CLOSE

NVIDIA CEO Jensen Huang Keynote(全6記事)

ヒューマノイドロボット、極小のスーパーコンピューター… NVIDIAが開発した珠玉のプロダクトたち

NVIDIA創業者Jensen Huang氏が、アメリカ・ラスベガスで開催された「CES 2025」の基調講演に登壇。2時間にわたり、半導体チップやフィジカルAIなど、NVIDIAが開発を手がける新プロダクトの全容を語りました。講演の最後に発表されたのは、ヒューマノイドロボットとスーパーコンピューターについて。NVIDIAはテクノロジーでどんな未来を創造するのか。世界のトップを走るテックカンパニーが最新鋭の技術を明かしました。

汎用ロボティクスもブレイクスルーを迎える

Jensen Huang氏(以下、Huang):次はロボティクスです。

(たくさんのロボットが登場する)

みなさん、ヒューマノイドロボットです。汎用ロボティクスにおけるChatGPTのような瞬間がすぐそこまで来ています。実際、私がこれまで話してきたすべてを実現する技術により、今後数年のうちに、汎用ロボティクスにおいて非常に急速な、そして驚くべきブレイクスルーを目にすることになるでしょう。

汎用ロボティクスが非常に重要な理由は、トラックや車輪で動くロボットが特別な環境を必要とするのに対し、私たちが作ることができる3つのロボットは新しい環境の整備を必要としません。

既存の環境に完璧に適応します。こうしたすばらしいロボットを構築できれば、私たちが作り上げたこの世界にそのまま導入することができます。

これら3つのロボットの1つ目はエージェント型ロボットとエージェント型AIです。これらは、インフォメーションワーカーとして、私たちのオフィスにあるコンピューターに適応できる限り、すばらしいものとなるからです。

2つ目は自動運転車です。理由は、私たちが100年以上かけて道路を都市を作り上げてきたからです。3つめは、ヒューマノイドロボットです。私たちにこの3つの技術的課題を解決できれば、世界がこれまで見た中で最大の技術産業となるでしょう。

そして私たちはロボティクスの時代がすぐそこまで来ていると考えます。重要な能力は、これらのロボットをどうやってトレーニングするかです。ヒューマノイドロボットの場合、模倣情報を収集するのは非常に困難です。

理由は、自動車ならただ運転すればいいだけだからです。私たちは常に車を運転していますから。ヒューマノイドロボットの場合、模倣情報、人間による実演データを収集するのは骨の折れる仕事です。

そのため、数百、数千の人間による実演データを取得し、人工知能とOmniverseを使用して何百万もの合成的に生成された動作を生成するための賢明な方法を見つけ出す必要があります。

ヒューマノイド開発の詳細について

Huang:これらの動作からAIはタスクの実行方法を学習することができます。その方法をお見せしましょう。

(映像開始)

映像音声:世界中の開発者たちが次世代のフィジカルAIを搭載したロボット、ヒューマノイドを開発しています。汎用ロボットモデルの開発には膨大な実世界データが必要ですが、そのデータを収集しキュレートするには多大なコストがかかります。

NVIDIAのIsaac GROOTはこうした課題に対処するため、ヒューマノイドロボットの開発者たちに次の4つを提供しています。

ロボット基盤モデル、データパイプライン、シミュレーションフレームワーク、そしてThorロボティクスコンピューターです。

NVIDIAのIsaac GROOTブループリントの合成モーション生成は、模倣学習のためのシミュレーションワークフローで、開発者は少数の人間による実演から指数関数的に大規模なデータセットを生成することができます。

まずGROOT Teleopにより、熟練の作業者はApple Vision Proを使ってロボットのデジタルツインにポータル接続することができます。

これは、オペレーターが実際にロボットがなくてもデータを収集し、リスクのない環境でロボットを操作し、物理的な損傷や摩耗の可能性を排除できることを意味しています。

ロボットに単一のタスクを教えるため、オペレーターは遠隔操作による実演を通してモーション軌道を取得し、GROOT-Mimicを使ってこれらの軌道をより大きなデータセットに拡張します。

次にOmniverseとCosmosをベースとしたGROOT-Genを使ってドメインのランダム化と3Dから実環境へのアップスケーリングを行い、さらに大規模なデータセットを生成します。OmniverseとCosmosのマルチバースシミュレーションエンジンは、ロボットポリシーをトレーニングするための大規模なデータセットを提供します。

ポリシーのトレーニング完了後、開発者は実機に展開する前に、Isaac SIMでソフトウェアインザループのテストと検証を実行することができます。

(映像終了)

プロジェクト「Digits」とスーパーコンピューター

Huang:NVIDIA Isaac GROOTにより、汎用ロボティクスの時代が到来しています。ロボットをトレーニングするための膨大なデータを入手できるようになります。NVIDIA Isaac GROOTはロボティクス業界に技術的要素を提供し、汎用ロボティクスの開発を加速させるNVIDIAのプラットフォームです。

