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フォルクスワーゲン・ID.4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ID.4は、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンが製造・販売する電気自動車SUVである。

概要

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フォルクスワーゲン・ID.4
E21
フロント
リア
インテリア
概要
製造国
販売期間 2020年 -
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドア SUV
駆動方式 後輪駆動四輪駆動
プラットフォーム VW MEBプラットフォーム
パワートレイン
モーター 永久磁石同期電動機
最高出力 204 ps
最大トルク 310 nm
車両寸法
ホイールベース 2,765 mm
全長 4,584 mm
全幅 1,852 mm
全高 1,612 mm
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2020年、欧州での生産・販売を開始。EV専用の新アーキテクチャー"MEB"(モジュラー・エレクトリックドライブ・マトリックス)をベースとしたラインアップ「ID.ファミリー」に属する、フォルクスワーゲン初のフル電動SUVである[1]。Cセグメントに位置する[2]

大容量のバッテリーを前後アクスル間のアンダーボディに搭載するMEBアーキテクチャーにより、長い航続距離を実現するとともに、ロングホイールベース・ショートオーバーハング化によって、ボディサイズに対して1クラス上のモデルに匹敵する室内空間を実現している。重量のあるバッテリーを、前後アクスル間のアンダーボディに格納することで、車両の低重心化と、最適な前後重量バランスを両立した。

バッテリー容量は2種類存在し、それぞれ異なるモーター出力を組み合わせる。52kWhのバッテリーには、125kW (170PS) / 310Nm のモーターを搭載し、最大航続距離は388km(WLTC モード)となっている。77kWhの大容量バッテリーには、150kW (204PS) / 310Nm のモーターを搭載し、0~100km/h 加速は8.5 秒(欧州発表値)、最大航続距離は561km(WLTC モード)を達成している。 いずれも、堅牢なアルミニウム製ハウジングに搭載され、重大な事故の際はバッテリーの電源が切れるよう、保護回路が組み込まれている。また、後輪駆動(RWD)と四輪駆動(4WD)の両方が用意されている。

エクステリアは、流れるようなボディ形状に加え、リヤのエアフローを効果的に断ち切るため、大型ルーフスポイラー、立体的な造形のテールライト クラスター、ほぼフラットなアンダーボディのリヤエンドに設置したディフューザーといった複数の要素を組み合わせることで、Cd値は0.28という、SUVとしては非常に優れた空気抵抗値を達成している。ライトユニットは、フロント・リヤともに全車LEDを採用しており、上級グレードには、マトリックスLEDを採用したIQ. LIGHTも用意する。

インテリアは、従来のシフトノブに代わる新装備、ドライブモードセレクターと統合されたメーターディスプレイや、大型のセンターディスプレイを採用した。アクセルペダルに再生マーク、ブレーキペダルに一時停止マークをモチーフとしたアルミ調ペダルクラスターを装備とし、電気自動車のイメージと遊び心を演出している。 また、フロントウィンドウの下に設置された「ID. Light」システムは、運転準備の完了、充電中のバッテリーレベルなどのステータスを、ドライバーへ直感的に伝えることを可能とする。

他のフォルクスワーゲン車と同様に、レーンキープアシストシステム“Lane Assist”や、プリクラッシュブレーキシステム “Front Assist”、レーンチェンジアシストシステム“Side Assist”や、緊急時停車支援システム“Emergency Assist”など、数多くの運転支援システムが装備されている。

欧州のみならず、北米や中国でも生産・販売されている世界戦略モデルである。生産は、ドイツツヴィッカウ工場とエムデン工場、中国佛山工場及び安亭工場、アメリカチャタヌーガ工場で行われる[3]。2021年には、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

沿革

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  • 2020年9月23日 - ドイツで発表[4]
  • 2022年6月29日 - ハイパフォーマンスモデル・GTXを追加[3]
  • 同年10月7日 - 横浜で開催されたドイツフェスティバル2022で、日本初披露[5]
  • 同年11月22日 - 日本で発表・発売[6]。詳細は後述。

日本での展開

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  • 2022年11月22日、日本導入を記念した導入特別仕様として、「ID.4 Lite Launch Edition」ならびに「ID.4 Pro Launch Edition」の発売を開始。前者は52kWh、後者は77kWhのバッテリーを搭載する。Launch Editionでは、アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドによる独自の充電ネットワーク「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」の年会費およびフォルクスワーゲン販売店での充電をひと月あたり60分まで、1年間無料で利用できる会員特典や、家庭に設置する普通充電器の設置費用10万円分サポート、買取価格保証型の残価設定ローン「フォルクスワーゲン ソリューションズ」 の特別残価設定といった、スペシャルな特典を提供する。
  • 同年12月22日、標準グレードの先行受注受付を開始。多くの販売拠点において「Launch Edition」の 在庫が完売・あるいは品薄となってきている状況を考慮し、2023 年以降の生産で、同年第2四半期以降の販売分となる標準グレードの販売活動を前倒して開始した。 2023年以降生産モデルは、従来モデルと大きな変更点はないが、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、航続距離が延伸された(52kWh:388→435km、77kWh:561→618km)。これに伴い、希望小売価格が変更されたほか、独自の充電ネットワークにおける急速充電器利用料金の60分/月無償提供(登録から1年間)が、一部内容を変更して継続されることとなった。

脚注

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  1. ^ 【試乗レポート】2022年中に日本導入されるフォルクスワーゲンのバッテリEV「ID.4」を試した”. Car Watch (2022年10月5日). 2022年10月8日閲覧。
  2. ^ 『CG』2020年12月号、2020年12月1日、17頁。 
  3. ^ a b フォルクスワーゲン ID.4は2022年中に上陸予定。強豪のアリアやアイオニック5がひしめく激戦区に挑む電動コンパクトSUV”. GENROQ Web(ゲンロク ウェブ) (2022年6月15日). 2022年10月8日閲覧。
  4. ^ フォルクスワーゲン『ID.4』発表〜日本導入は2022年以降で検討中”. EVsmartブログ (2020年9月25日). 2022年10月8日閲覧。
  5. ^ VWのフル電動SUV『ID.4』を日本初披露…横浜のドイツフェスティバル 10月7-10日”. レスポンス(Response.jp) (2022年10月6日). 2022年10月8日閲覧。
  6. ^ フォルクスワーゲン、EV専用ブランドを日本初投入 人気のSUV:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年11月22日). 2022年11月22日閲覧。

外部リンク

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