第3回 パーソナリティも遺伝で決まる?

 1996年、ある特定の遺伝子と、特定のパーソナリティとの関係を明らかにする一大発見が発表された。それも、一気に2つの遺伝子(群)が特定されたということで、「遺伝と環境」に興味を持つ関連領域は大騒ぎになった。

 なお、パーソナリティは、心理学の用語としてカタカナのまま使われることが多いようで、定義も研究者によってまちまちだ。日常的な言葉としては、性格とか気質、といったものに近いのだろうがこれらも心理学の言葉としてそれぞれ使われるから紛らわしい。ここでは、カタカナのままにしておく。

 1996年の大発見のうちのひとつは、このようなものだ。

「DRD4という遺伝子がありまして、これはドーパミン(脳内に存在する神経伝達物質のひとつ)の受容体に関するものだと分かっていました。それが、心理学的なパーソナリティのひとつ、「新しいもの好き」──専門的には新奇性追求とか言われますが──と関係があることが分かったんです。双子の研究ではパーソナリティに遺伝の影響があるのはずっと昔から言われてきたんですが、それだけだと他の研究領域の人があまり真剣に受け取ってくれなかったんです。この研究が発表された1996年以来、双子研究で言われてきた遺伝の影響が、本当に実体としてあるんだというのが通用しやすくなったわけです」

(写真クリックで拡大)

2012年1月号特集「双子が明かす生命の不思議」
本誌でも世界の双子研究の最前線をレポートしています。ぜひあわせてご覧ください。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。