U-NEXT HOLDINGS代表取締役社長の宇野康秀氏(撮影:内海裕之)

 2024年8月期に売上高、営業利益共に8期連続で過去最高(※2018年8月期の売上高は8カ月決算値を12カ月換算)を更新したU-NEXT HOLDINGS。コンテンツ配信サービス「U-NEXT」のユーザーが大幅に増えたほか、店舗BGMや配膳ロボット、キャッシュレス決済、自動精算機、通信、エネルギーなどの事業を取り扱うB to B領域でも堅実な成長を遂げている。リーマンショック後、一度はグループの分社・独立を経験したものの、再び成長軌道に乗せることができた勝因と、目標に掲げる「売上高1兆円企業」に向けての構想を同社の宇野康秀社長に聞いた。

20年前から動画配信サービスの隆盛を予見

──2024年8月期の連結決算は売上高3267億円、営業利益291億円といずれも過去最高でした。2017年にUSENとU-NEXTが経営統合した際に掲げた「1兆円企業」の構想に向けての手応えは。

宇野康秀氏(以下、敬称略)想定の範囲内ではありますが、簡単な目標ではないので、まずまずの80点くらいで推移している感覚です。

──動画配信サービスに関しては、以前から自社制作コンテンツで勝負するのではなく、何でもそろっている「百貨店」のようなプラットフォームを作る戦略を取っています。

宇野 そこは初めから変わっていません。何か1つの魅力的なコンテンツを作って人を集めていくというよりは、コンテンツのラインアップを広げていくことによって、あらゆる人が求めるものを提供していくという考え方が、需要にマッチしていたのだと思います。

画像提供:U-NEXT HOLDINGS

──その点、ライバルの「Netflix(ネットフリックス)」はオリジナルドラマがヒットしていることに加え、最近ではアメリカンフットボールリーグのNFLやプロレス団体のWWEの放映権を獲得するなど幅広いコンテンツをそろえていく傾向にあります。

宇野 「どうやってNetflixに勝つのか?」とよく質問されますが、われわれには競争している感覚があまりないんです。共に市場を創出してきた部分もありますし、その中でわれわれが取ってきた戦略が間違っていなかったことが、今の成長につながっていると確信しています。

 何より動画配信サービスは世界的に見てもNetflixより私たちの方が先に始めていますし、当然、国内市場でも私たちの方が歴史が古いわけです。われわれは自分たちが築いてきた戦略やマーケティング手法を強化しつつ、次に何をやるべきかを考えていくだけです。

──コロナ後の巣ごもり需要が追い風になった面はあると思いますが、動画配信サービスがここまで社会に定着した要因をどう分析していますか。