標題にひねりはなく、直截的に、東京12チャンネルの「TV東京」を意味しています。にわかに信じ難い気持ちになり、何度も調べ直し、繰り返し確認しました。TV東京で間違いないようで、番組は、「対決! スーパーカークイズ」という名前でした。
わけても、番組終盤に放映されるスーパーカー同士のバトルを楽しみにしていました。星野一義氏、高橋国光氏ら、国内最高クラスのドライバーが登場し、筑波サーキットでの一発勝負を繰り広げていたのです。プラモデルやグッズ等で鑑賞する存在だった名車が、本気モードで疾走する姿だけでも興奮度満点でした。毎回、姿勢を正し、ドキドキしながら番組を観ていたと思います。ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェ、ロータス、マセラティ、デトマソ等に明確な序列が付くわけですから、今思えば、よく企画化できたなと感心します。
番組が終わると、その興奮が冷めやまぬままに、自分のガレージへ向かいました。
勉学用に買ってもらったはずの机に向かい、そっと引き出しを開けます。文具と教材でカモフラージュされた奥に缶があり、そこがガレージになっていました。中には、スーパーカーの形状をした色とりどりの消しゴムを隠していました。
私の主力マシンは、真っ黒にペイントしたランボルギーニ・イオタでした。他の車も持っていましたが、テスト走行での実体験で、加速力が一頭地抜けていたのです。また、後述する事情で、イオタの時代が到来したのを感じていました。エンジンは、三菱BOXYからの供給でした。ノック式ボールペンのことです。
あるとき、家が鉄工所を営む友人が、エンジンの革新的改良に成功しました。BOXYの胴部を焼き切り、全長1/4くらいにまで短縮させたのです。バネの力が幾何数的に強くなり、このボアアップ効果によってレースの様相が根本から変わりました。テクニカル重視路線から、一気に超高速化時代へと遷移したのです。
ガレージには、研究所が併設されており、苦労して調達したバネのセッティングをいろいろ試していました。ボアアップ技術を最大化させるために、バネの選択は重要テーマでした。
TV東京の番組の翌日は、ほぼ確実にレースが開催されていました。当初は、教職員に見つかっても、これは文房具ですという言い逃れができたのですが、PTAからの圧力もあり、闇レースと化していました。消しゴムを加工し、エンジンにも手を加えている以上、文房具ではなくなっていたのです。登校する前日の晩から闘いは始まっていました。
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2023/06/29 07:07:20