間だ!



 * * * 



 ユフィリアは離宮で暇を持て余していた。マナ・ブレイドを見せてくれた次の日からアニスフィアは工房に篭もってしまった。

 何でもビックリさせたいからという事で、形になるまでは工房に立ち入りを禁止されてしまった。助手の意味があるのだろうか、と思いつつも提案されたものを作ってから渡したいと言われれば口も挟めない。

 王妃になる為の教育も、マナーの練習も、学院の授業もない。自分を追い立てるようなものは何一つとして存在しない。それが、寂しくもあり、虚しくもあり、ユフィリアは自分の胸の中にぽっかりと穴が空いてしまったように感じていた。


「……アニス様、まだ終わらないのでしょうか」


 イリアが世話をしてるから寝食を忘れているという訳ではなさそうだけども。流石に放置されてしまっては、どうしていいかもわからない。

 今日もぼんやりと時間が過ぎていくのかな、と思っていたユフィリア。だが、途端に部屋の外から騒がしい足音が聞こえてきた。


「ユフィ! お待たせ! 出来たよ!」


 アニスフィアの目の下にはクマが出来ていて、髪は整えられてはいるもののやや草臥れている。けれども笑顔は変わらず陰りが無く、思わずホッとしてしまってユフィリアは息を吐いた。

 その手には一本の剣がある。形状は一般的なレイピアだ。持ち手の手の甲を覆うように歪曲したパーツがあり、そこには6つの精霊石がはめ込まれている。


「刀身は精霊石を練り混ぜた魔力導体に! 接合して精霊石を埋め込んだ事で魔力伝導率を向上! 試してみないとわからないけれど、刀身に属性付与をするのを補助が可能! 更に魔杖のように魔法の媒体としても使用可能! 魔剣と魔杖、両方の機能を有する奇跡の融合剣!」


 早口に気を良くしたままのアニスフィアは語り続ける。ユフィリアは自分が何気なしに提案した案が取り入れられた試作品を見て思わず息を呑んだ。

 魔杖と呼ばれる魔法使いが己の得意とする属性の精霊石をはめ込んだ杖がある。魔法を使う際の補助となるものであり、魔法使い達にとって一般的な装備とも言える。

 それを護身用の武器の形状にするものもいたが、これまで剣という前例は存在しなかった。だからこそユフィも剣は非常時の武器であり、魔法と合わせて使用するという事はこれまでなかった。

 そこで、アニスフィアの開発したマナ・ブレイドを見て言ってしまったのだ。剣は普通の剣で良いので、そこに魔杖としての機能を付けられないかと。  


「ただ、まだ完成品って訳じゃないから気をつけてね。ちゃんと保護用の手袋をして、防護の手段は出来るだけしておいて」

「これから試すのですか?」

「勿論! 広場に行こう!」

「あ、アニス様!?」


 テンションが高いまま、ユフィリアの手を掴んで引っ張り進んでいく。アニスフィアに繋がれた手を握り返しながら、困ったようにユフィリアは合わせて走り出した。

 空は快晴。広場にいるのはアニスフィアとユフィリアだけで、ユフィリアは改めてアニスフィアに渡された剣を手に取って構えて見せる。


「……そういえば、アニス様は鍛冶も出来るのですか?」

「いや、デザインと柄のパーツの構築は私がやったけど刀身は外注。口の堅い鍛冶職人と知り合いなんだ。いつも剣の柄だけ発注するから割と怒られるんだけど、今回は凄い乗り気になって」

「外出してたのはその為ですか」

「ユフィも今度連れて行ってあげる。今回は見送ったけど、剣の感想を伝えに行くって言えば邪険には扱われないと思うし。どうにも貴族嫌いなんだよね」

「……なるほど」


 貴族が嫌いという平民がいるのはユフィリアも理解している。過去に貴族によって理不尽に虐げられたりと、横暴に振る舞われた事で恨みや妬みを持ち続ける者がいると。

 ただでさえ貴族とは裕福な生活を送っている者が多い。そういった恵まれた立場を羨み、悪感情へと育ててしまう事は仕方ない事だ。だからこそ自分は民の為に、民に讃えられる王妃を志していた、と。そこまで考えてユフィリアは首を左右に振る。


 今は、もう次期王妃ではない。ただのユフィリアだ。その自分の為にだけ作られた剣を撫でるように触れてから魔力を通してみる。

 手に馴染むという感覚がまず真っ先に来る。魔力を通した事で自分の一部となるような、そんな感覚。精霊石に魔力を通していけば喜びに震えるかのように光を帯びる。


(魔杖としては、申し分ないかしら)


