ハンドレッドノート
『ハンドレッドノート』は、講談社によるメディアミックスコンテンツ。2023年5月に発表され[1]、YoutubeやTiktokで公開されているアニメーション、漫画といった媒体で物語が展開されている[1]。
制作
[編集]プロジェクト始動まで
[編集]2022年6月、『DAYS NEO』を立ち上げた鈴木綾一によるクリエイターズラボの下に、「IP開発ラボ」が発足された[1]。本来は週刊漫画雑誌から単行本の刊行を経て、アニメの展開となるのが出版社の王道であるが、「IP開発ラボ」は漫画などの「出版物」を初とせず、「自社で出版権のみでなく版権全体を保有しておこなうIP創造プロジェクト」となっている[1]。本作はそのプロジェクトの第一作目の作品であり、本コンテンツはYouTubeアニメ発となっている[1]。
プロジェクトのスタートメンバーは『Palcy』編集長の助宗佑美、元『FRaU』と『ViViデジタル』の編集長で『Kiss』編集部に所属する岡田幸美、元『マガジンポケット』の編集長で『ヤングマガジン』編集部に所属の橋本脩、文芸第三出版部長の鍛冶祐介の4人で、新規プロジェクトながらも人員は「その前身から全員が30代後半〜40前半の部長・編集長クラスの“本気人材"で構成」されており、全員が兼任で行われていた[1]。兼任では「稼働が限定的」になるものの、本作では「現役の編集チームと作家との関係性がある部長がいること」や「“意思決定ポジション"の人間が新規事業チームにいること」がメリットとなっている[1]。橋本によると本作はミステリーであるため、「文芸局の協力は企画成立のためには不可欠」であった。YouTube向けのコンテンツでも現役のミステリー作家がメインストーリーのプロットに参加することにより、クオリティを高めている[1]。
始動
[編集]企画の立ち上げからプロジェクトが始動するまで1年強であった[1]。2022年初頭、まず「どんな企画をやりたいか」をチーム全員で話し、本作は満場一致で開始が決定している[1]。「小説読みで、入社時の志望も小説部署」の橋本脩は、「名探偵」を好み、「ミステリー・サスペンスジャンルの作品を多く担当していたこともあって、これなら面白いことができるんじゃないか」と考え、提案したという[1]。橋本のほか、岡田幸美も「名探偵」をテーマとして挙げていた[2]。橋本はミステリーに可能性を感じており、「物語の面白さ」と「キャラクターの魅力」と「近年の傾向」を取り入れることによって、「新しいものが作れる」のではないかと考えた[1]。それには「コンスタントに映像を出していき、日常回も含めていろんな入口があって、作品を複層的にユーザーさんが好きに深堀りできる要素が必要」であるため、「YouTubeで定期的に動画を更新していけるパートナー」を探したところ、岡田の『ViVi』時代の知り合いにベストだと紹介されたのがPlottであった[1]。同年春には、「名探偵」の企画が採用となった[2]。
2023年5月1日、「女性向け名探偵コンテンツ」としてプロジェクトが始動される[3][1]。同日にティザー映像とキャラクターのビジュアルを公開[3]。作中には5つの「ハウス」が存在し、そのビジュアルはそれぞれ秋赤音が「ホークアイズ」、スオウが「スワロウテイル」、TCBが「アグリーダック」、真木蛍五が「ナイトアウル」、神慶が「クラウンクレイン」を担当している[3]。翌5月2日から公式Twitterにてキャラクターのキャストを発表[3]。まずYouTubeチャンネルを開設し、YouTubeアニメをPlottと展開[1]。Tiktokでの展開やショート動画の配信も行われた[1]。
2023年6月時点では橋本と岡田がプロデューサーとなり、「ダブルヘッドの体制」となっている[2]。
メディアミックス展開
[編集]2023年6月10日に「スワロウテイル」、8月4日に「ホークアイズ」の第1話のコミカライズが『マガジンポケット』にて掲載[4][5]。8月14日に投票企画「NEXTハウスオーディション」として、「アグリーダック」「クラウンクレイン」「ナイトアウル」の第1話のネームが『マガジンポケット』にて掲載された[6]。
2023年12月19日より、プロジェクト初のコミカライズ連載『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-』が『マガジンポケット』にて連載される[7][8]。
2024年1月には「ウズ」のアプリにて、『ハンドレッドノート 消えた■■の在処』のタイトルでマーダーミステリー化されている[9]。2024年2月時点で、YouTubeの総再生数が4億を突破[10]。2024年4月、舞台化が発表され、東京都の品川プリンスホテル クラブeXにて上演されることを発表[11]。
2024年5月31日より、コミカライズ連載第2弾『ハンドレッドノート―ナイトアウル―』が『コミックDAYS』にて連載される[12]。
設定
[編集]20XX年、警察は東京の人口急増に伴う犯罪の急増に対処できず、治安が急激に悪化。東京は『"犯罪都市" TOKYO CITY』と呼ばれるようになっていた。その問題を解決するため、100人の「名探偵」を集めた統一名探偵組織「ネスト」が結成される。ネストに集められた一癖も二癖もある名探偵たちを二人の「記録者(レコーダー)」が支え、TOKYO CITYで巻き起こる多くの事件を解決していく。