もう1つお見せしたいものがあります。これらすべては、私たちが約10年前に開始したすばらしいプロジェクトなしには実現不可能でした。社内ではプロジェクト「Digits」と呼ばれていました。Deep Leaning GPU Intelligence Training Systemの略です。

Digits。さて、私たちはこのプロジェクトを発表する前に、DGXに縮め、RTX、AGX、OVX、そして社内のすべてのXシリーズと調和させました。そして、それは本当に革命をもたらしました。

DGX-1は本当に人工知能に革命をもたらしたのです。私たちがこれを開発した理由は、研究者やスタートアップに箱から出してすぐに使えるAIスーパーコンピューターを提供したかったからです。

過去のスーパーコンピューターの開発方法を思い浮かべてください。専用の施設を建設し、インフラを構築し、実際に設計して形にする必要がありました。

そこで私たちは、研究者とスタートアップのために、文字通り箱から出してすぐに使えるAI開発用のスーパーコンピューターを作り上げました。

2016年に最初の一台をOpenAIというスタートアップ企業に納品しました。イーロン・マスクがいて、イリヤ・サツケバーがいて、多くのNVIDIAの多くのエンジニアたちもその場にいました。私たちはDGX-1の到着を祝いました。DGX-1は明らかに人工知能コンピューティングに革命をもたらしました。

NVIDIAが開発した極小スーパーコンピューター

Huang:しかし今や人工知能はいたるところにあり、研究機関やスタートアップの研究室のものだけではなくなっています。ご存知のとおり、冒頭で述べたように、私たちは人工知能を必要としています。

これは新たなコンピューティングの在り方であり、ソフトウェア開発の形です。あらゆるソフトウェアエンジニア、エンジニア、クリエイティブアーティスト、すなわち今日コンピューターをツールとして使うすべての人々がAIスーパーコンピューターを必要とするでしょう。

そこで私はDGX-1をモデル化できないかと考えていました。想像してみてください。

(壇上のスーパーコンピューターが小さくなる演出)

みなさん、これがNVIDIAの最新のAIスーパーコンピューターです。現在はProject Digitsと呼ばれています。もし良い名前があれば、私たちに連絡してください。

これがすばらしいところなのですが、これはAIスーパーコンピューターです。NVIDIAのAIスタック全体を実行することができ、NVIDIAのすべてのソフトウェアがこの上で動作します。DGX Cloudもこの上で動作します。場所を選ばず、無線または有線でコンピューターにつなぐことができます。

望むなら、ワークステーションにもなります。そしてクラウドスーパーコンピューターのようにアクセスでき、NAVIDIAのAIを実行できます。これは私たちが開発してきた極秘チップGB110、私たちが作る最小のGrace Blackwellを基盤としています。内部をお見せしましょう。

なんてかわいらしいのでしょう。これが内蔵されているチップです。すでに生産は始まっています。このGrace CPUはSOCの世界的最大手MediaTekと協力してNVIDIAのために開発したものです。

MediaTekは私たちと協力してこのCPU、CPU SOCを開発し、Blackwell GPUとNVLinkでチップ間を接続しています。

デスクの上に置ける極小の大規模クラウドプラットフォーム

Huang:この小さい小さい製品はすでに量産体制に入っています。このコンピューターは5月頃に利用できるようになる予定です。

もうすぐみなさまのお手元に届きます。私たちができることは本当に信じられないものです。これを持ち運ぶのに、もっと手が必要か、ポケットが必要か考えていたところです。

想像してみてください。これを欲しくない人がどこにいるでしょうか。PCでも、Macでも、どこでも使えます。というのも、これはクラウドプラットフォームだからです。デスクの上に置かれたクラウドコンピューティングプラットフォームです。

ご希望があれば、Linuxワークステーションとしても使用できます。複数台を使用したい場合は、このようになります。ConnectXで接続します。そしてNICCL、GPU Direct。すべてを箱から取り出してすぐに使えます。

スーパーコンピューターのようです。私たちのスーパーコンピューティングスタックのすべてが利用可能です。そしてこれがNVIDIAのDigitsです。

NVIDIAが開発した珠玉のプロダクトたち

Huang:さて、私が話したことをまとめましょう。3つの新しいBlackwellの生産を開始していると申し上げました。Grace Blackwellスーパーコンピューターだけでなく、NVLink72が世界中で生産されています。

現在、3つの新しいBlackwellシステムが生産中です。1つ目はすばらしいAI基盤モデル、世界発のフィジカルAIの基盤モデルが公開され、世界のロボティクス産業などの活性化に役立っています。

そして3つのロボット、すなわちエージェント型ロボット、ヒューマノイドロボット、自動運転車の開発に取り組んでいます。

すばらしい1年でした。みなさまのパートナーシップに感謝申し上げます。ご来場いただきありがとうございます。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • NVIDIA創業者「自動運転車産業の時代が到来した」 ロボティクスの先進技術が可能にするエキサイティングな未来

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!