 試してみよう、とアニスフィアへとユフィリアは視線を移す。


「ちょっと魔法を使います。離れてくださいね」

「了解。あそこに的があるから当てちゃって良いよ」


 一言前置きを伝えてからユフィは魔力を練る。魔法の行使は、精霊へ明確なイメージを捧げる事。祈り、願い、望んだものを精霊が正しく受けとれば魔法は形となる。

 慣れ親しんだ感覚に僅かに心を躍らせながら、剣を正眼に構えてユフィリアは口にする。


「“ファイアーボール”」


 口にした事で明確にイメージが深まった瞬間、剣の先から火の玉が浮かび上がり飛翔していく。

 着弾。的を焼き焦がすように火球が弾ける。それを見届けてから、ユフィリアは息を吐いた。緊張していた体から力が少しだけ抜ける。


「どう?」

「とてもスムーズです。精霊石で精霊を感じられるので魔法行使のイメージがしやすいです」

「詠唱はしなくても良さそう?」

「詠唱は使い慣れたものであれば省略出来るようになっていきますよ。熟練の魔法使いで、己の適合属性なら魔法名すらも省略する者もいると耳にした事があります」

「ふーん。まぁ、魔物なんて鳴いただけで魔法行使もしてくるし、そういうものなのかなぁ」

「いえ、一概にはそう言う訳ではないです。詠唱は省略可能ですが、詠唱をする事でイメージを深めて威力や精度を上げられる事は実証済みです。特に魔法の儀式を行う時は詠唱はしておかないとむしろ不味いでしょうね」

「成る程。実感がないから感覚的には共感出来ないけど、内容は理解出来るよ」


 うんうん、と楽しそうに腕を組んでアニスフィアが頷く。

 本当に魔法が好きなのだと感じるアニスフィアに苦笑しつつ、ユフィリアは次に魔剣としての機能を試す事にした。

 マナ・ブレイドは魔力で刀身を形成する。しかし、今、ユフィリアの手に握られている剣は刀身に魔力を込めて属性を付与する事になる。


(込める魔力は……水でいいでしょうか。氷にしなければ難しい程度だと聞きましたし)


 火と風は怪我をしそうなので、土は論外と言われたので水で試す事に。

 水の精霊を招くように魔力の意識を整える。剣の柄のパーツ、そこにはめ込まれた水の精霊石が共鳴するように反応を返してくる。

 イメージは剣を覆うように、被せるようにして刀身を形成する。魔法と同じだ、イメージが大切になる。目を閉じて、詠唱による補助を始める。


「刀身、形成。……“ウォーターブレイド”」


 目を開けば、刀身をなぞるように水が形を維持したまま刀身の形を維持していた。

 一度、二度、剣を振ってみる。形は崩れそうになく、多少重みが加わった程度だ。思わず感心の声を上げてしまう。


「これは……なんというか、面白いですね」

「私があんなに形に出来なくて、水を垂れ流すしか出来なかったのに……ユフィは凄い!」

「あ、アニス様! 急に飛びつかれては危険です!」


 急に飛びついてきたアニスフィアに驚き、咄嗟に剣を逸らすようにして受け止めるユフィリア。

 そのままご機嫌な様子でぎゅうぎゅうと力を込めていたアニスフィアだったが、ふと、そのまま静かになって動かなくなる。


「……アニス様?」


 どうしたのだろう、と肩を揺さぶってみれば崩れ落ちそうになったアニスフィアにユフィリアは目を見開く。咄嗟に剣を手放して支えると寝息が聞こえた。

 思わず呆れてしまう。そうして、咄嗟の体勢だった為に膝を枕にするようにユフィリアは座ってアニスフィアの頭を乗せる。アニスフィアは満足げに寝息を立てている。


「……一生懸命、いえ、無邪気なだけですか。まるで大きい子供です」


 自分よりも年上なのに、まるで自分よりも幼く見える人。

 けれど、その中身は様々な異名をそのまま体現するような人だ。この剣だってあっさりと作ってしまう。自分以外に需要があるかわからないけれど、騎士団には需要があるのではないかと考えてしまう。


「……膝枕なんて、アルガルド様にもした事がなかったですね」


 本当に自分は王妃としてあろうとしすぎて、人間らしさを置いてきてしまったのだとユフィリアは苦笑する。

 次期王妃と言いながら、アルガルドとの関係性を深められなかった。それは自分にとって大きな失敗だと言える。

 けれど、失敗したからこそ今がある。失敗した事実は消えない、けれど今こうして手にする事が出来た幸福感はくすぐったい程に温かくて。


「……貴方が少し羨ましいです。アニス様」


 指を通したアニスフィアの髪は、やっぱり少しだけ草臥れていて。起きたら風呂に入れさせてあげるべきかしら、と。ユフィリアは穏やかな時間をアニスフィアの寝顔を見ながら過ごす事になった。

  

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