登場人物
[編集]この節には内容がありません。(2024年5月5日 (日) 11:04 (UTC)) |
ホークアイズ
[編集]- 司波 仁(しば じん)
- 声 - 古川慎[13]
- 名探偵[13]。能力は「観察」[13]。飄々とした性格[13]。
- 役を演じる古川によると、「基本的にはクールで無表情な人間」であるが、優しさがあり、仲間思いな一面もあり、「そのギャップが魅力的」である[14]。古川は司波の「推理の仕方は非常にシャーロックホームズに近しい部分」があり、「鋭い洞察力」がかっこよいキャラクターであると話している[14]。
- 枯柳 杖道(かれやなぎ じょうどう)
- 声 - 笠間淳[15]
- 記録者[15]。書道家であったが、司波仁にネストに入るよう勧めたために、自身も入所[15]。読書家で寡黙な性格[15]。
- 物怪 瑠衣(もののけ るい)
- 声 - 梅田修一朗[16]
- 記録者[16]。熱血漢で正義感の強い性格[16]。
- 仁に闘争心を抱いている。
スワロウテイル
[編集]- 恵美 まどか(えみ まどか)
- 声 - 西山宏太朗[17]
- 名探偵[17]。能力は「記憶」。寝ることを好む怠け者[17]。
- 役を演じる西山によると、怠け者で「ゆる〜っとした子」であるが、事件の推理では「目の色がカッと変わって、鋭い眼差しで立ち向かっていく」ため、そのギャップが魅力なキャラクターである[14]。
- 踏分 誠一(ふみわけ せいいち)
- 声 - 安田陸矢[18]
- 記録者[18]。恵美まどかの幼なじみ[18]。手先が器用で、お人よしな性格をしている[18]。健三とは犬猿の仲。
- 神柴 健三(かみしば けんぞう)
- 声 - 大野智敬[19]
- 記録者[19]。とあるハウスで記録者を経験後、解散を経て、恵美まどかの入所の際にスワロウテイルへ加入となった[19]。まどか至上主義者だが、誠一には毒舌。
アグリーダック
[編集]- 天命 大地(てんめい だいち)
- 声 - 岡本信彦[20]
- 名探偵[20]。能力は「捜査」[20]。伝説の名探偵・天命ハジメの息子[20]。努力家[20]。
- 霧 縦人(きり たてひと)
- 声 - 山下大輝[21]
- 記録者[21]。天命大地と司波仁の、高校時代の同級生[21]。無類の女好き[21]。
- 塔 翠(とう みどり)
- 記録者[22]。元は天命ハジメの記録者であったが、ハジメが死亡したことにより退所し、バーテンダーを経て、再入所している[22]。冷静沈着な性格で、中性的な見た目をしている[22]。
ナイトアウル
[編集]皇 千ト(すめらぎ せんと)
- 声 - 堀江瞬
- 名探偵。能力は「読心」。気が弱く泣き虫で寂しがり屋。
星喰 右手(ほしばみ めて)
- 声 ‐ 大塚剛央
- 記録者。真面目な性格だが、倫理観や正義感が歪んでいる。
星喰 左手(ほしばみ ゆんで)
漫画
[編集]ハンドレッドノート | |
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漫画:ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地- | |
作者 | 雪一 |
出版社 | 講談社 |
掲載サイト | マガジンポケット |
レーベル | KCデラックス |
発表期間 | 2023年12月19日[7] - 2024年7月17日 |
巻数 | 全3巻 |
話数 | 全26話 |
その他 | 事件プロット制作:円居挽 |
漫画:ハンドレッドノート―ナイトアウル― | |
作者 | 宝依図 |
出版社 | 講談社 |
掲載サイト | コミックDAYS |
発表期間 | 2024年5月31日 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
2023年6月10日にスワロウテイル 第1話『悪女は落下しない』、2023年8月4日にホークアイズ 第1話『屍はよみがえる』のコミカライズが『マガジンポケット』(講談社)にて掲載された。『悪女は落下しない』は漫画を内海八重、プロット制作を望月拓海が担当[4]。『屍はよみがえる』は漫画を安田剛士、プロット制作を柾木政宗、構成を内海八重が担当している[5]。
2023年8月14日にNEXTハウスオーディションとしてアグリーダック 第1話『大蛇の形』、クラウンクレイン 第1話『幻の老女』、ナイトアウル 第1話『猫は手がかりになる』のネームが『マガジンポケット』に掲載された。すべてネーム構成は内海八重が担当。プロット制作は『大蛇の形』は円居挽、『猫は手がかりになる』は柾木政宗が担当している[23][24][25]。次の展開が見たいハウスへの投票が行われ[6]、ナイトアウルが1位になり連載化が決定した[26]。
プロジェクト初のコミカライズ連載『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-』が、『マガジンポケット』にて2023年12月19日から連載されている[7][8]。漫画を雪一が、事件プロット制作を円居挽が担当している[7][27]。名探偵の子・天命大地と洞察力と推理力がある司波仁とともに、事件の謎に挑むストーリー[7]。担当編集者が雪一に声をかけたところ、「企画の面白さと魅力的なキャラに惹かれ」たため、本作を描くこととなっている[7]。
前述のNEXTハウスオーディションの結果を受け『ハンドレッドノート―ナイトアウル―』の連載が『コミックDAYS』にて2024年5月31日より開始された。漫画は宝依図が担当している[12]。
書誌情報
[編集]- 雪一『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-』講談社〈KCデラックス〉、全3巻
- 2024年4月9日発売[8][28]、ISBN 978-4-06-534915-1
- 2024年7月9日発売[29]、ISBN 978-4-06-535793-4
- 2024年10月8日発売[30]、ISBN 978-4-06-536767-4
ゲーム
[編集]2024年1月20日、「ウズ」のアプリ内にてマーダーミステリーの『ハンドレッドノート 消えた■■の在処』を配信開始[9]。シナリオはポン酢、作画は秋月壱葉と安住奏が担当[9]。ホークアイズの司波仁、枯柳杖道、物怪瑠衣の3人が登場するストーリー[31]。
舞台
[編集]2024年10月3日から13日に品川プリンスホテル クラブeXにて上演[11]。演出は福澤侑、プロデューサーは荒牧慶彦、脚本は亀田真二郎[11]。福澤が演出を務めるのは、本作が初となる[11]。キャストのオーディションは一般公募で行っている[11]。
コラボレート
[編集]2023年7月24日から8月2日にかけて、本作のホークアイズとスワロウテイルとスネイクピットの3つのYouTubeチャンネルが『混血のカレコレ』とコラボレートした動画を配信[32]。同年9月29日と30日に、前述の3つのYouTubeチャンネルが『テイコウペンギン』とコラボレートを果たす[33]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 中山淳雄 (2023年5月19日). “【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第62回 『ハンドレッドノート』ー出版社がゼロイチでIP開発を行うと、どうなるのか?”. gamebiz. ゲームビズ. 2024年5月8日閲覧。
- ^ a b c 小野ヒデコ (2023年6月8日). “2000冊超のミス本を読破!名探偵好き編集者が企画する『ハンドレッドノート』とは?”. 現代ビジネス. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d “講談社の“名探偵プロジェクト”「ハンドレッドノート」始動、ビジュアルと映像公開”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年5月1日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b “ハンドレッドノート【読み切り版】 - HN.PJT / 【スワロウテイル 第1話 前編】悪女は落下しない”. マガジンポケット. 講談社 (2023年6月10日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ a b “ハンドレッドノート【読み切り版】 - HN.PJT / 【ホークアイズ 第1話 前編】屍はよみがえる”. マガジンポケット. 講談社 (2023年8月4日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ a b “NEXT ハウスオーディション開催決定!|News”. Hundred Note(ハンドレッドノート)公式サイト. 講談社 (2023年8月14日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ a b c d e f “【マガポケ新連載】“名探偵”の卵たちが複雑怪奇な難事件に挑む! 『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-』雪一先生を紹介!”. マガジンポケット. 講談社 (2023年12月19日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c ““新時代の名探偵プロジェクト”「ハンドレッドノート」初のコミカライズ版”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年4月9日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c “YouTube登録者数60万を突破した『ハンドレッドノート』がマダミスに!”. PR TIMES (2024年1月21日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ “総再生数4億突破『ハンドレッドノート』のオリジナルブロマイドが全国ローソンにて販売決定”. PR TIMES (2024年2月15日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e “「ハンドレッドノート」荒牧慶彦プロデュースで舞台化、福澤侑が初演出”. ステージナタリー. ナターシャ (2024年4月13日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b “『ハンドレッドノート―ナイトアウル―』連載開始!”. Hundred Note(ハンドレッドノート)公式サイト. 講談社 (2024年5月31日). 2024年6月4日閲覧。
- ^ a b c d “司波 仁(しば じん)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c “『ハンドレッドノート』古川 慎さん、西山宏太朗さん撮り下ろし対談インタビュー!おふたりがいま解き明かしたい謎とは?”. PASH! PLUS. 主婦の友社 (2023年6月25日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d “枯柳 杖道(かれやなぎ じょうどう)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c “物怪 瑠衣(もののけ るい)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
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- ^ a b c d “踏分 誠一(ふみわけ せいいち)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c “神柴 健三(かみしば けんぞう)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e “天命 大地(てんめい だいち)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d “霧 縦人(きり たてひと)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c “塔 翠(とう みどり)”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ “ハンドレッドノート【読み切り版】 - HN.PJT / 【(ネーム)アグリーダック 第1話】大蛇の形”. マガジンポケット. 講談社 (2023年8月14日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ “ハンドレッドノート【読み切り版】 - HN.PJT / 【(ネーム)クラウンクレイン 第1話】幻の老女”. マガジンポケット. 講談社 (2023年8月14日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ “ハンドレッドノート【読み切り版】 - HN.PJT / 【(ネーム)ナイトアウル 第1話】猫は手がかりになる”. マガジンポケット. 講談社 (2023年8月14日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ “ナイトアウル漫画化決定!|News”. Hundred Note(ハンドレッドノート)公式サイト. 講談社 (2023年11月15日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ “『ハンドレッドノート―高校生探偵 天命大地―』連載開始!”. Hundred Note(ハンドレッドノート)公式サイト. 講談社 (2023年12月19日). 2024年5月9日閲覧。
- ^ “『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-(1)』(雪一)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2024年5月6日閲覧。
- ^ “『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-(2)』(雪一)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2024年7月10日閲覧。
- ^ “『ハンドレッドノート-高校生探偵 天命大地-(3)』(雪一)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2024年10月8日閲覧。
- ^ “ハンドレッドノート 消えた■■の在処”. ウズ (2024年1月21日). 2024年5月6日閲覧。
- ^ “「ハンドレッドノート」と「混⾎のカレコレ」コラボ動画配信決定”. ハンドレッドノート公式サイト. 講談社 (2023-0724). 2024年5月6日閲覧。
- ^ “探偵×社畜!「ハンドレッドノート」と「テイコウペンギン」のコラボ動画配信!”. PR TIMES (2023年9月22日). 2024年5月6日閲覧。
外部リンク
[編集]- ハンドレッドノート - 公式サイト